【Episode.3それぞれの旅】
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「じゃあ、なんで今
この隊商に?」
「ふふ、クリシュナ隊長よ」
「…はあ、あの髭ぼーぼーの
ちっちゃなおじいちゃんって
言っちゃ失礼ですけど、あの人?」
「ふふふ、マコちゃんって結構口悪いわねえ
あの人、好きでねぇ
娼館の常連さんだったの」
「え…あの歳で…」
「ふふ、まだまだ元気よぉ
こっちが参るくらい」
からかうように笑うアプサラの顔が
とても魅力的に見えた。
「それでね、いっしょに寝て
隊長に色んな旅の話を訊いてたら
私も外の世界を旅したくなったの
あるとき、そんな話をしたら
隊長が娼館に莫大なお金払って、
私を身請けしてくれたの
わたしを外の世界へ連れ出してくれた」
「へえ…(相手があのおじいちゃんじゃなきゃ
ロマンスなんだけどなぁ)」
「わたしは嬉しかった…
それから隊長といっしょに
隊商で旅を続けたの
ムーユーちゃんの故郷
仞(じん)にも行ったことあるわよ
あそこもいいところよ」
「東洋でしょ?ナパでも流行ってました。
行ってみたいけど、ちょっと遠いなぁ…」
「ふふ、そうね」
「…あ、あのこういうの訊いていいのか
ちょっとアレなんですけど…」
「なあに?」
「あ、あの隊長が身請けしたってことは…
夫婦ってことですか?」
「あっ、あ〜っ!
あはははっ
違う、違う、あははは
もう笑かさないで、マコちゃん
身請けで払ってもらったお金
隊長には借金って形で
ちゃんと返済しているのよ
だから、わたしは
今でもこうやって働いているって訳」
「そういうことなんですか…
いや、私も自分の奥さんが
他の人と寝てるって
どういう心境なのかなって
気になって…」
「クリシュナ隊長は
外の世界を観たいっていった私を
連れ出してくれただけよ
それにアラム人は一夫多妻制でしょ
そういう感覚が少し麻痺してるみたい
私も含めてね
マコちゃんたちバルティク人は
一夫一妻制で逆に
アラム人には堅苦しく感じるわ
性には寛容なのかしら、私たちは‥
ふふふ」
「そうですか?
だらしないと思いますが…」
「ふふふ、そうね
それが文化の違いかしら
何が正解とか
何が間違ってるとか
その地域によって物差しは変わるの
マコちゃんも長く旅してると
わかってくるわ」
