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人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

 

【Episode.3 それぞれの旅】

 

1

 気怠い午後の日射しが傾き始めた頃

森を抜けた クリシュナ隊長の率いる隊商は

明日、帝国街道に合流できる

目処(めど)が付いた。

「今日は、ここで野営をする」

というクリシュナ隊長の命令が

護衛隊長に伝えられ

馬に乗った傭兵たちは

隊商を少し拓けた窪地に集めて

野営の準備を始めさせた。

 

 

 

 マコマの隊商での初仕事は

マチルダから命令された

女性用簡易トイレの作成であった。

約三十人編成の、この隊商には

数名の女性も付き従っていた。

マコマは今日ナパを出発したとき

荷馬車から綺麗な女性に話しかけられ

マチルダ以外に女性が

いることを初めて知った。

女性のほとんどは、商人の奥さんだが

中には訳ありそうな女性もいたりと

様々な理由でこの隊商と共に

移動し生活している。

 

 野原に隊長の乗った荷馬車を

中心に弧を描いた円陣を敷く

トイレはその端っこに作られた。

トイレ作成は女性用のみで

男性は野原の茂みで

各々用を足すのが普通だという。

 

 予(あらかじ)めトイレ用の穴は

隊商の少年が掘ってくれた。

まだあどけなさを残した

異国の顔立ちが印象的な少年。

服装は東洋の「キモノ」に似ていた。

 

 

 

穴を掘り終えた少年に

「ありがとね」

と声を掛けるマコマ。

 

「じゃ、ぼくは自分の仕事に戻るよ」

少し照れたように少年は返す。

 

 

少年の後ろ姿を見つめながら

プッペに話しかける。

 

「ねえねえ、絶対わたしより年下だよね?」

 

「オイラにはわかんないでヤンスよ」

 

「でも、立派だなぁ

あんなにしっかりして…

私も見習わないと…」

 

「そうでヤンスすね、

マコにゃんにはもっと

落ち着いて欲しいでヤンス

行動が、がさつでヤンス」

 

プッペの頭を叩くマコマ。

 

 

 

 

 

 

マコマはそれから

掘ってもらった穴の四方に木の棒を刺し

てっぺんを紐で括って四角錐にする。

その上からボロ布をかぶせて

周囲から見えないようにするといった

至極簡単なものだが、それだけでも

年頃の女の子にはありがたいものだった。

途中から手伝いに来てくれたマチルダは

「アタイなんかは、

もうどうでもいいけどね

男どもと一緒さね、

そこらの茂みで十分さ

はははっ」

(さすがに笑えない…

思春期の私にはとても無理…)

 

「後は任せたよ、もうすぐ夕食のはずだから

みんなの集まっている所に来な」

 

「はい、マチルダさん」

 

 

「よし、あと少しで完成だから

頑張ろう、プッペそっちの布引っ張って

寄せてくれる?」

 

「わかったでヤンス」

 

 

マコマとプッペが

残りの作業をしていると

ほぼ下着姿の女性が足早に

二人の元へとやって来た。