『武士の献立』 | 日々是(ひびこれ)デス・ロード

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自分の好きなものについて垂れ流していくブログです。基本ネタバレ全開なんでそこんところ注意。

〜極めろ、料理道!輝け、包丁侍!!〜



江戸時代。刀を包丁に持ち替え、将軍家や諸藩の台所を担う侍達が居た。所謂、“台所方”である。

位の低い彼らは、軽蔑と親しみを込めて“包丁侍”と呼ばれた。

加賀藩6代藩主である前田吉徳の側室・お貞の方に幼い頃から仕える女中の春。

春はある時、加賀藩台所方・舟木伝内から彼の次男・安信の嫁に欲しいと懇願される。

春は以前に宴の席で出された汁物の具の正体を見事に当てたことから、伝内は春を息子の嫁にと思ったのであった。

しかしながら、春は以前に商屋に嫁いだものの離縁した身であり、更には安信よりも四つ年上であった。

そういった事情で春は一度は話を断ったものの、伝内の熱意に心を打たれ、そして、お貞の方の願いもあって舟木家への嫁入りを決意する。

しかしながら、春を待っていたのは、急死した兄に代わり台所方を務めるも、料理が全くもって出来ず御役目に全く身が入らない安信の存在があった――。




え〜とですね。本作は、まぁとりあえずですね…、

春(演、上戸彩)がうちの嫁に来てほしい!!!!!

と思った次第でザンス。


台所役だけど料理嫌いの夫を料理上手な春が支えていく、で、大団円☆…的な話かと思ったんですよ。

違いました。

途中までは、春がスパルタ式に安信を鍛え上げるわけなんです。

でも、そこに加賀藩のお家騒動が絡んでくるのですね。

安信はお家騒動に加担しておりまして、なんちゃらかんちゃら、と。


いや、僕が観たかったのは、台所役だけど料理嫌いの夫を料理上手な春が支えていく人間ドラマだったので、正直言って拍子抜けでした。


途中まではまあまあ良かったんですよ。


でも、あとは右肩下がり的な。


あくまで個人的意見ですけどもね。


原作があるのかないのか、そしてまた、実話なのか分かりませんけども、お家騒動と絡めるのは話が明後日の方向にぶん投げられてしまったような気がひしひしと致しますよ。


ただ、春は物凄く良かったです。

上戸彩だからなんとなくバリバリの勝ち気なイメージがありましたが、そうでもないじゃん、と。

しっかりした嫁さんですね春は。

春と離縁した商家ははっきり言って馬鹿ですね。


春は27歳。当時としてはかなりの行き遅れです。

それでも嫁にと言う舟木の父ちゃん(演、西田敏行)はそれだけで人物が分かります。まあ、そりゃ欠点はありますけどね。


安信は剣術がかなりできる。で、道場の幼馴染の娘と結婚したいなーなんて夢を見ていたら、兄の急死により夢は儚く砕かれ、台所役に。安信が自ら台所役に志願したのでした。

でも、包丁侍は嫌だなんだとぶーたら文句は垂れるわ、仕事は超テキトーだわ、こいつは世の中舐めとんのか!?氏ねよ!!と切に思いました。

今の時代でも23なんつったられっきとした大人であるし、江戸時代ならもうおっさんくらいの年齢ですよ?

男なら腹を括れよ。

春には“古だぬき”やらなんやらとモラハラ尽くしの手痛い仕打ちばかり。

もうね、氏ねよ、と。斬首で良いよ斬首で。腹は切らせん。

で、春が一世一代の決心をして安信の命を救おうとすれば、安信は武士の面子を潰したとして春を斬ろうとする始末。

武士の面子ではなく、本当は自分の面子を潰されたことにキレてるわけであり、それを自覚しようともしない安信は本当に愚かしいことこの上ない男ですね。

でもって最後は、「お前は俺を変えてくれた。俺にはお前が必要だ」と。

もうね、俺はこいつの下げた頭を叩いてしばき倒したくたくなりましたよ。

この安信という阿呆馬鹿たれには始終苛々しっぱなしで、残念ながら最後まで感情移入できませんでしたね。


舟木の姑も無神経を絵に描いた様で、現実に居たら確実に嫌な人ですね。氏ねよ。


伝内も伝内で、春ばかりやたらと贔屓して跡取りである安信とはろくに意思疎通してない感じだったのも、「こいつ…」と…。


本作は、人間ドラマはピースが欠けすぎていて凄く物足りなかったですね。


料理はスゲー美味しそうでした。


大団円なラストを迎えるものの、特に安信に全くもって感情移入出来なかったので、個人的にはモヤモヤが払拭出来ない映画でした。


春がひたすら可哀想な映画でした。


あと、Charaの歌は完全に場違い。Charaの歌が流れ出した途端に、ますます萎えまくりました。


春以外、非常に残念な映画でした。