『パニッシャー』シーズン1 感想 | 日々是(ひびこれ)デス・ロード

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今更ながら、ネトフリで念願叶って『パニッシャー』シーズン1を観ました。

感想を一言で言うと、もう超絶最高に面白かった!!!!!


『デアデビル』シーズン2で思いっきりブイブイ言わせた俺達のパニッシャー。

映画『パニッシャー ウォーゾーン』やトム・ジェーンの自主製作短編以来のパニッシャーですな。


思えば、ジョン・バーンサルがパニッシャーを演じると知った時は非常にワクワクしたもんです。

そして、いざ蓋を開けてみれば、俺的に史上最高のパニッシャーなのであった。

吹き替えはジョン・バーンサルで安心安定の坂詰貴之さんだから安心。


で、惜しくもマーベルレジェンズは手に入らなかったので、デアデビルと共に首振り人形買ったんだけど、それもスペース確保の為に泣く泣く売却…( ;∀;)(超号泣)

それでも、俺の心にはいつもあの白いドクロマークはあるんだよフランク…。


ということで、以下、『パニッシャー』シーズン1の俺的感想です。



とりあえず主要な悪党を軒並み滅☆殺したパニッシャーことフランク・キャッスルは名前を変えて髭や髪の毛をボーボーに生やして建築現場でバイトする日々を送っていた。

朝から晩までひたすら無言でハンマーを壁にぶちつけるその様に周りはドン引き。

そんな中、なんやかんやあって日頃から何かと因縁をつけてきた同僚共を成☆敗したフランクの手元に一枚のCD-ROMが。送り主は“マイクロ”なるオッサン。

それには、かつてフランクがマリンコ時代にアフガンのカンダハールにて行われた特殊任務・“ケルベロス作戦”の時の非常〜にヤバい映像が記録されていた。

完全に自分の黒歴史としていたその作戦の映像が残っていたことに焦るフランク。

マイクロの面を暴いたフランクだったが、元お役所勤務出身のマイクロ自身もその映像のせいで当局から襲われ、自らの死を偽装して地下に潜った身であったのだ。

こうして、なんやかんやあって同じホシに成敗するため不本意ながらも互いに共同戦線を張ることにしたフランクとマイクロ。

まずターゲットとするのは、“エージェント・オレンジ”なる謎のハゲオヤジ。

そして、政府側からはアフガンから帰還した国土安全保障省のマダニ捜査官がカンダハールの件を掘り下げ始める。

裏切りと工作が複雑に絡み合う中、フランクは自らの罪と過去に決着をつけるため、巨悪に立ち向かうことを決意するのだったーー。

という感じである。



『パニッシャー』はドラマにして完璧に正解だったと思う。

今回は只のリベンジものではない。

帰還兵の救われない苦悩、フランクの孤独と苦悩、フランクやマイクロや、そして国家の罪と罰etc.、数々のテーマがたっぷりと緻密に丹念に描かれている。

故に、話はすげー重い。


なにもフランクだけが悪いんじゃなくて、そのフランクに自分の罪と罰やら全てを丸投げしたマイクロも十分悪い。


因みに、マイクロ役の人、原作のマイクロはかなりのデブなので最初は「痩せすぎじゃん!只のメタボじゃん!イメージ違う!」なんて思っていたけど、観ていくうちに普通にマイクロにしか思えなくなったのが凄い。


とにかく、このマイクロはタマ無しだったんだけど、フランクに尻を叩かれて前線に出ることになる。

そして、そこでこれまで自分がしてきたこと、所謂“現実”ってやつを初めて切に実感する羽目に。


そんなマイクロは、今は戻れない自宅のあちこちにカメラを仕掛けていて早い話が自分の家族を盗撮しているわけなんだけど、マイクロが死んだと思っている嫁さんや子供二人の関係はギスギスでもう家庭崩壊寸前。

そこに、ひょっこり事故を装ってフランクが現れる。最初はマイクロの正体を探りに来たわけだけど、家族を殺された者同士(まあ、マイクロは死んでないけど)段々とフランクとマイクロの嫁のサラは親密になっていく感じ。

そんな様子を涙目になりながらただ指を咥えて見ていることしかできないマイクロの悲哀は、顔面ドアップの映像と相まって非常に涙をそそる。が、しかし、「そーなったのは全部お前自身のせいじゃん!」なのである。

だけど、スケボーの件でグレた長男が姉を殴った時に、「俺の家族、今までこんなことなかったのに!」的に驚愕と悲しみのリアクションを取るマイクロには流石に涙を禁じ得なかった。

本作のキャスト陣の演技力はモブまで含めて総じて凄く高いんだけど、マイクロの演技も然り、顔芸が非常に秀逸すぎて黙ってしまった。


回を重ねる毎に描かれるフランクとマイクロの微妙な関係が観ていて心地好い。

汚い穴蔵でオッサン二人の生活。

仲良く二人で笑い合ったと思ったら、次の瞬間一触即発になったりする。

なんとも不可思議な関係だが、そこが大変面白い。

だけど、最終的には友情で結ばれる様が良い。


フランクの戦友・ビリー・ルッソ(もう名前からして悪役なのはバレバレなんだけど(笑))のハニートラップにまんまと引っ掛かり、手のひらの上で転がそうというつもりが逆にビリーの手のひらの上で転がり続けるアホのマダニ。気合いだけは十分だが、いかんせん、人を見る目が無いし、“正義”とやらを盲信しているよく居るキャラ。本当は正義なんてどこにも無いのにね。

間接的に、気の良い相棒のサムを無惨にも死なせてしまった。

つくづくこいつは馬鹿だなぁと思う。しかしながら、このドラマのキャラクター達は皆どこかスキがあって、それが非常に人間らしくて人間臭いのが良いのだ。


そして、本筋と並行して描かれるのが一人の若い帰還兵の物語。

明らかに精神を犯されてる彼は、とりあえず戦場を求める。何故ならば、本当はどこにも居場所が無いからだ。

精神を病んでいてもランボーのように強くはない。だから、自分は名誉あるベトナム帰還兵だと嘘をつくオッサンの話を鵜呑みにした挙げ句に、結局ナイフで襲ってきたそのオッサンを返す刀で刺し殺すという大変な墓穴を掘ってしまう始末。更には、世にも恐ろしい行動に出て、無事テロリスト化し自爆。ざまあみやがれ。自分の事を棚に上げて他人に責任転嫁してるからそうなるのさ。


で、こいつらが参加していた、フランクの戦友カーティス(元衛生兵で現在は片足が義足)が開いているサークルのカウンセリングのシーンは、なんか胸が締め付けられる。そのフランクの戦友がこれまたとてつもなく良い人でね…。この物語の良心ですわ。


肝心の戦闘シーンは迫力満点!この一言に尽きる。言葉少なくてすいません!

特に、グンナーとの共闘が個人的には燃えた。ああいうゲリラ戦大好き。

あと、CIAの施設での狙撃には笑った。CIA御用達なんだから普通に防弾ガラス仕様とかじゃねーの?って(笑)現実ではあり得ないですかね?

敵の生首爆弾とか、ドクロマークを取り戻したフランクはフルスロットル!

また、拷問をエロい妄想で耐える、という手を初めて知った。いや、真面目に。

ビリーとの最終決戦でビリーをボコボコにするところは非常にスカッとしたなぁ。


そして、全てが一応は終わり、マイクロと別れ、カーティスの集会で己と対峙するフランク。

「ーー怖いんだーー」

良い終わり方だと思う。



この『パニッシャー』シーズン1は「じゃあ、文句あるならお前こそどうなんだ?」と、ガツンと一発頬をぶん殴られるドラマだった。完成度すんげー高し。


この世には罪と罰が常に生まれ、それが我々一人一人の中にどれほど存在するのか。正義なんて崇高なもんじゃなく、ただ“正しい事をする人”であれ、と。そしてそれになるか、それとも悪人になるかは、結局は己次第なのよね。


色々おめでたい人ほど、このドラマは一度観た方が良いです。オワリ