『柳生十兵衛七番勝負』 | 日々是(ひびこれ)デス・ロード

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〜剣に邪は要らぬ!ただ剣に生きよ!!〜

乱世が終わり、泰平の世に向かおうとしている日本。
徳川家光の治世。
10年の放浪の果てに父・柳生但馬守宗矩に江戸に呼び戻された剣豪・柳生十兵衛は、幕府転覆を目論む戸田勘解由の策謀を知る。
戸田勘解由は、今は亡き駿河大納言忠長の側近であった。
家光に味方する訳では無く、戸田勘解由の企みにより乱世に逆戻りすることによる民百姓の苦しみを憂いた十兵衛は、駿河大納言の残党勢力や幕府に歯向かうとされる者たちを幕府の隠密剣士として斬り捨てる過酷な旅に出るのだった――。



ニチアサで戦隊とライダー、夜の海外ドラマ、そして日曜美術館以外での毎週日曜の楽しみである日曜早朝の特選時代劇。
そこで、な、なんと!あの昔懐かしき『柳生十兵衛七番勝負』が再放送という!!

金曜時代劇当時、2005年ってばバリバリ中学生ですよワタクシ…。
ガキ時分に少しだけ垣間見たあの柳生十兵衛が再び見られるなんて!
人生、生きてみるもんですな。

本ドラマはリアタイでは確かちょいちょい観ていて、ぐっさんと伊吹吾郎とかの回は観た覚えがあります。

で、ラスボスである宮本武蔵が千葉ちゃん、と。
ほんとにスゲーですな…。

命のやり取りが当たり前だった時代を舞台にしたストーリーは重厚の極み。
斬りたくなくても斬らねばならぬ!という苦悩が十兵衛を次第に蝕んでいく。
加えて、十兵衛役の村上弘明はじめ超豪華キャストの演技が超すげーもんだから、より一層重厚に。
いぶし銀の雰囲気に、噛めば噛むほど滲み出るような旨味がもうこれでもかとたっぷりと…。
どの回ももうほんとにめちゃくちゃ良い。が、特に伊吹吾郎の回と千葉ちゃん登板の回が胸に突き刺さりましたよ。
千葉ちゃん演じる壮年の武蔵がガチでそのまんま我々が知る今に遺る「宮本武蔵」なんでスゲーですな。
しかも、やはり凄まじい気迫!

本ドラマは、武士とは…、武芸者とは…、とか、天下泰平の世の流れに逆らうようにしか生きられない不器用な者たち、幕府の政の犠牲者たち、色々なことの犠牲者たちの不器用なドラマ…。
やるせない話ばっかなんですが、そんな中で千葉ちゃん演じる宮本武蔵の存在が圧倒的救い。
十兵衛に武蔵がもたらしたものが凄く良かったですな。
「剣に邪念は要らん。剣は剣のみに生きれば良い」
武蔵の言葉が十兵衛を重圧と葛藤から救うのだった。

そして、松重豊演じる宿敵・戸田勘解由。
亡き大納言様の復讐に凝り固まってしまった人ですが、最終回にて自分の目の前で遊ぶ子供たちに竹とんぼを作ってあげたりしたことからも根は決して悪い人ではなかったのが分かり、悲しくなりましたよ…(´・ω・`)
十兵衛に斬られて死ぬシーンも本当にやるせないんです。
つくづく武闘派な武士が救われねーなこのドラマ…(´・ω・`)

夏八木勲演じる柳生但馬守宗矩も俗物に描かれて無くて、非常に策士に描かれていて良かったです。
本作の夏八木但馬守が好き~。
最後に一番美味しいところを持っていくところとか笑

では、戦闘シーン。第一話と最終回のコマ割りの戦闘シーンは時代劇では結構斬新な新鮮味をもたらしていました。
独特の緊迫感というかなんというか…。
でもやっぱりコマ割り戦闘シーンは途中は止めて正解だったと思いますよ。途中は王道になっていて本当に良かった。
剣のことは残念ながらさっぱりなんですが…(何のために武道やってたんだよ…(´・ω・`))、本作の殺陣は非常に“それっぽい”。
で、千葉ちゃんの剣さばきは、個人的に千葉ちゃんの十兵衛は殆ど観たことないのですが、それでもやっぱ凄すぎるのです。いや、当然か。
その他、松重豊にはじまる十兵衛と戦う各御仁の殺陣は非常に迫力有り!そして、斬られ役ならこの人!な安心の福本清三先生の神風な殺陣も相変わらず凄かったです。
あと、適度に刃毀れしたり適度に傷付いた剣とか生々しいところが良いですね。

更に、本作の主題歌はジョー山中――もとい松田優作の「戦い続ける男達へ」であるわけで(ジョー山中のバージョンは「戦い続ける男達に捧げる詩」)。
EDもね、これがまた作風にマッチしまくっていて味が非常にありまくりですよ。


個人的に初めて観た柳生十兵衛は村上弘明なんですよな〜。
そんでもって全く知らなかったんですが、オリジナル脚本の続編があと2シーズンあるらしいと…。
ほへー。
やっぱ人気出るわけだわ。

このドラマは、本当に大傑作です。
今じゃあもうこういう戦う男たちの男くさかったり在りし日の武士の哲学的な時代劇ドラマはめったに作られないよな~…(´・ω・`)