先日、『菜根譚』を読了しました。
コンプリートのやつね。
で、簡単な感想をば。
『菜根譚』とは洪自誠著作の中国古典です。
しかしながら、『菜根譚』は本場中国では知名度が無いマイナーな本だそうな。
おい、著者が草葉の陰で泣いてるぞ中国人!
著者の洪自誠についても謎が多く、明代のお役人であり、宮中のゴタゴタに負けてど田舎にバックレて余生を送った人らしい、という位のことしか分かってないみたいですね。
やる気ねーな中国人!
で、『菜根譚』は中国ではヒットしませんでしたが、実はお隣のわが国日本では大ヒットしたんです。
多分、これには洪自誠もあの世でビックリ仰天したんじゃないでしょうかね。
そんなこの本の肝心の内容はというと、仏教と儒教と道教のいいとこ取りをして纏めた本という感じらしいです。
そんな『菜根譚』を読むと、やはり中国人よりかは日本人ウケが良さそうな感じではありますね。
というのも、日本人気質的なものを中国人にしては珍しく洪自誠という人は『菜根譚』で記しているからです。
つまりは、先の通りの“いいとこ取り”ですね。
古の時代より日本人とは、何事もいいとこ取りして自己流に魔改造して自分たちの文化に馴染ませてしまうという柔軟性に富んだことが大得意な民族だと思います。
『菜根譚』がまさにそんな風なんで、そりゃあ日本人にはウケるだろうな、と。
俺は『菜根譚』以外は、孫子を除く、孔子、老子、孟子、易経(抜粋)等を一応読んだわけですが、『菜根譚』が一番しっくりきました。
で、やっぱ中国人には合わねーし第一よく理解できねーんじゃねーかなと思いました。
個人的経験上、中国人というのはなんか何かにつけて「これと言ったらこれ!他(異論)は認めん!」という一点張りな押し付けがましい印象なんで。凄く穏やかな人でも根底にはこういう性質が結構垣間見える印象ですね。
多分、中国人からしてみれば『菜根譚』の日本人的な哲学は八方美人的だし、何より優柔不断的に見えてよく思わないんじゃないかな。
『菜根譚』を読むと、著者が職場でいかに苦労していたかが窺い知れますし、明という混乱の時代において人として正しい道を何とか頑張って周りに訴えたかったか、その必死さと嘆き、いかに追い詰められていたのかがよく分かりました。
時代も職場もブラックの極み。
でもって、そんな環境から解き放たれた引退後はまさにスローライフでして、文面からしてなんか滅茶苦茶ハツラツしてるんですよね(笑)
読んでいて、著者の人柄がよく分かり楽しくなってきます。
『菜根譚』は方意地張らずに読めるし、押し付けがましくないのでオススメします。
また、洪自誠という人は、誠実さ、人として正しい道を歩むことを最重視していて、道徳本としても良いと思います。
中国古典は『孔子』や『孫子』あたりが超メジャーだけども、難しそうで手を出し辛いと思う人には『菜根譚』はオススメです。