今日はどうしてもバドワイザーが飲みたい。


そんな衝動に駆られ、今日の昼間からいかに美味いビールを飲むかを慎重に脳内で協議した結果、マラソンと筋トレをして汗をかいてから買いに行こうということになった。


夜の9時からみっちり汗をかいてから、シャワーを浴びていざ出陣。


ビールを飲みたい気持ちでルンルンしながらコンビニに向かっていたらおばさんがエロそうなオッサンに口説かれていた。

おばさん「本当に困りますからぁ~…」

オッサン「でもぉ、家ももうすぐそこだからぁ」

おばさん「でもぉ…」



コレが金髪ショートボブ裏原系の木村カエラみたいな女の子なら、ケンシロウばりに「祈れ!悪党ども!」とか言って助けるが、舞ノ海みたいなおばさんだったし、しかも口説かれてるのがまんざらでもなさそうな感じだったので華麗にスルー。




そうこうしているうちに近所のファミマに到着。


入ったすぐにバドワイザーを探したが、無い…。




「今日は…今日はどうしてもバドワイザーじゃなきゃダメなんだ…くっ…」




でも近くに酒屋なんて無いし、ここで変にこだわるとろくな事が無い。



うらぶれた気持ちで、しぶしぶ、不本意だが、スーパードライのスリムボトルで我慢することにした。とんかつが食べたい日にカツ丼しかないみたいな心境だ。



そこで何の気なしにポケットをまさぐった時、タバコがもう切れてるのを思い出したので、ついでに買って行こうと思いレジの前でタバコの銘柄を探す。


いつもはフィリップモリスを買うのだが、今日は気分を変えてアメリカン・スピリットを買ってみようと思った。どうしてだかわからないが、とにかくそう思ったのだ。正直自分でも芯の無い生き方だと思う。


番号が振られている順番に探してみたが、どうも見あたらない。前に一度この店でアメリカン・スピリットは買っているのでないことはないんじゃ…。


そこでちょうどレジの順番が周ってきたので、女の子の店員に「アメリカン・スピリットありますか?」とやや早口で聞いた。若干店が混んできていたのであまり会計に時間をかけるのも申し訳ない。


しかし店員は俺を見たままフリーズ。


あれ?早口すぎたかな?それとも声が小さかったか?と思い、今度はゆっくり丁寧に「アメリカン・スピリットって置いてますか?」と聞いてみた。


するとようやくああ、あれね!という顔をしたので、俺もホッと胸をなでおろして小銭を漁った。


端数の一円探しに苦労していると店員から思わぬ言葉が。





「ファミチキのLでよろしいですね?」




人間想定以上の出来事には反応が鈍る物らしいが、あまりに斜め上な受け答えに即反応。


「いえ…あのー… アメリカン ・ スピリット です。」と改めて訂正する。


それを聞いて、店員の混乱は余計に深まってしまったらしく、「ファミチ… アメリかん・すぴり…っと?」と自問自答なのか何なのかよくわからない、ともかく変な空気がレジ周辺を支配した。


後ろの客も困惑しているのがわかり、変な焦りと不安が俺に降りかかる。


グダグダな空気に押しつぶされる直前、視界の隅に、棚の奥にアメスピを発見した俺は、「あ、あの緑の奴です!」と店員に慌てて伝えた。そこでやっとこさ店員も気がついてくれ、冷や汗をかきつつ会計をすませてそそくさと店をでた。


「あーなんかメンタルがちょっと削られた…」と独り言を言ったあと、よく見ると買ったアメスピがメンソールだと気がついて、またメンタルを削られた。


というより、そもそもアメリカン・スピリットって発音してるのになんでファミチキ?いや別に怒ってないけど、不可解だろ。しかもLはどこで付いたんだ。

仮にアメスピって略称なら仕方ないかも知れないが…。


アメスピ アメスピ アァメスピ ファミスピ ………ファミチキ…。



ニホンゴムズカシイネ


ヒゲを剃るのって、耳掻きで溜まってた耳垢をガシガシ取るのと同じ部類のスッキリ感だなぁ~とツルツルになった頬をさすりながら思った。


うん、まぁそれだけです。


おかしいな…。


7月の序盤は立て続けの更新をしていたのに…。それもこれもみんなこの猛暑が原因だ…。間違いない。


俺の部屋はエアコンがない、まさにエコの最前線なわけだ。戦争でも最前線こそが激戦区なようにエコロジーの最前線もまさに死屍類々の灼熱地獄だ。


「エアコンは28℃に設定」とか、結局エアコンつけるんだから意味ねぇーだろふざけるな。こちとら毎日が自然との戦いなんだよ!そんな偽善極まりないエコを振りかざす奴らに、夕立が来た時のオレの歓喜なぞわかるまい!


雨よありがとう。


毎日テレビで流れる熱中症による死亡者リストに、いつ自分が載るのかとハラハラしながら扇風機とうちわのみを武器に今日までなんとか生き延びている。


まぁそんなことはタイトルとなんの関係も無いんですがね。落語だって枕があって始まるわけだし、まぁいいじゃないか。


でまぁ、一週間程前に釣りに行ったんですがね、ついに…ついに釣ることに成功したんだよ…。








ナマズをッ…!!



お茶、入りましたよ-100717_2245~0002.jpg


このナマズを釣り上げるのにどれほどの試行錯誤があったことか…。ここでは省略しますが。



今回はナマズを釣って食べるのが目的の釣行。釣ってすぐにでも食したかったが、釣り上げた川の水質に不安があったので、綺麗な水で数日飼って泥抜きすることにした。


わざわざ一緒に釣りに行った友人の使ってない大型水槽をもらい受け、俺の部屋のベランダで飼育することになった。できれば室内で飼育したかったが、部屋の中で80リットル以上も入る水槽が水漏れでも起こしたら洒落にならないので諦めた。


しかしまあベランダはベランダで魚の飼育には向いた場所ではなく、日中は常に西日が当たるので、水槽の水は夕方にはお湯になるほど暑い上に、隣の部屋の室外機がフル稼働している為、夜になってもずっと熱い。(上に書き忘れたが俺の部屋が暑いのはこの二つが大きな原因。エアコン無いのに室外機はある。はっきり言って終わってる)



なので数日後に天ぷらにされるナマズの為に、毎日クソ暑い中、浄水器の冷たいキレイな水を何十リットルも運び、日陰を作り、熱帯魚用の水質改善の薬を入れ、にごった水を捨てて、という対価と釣り合わない労働を何日も強いられる羽目になった。

多分合計で200リットルくらいは運んだんじゃないかと思う。



そうしてペットでもない魚を手厚く面倒をみること数日。ナマズの試食の為に友人が我が家を訪ねてきた。



「ああ…。この馬鹿らしい労働からやっと解放される。そして念願のナマズの天ぷらを口にすることができる。」



腰が痛くなる日々とおさらばできるそんな日なのに、なんだか気持ちが乗り切れない。あれだけナマズを食するのが楽しみだったのにいざ食おうというその時、俺の心は揺れていた。






そう。







情が移ってしまったのだ。






明るいところで見るそのナマズは、つぶらな瞳にユーモラスな顔つきをしており、見ているうちにだんだん可愛く見えてしまい、さらにそんな気の抜けた顔つきが我が家の愛犬とダブって、とても自分の手にかける気にはなれなかったのである。


「くッ…俺には…俺にはあいつは殺せない…うう…」


とどこぞの改心した悪役のような心境になってしまい、そんな俺の姿を見かねた友人Mは「ああ?ぬるい事言ってんじゃねーよ。まあ…今日は帰るから食う決心がついたら連絡をくれ」と言い残し部屋を後にした。


食うべきか食わざるべきか…。ぐるぐると頭に渦巻く。そもそも食べる為に釣りに行ったのだから迷うほうがおかしいのだが…。


いつまでもベランダの仮設の設備じゃ飼い切れないし、大型魚を飼うスペースも部屋にはない。食えない飼えない、じゃあ逃がすしかないか…。なんて本末転倒な結論だろうか。だが俺が苦悶の末に出した答えだ。悔いは無い。


だが逃がしに行くにも車も車検で無いし、ほぼペーパーの俺が自力で行くのは辛いので、今回一緒に釣りに行ったO君に車を出してくれ!と連絡を入れた。


俺「かくかくシカジカでナマズを逃がしたいから、悪いけど車だしてくんない?」

O「いや俺今週は忙しいから車は出せねえよ。黙ってナマズでも食ってろ」


みんななんて心の冷たい奴らなんだ。しかし困った。もう選択肢が無い。連日の暑さで目に見えてナマズは弱っていたし、俺も毎日毎日水を汲むのにはもううんざりしていた。




もう、食うしかない…。



ついに悪魔の選択を取らざるを得なくなった。




「せめて美味く料理してやるからな…」そう声をかけた時のナマズの切なげな瞳が今も忘れられない。その後友人のMに連絡を取り、その日の夜に試食会が再び開かれることになった。


日も落ちた頃。最後に綺麗な水に変えてやろう…と思い立ち俺はベランダに向かった。飼うことも考えて名前まで考えていたのに…。(ちなみに名前の候補は蒲焼さん太郎)


「さあ、最後の水換えだ…。」そうつぶやいて水槽を見る。





!!?!!?!?





いない…!!



ナマズがいねえ!!!





「は!?どこだ!ナマズが消えた!何で!?カラスか!?ええ?なんで!?どこいっ…」


そこで俺は自分の目を疑った。何かが…何かがベランダの排水溝に詰まってる…!!






もう何も言うまい…。