(1)【Prologue】1 | 人形使いが旅に出る

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

 

 

【人形使いが旅に出る】

  

著者 ゴリラ神ご乱心

 

挿絵 ごりら神ご安心

 

 ※ファンタジー小説なので、実際の団体、地名、

その他諸々、一切関係ありません。 

無断転載禁止。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Prologue】

 

1

 

 

 

 故郷を出立して

もうどれくらい経つだろう…

 

道の脇には雑草が雨に濡れて

地面に穂先を垂れていた。

 

 

 

 

 昨夜から降り続けていた雨は止み

道に溜まった水たまりが

一人の少女を映し出していた。

 フードを深くかぶった旅装束の少女が

フードの隙間から空を見上げると

鈍色(にびいろ)の雲が連なり流れていた。

 

 肩から斜めに掛けたバッグはずぶ濡れ

履いている靴は泥だらけになっている。

おそらく雨の中をずっと歩いて来たのだろう。

 

 周りの山々からは、雨上がりの水蒸気が

雲のように立ちのぼり山頂を隠していた。

その山脈を背に

少し笑っているように見える少女は

深く息を吸い込むと

嗅ぎ慣れないその土地の匂いに心躍った。

少女は旅が好きだった。

五感で感じるものすべて新鮮に思えるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっき通り過ぎた

鄙びた町から延びる 一本道。

その道は右側へ

緩やかな弧を描きながら

遠くにみえる丘へと続いている。

 

 

 しばらく歩くと 

徐々に民家は少なくなり

低木の生い茂る小高い丘が多くなった。

 

 丘の手前の少し開けた広場で

雨上がりの湿った地面に絵を

描いて遊んでいた数人の子供たちは

歩いてこちらへやって来る少女を見つけると

一斉に駆け寄って来た。

 

 

 

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