人形使いが旅に出る -12ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

 

【Episode.3それぞれの旅】

 

3

 

陽が暮れて

円陣中央の焚き火を囲むように

人が集まって食事をしていた。

焚き火の辺りだけ

明るく、少し離れると

真っ暗になるので

正確な人数は分からないが

二十人くらいの黒い人影が確認できた。

顔はよくわからないが

アラム人だけでなく

何人か異国の風体の者がいることに

改めて気付いた。

 

 

初めての旅で初めての食事

ナパで仕入れた季節野菜を

使ったスパイススープと

薄く平たく焼いた固いパンという

簡素な夕食だったが

マコマにとっては

今まで食べた物の中で

抜群に美味しい食事だった。

なにせ、朝食から今まで

何も口にせず、歩き続けたのだから。

 

異国の香辛料は独特の香りと味だった。

今まで嗅いだことのない

その香りと、舌に痺れを残す辛味は

ナパでは味わったことのないもので

異国情緒をかき立てた。

 

マコマは固いパンをスープに浸して

柔らかくしながらプッペと話をする。

 

「いつかアラム方面にも行ってみたいね

きっと何もかも違うんだろうね」

 

「マコにゃんが行く所なら

どこでも付いていくでヤンスよ」

 

 

 

プッペと他愛のない話をしていると 

暗がりの中から焚き火に向かって

年配の太ったチョビ髭を生やした商人と

少年が話をしながら現れた。

 

 

 

 

 

彼らは食事係の中年女性から

スープの入った椀を受け取り

マコマの横の岩に腰掛けた。

 

「ナパでは、ろくに整理が出来なかったので

助かりましたよ、ハキームさん」

 

「なんの、なんの

助かったのはこっちだよ、

君のおかげで

ウチのかみさんの熱も下がったんだ、

ありがとうね」

 

その少年の横顔には見覚えがあった。

マコマは彼の顔付きが珍しく

興味津々に彼の横顔をじっと見つめる。

その視線に気付いた少年がいぶかしげに

マコマの方へ目を向ける。

「…?」

 

「あ、さっきは穴を掘ってもらって

ありがとう」

 

「…ああ、あのときの

…あれはマチルダさんに頼まれて

やっただけだから」

と、少年は眼を逸らして応えた。

そして、再び年配の太ったチョビ髭の商人こと

ハキームとの会話に戻った。