甲状腺眼症による目の変化を追究する眼形成再建外科医 | 眼形成再建外科医 三村真士

眼形成再建外科医 三村真士

まぶたや涙といった、眼の周りでその働きをサポートする眼付属器を治療するのが、眼形成再建外科です。
約20年間、コツコツとこの分野で仕事をしてきた専門医の徒然なるブログです。
日本の眼付属器を守るために、情報発信をしていきたいと思います。

一気に寒くなり、インフルエンザの流行も継続しておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

何卒ご自愛くださいニコニコ

 

さて、先日アメリカ眼形成再建外科学会とアメリカ眼科学会で発表するためにサンフランシスコに行ってきました。

 

 

2016年(観光)、2019年(学会)に続いて3回目の訪問でしたが、年々サンフランシスコの街は縮小傾向となっているのを身をもって感じてきました。

悲しいことですが、地価と物価の異常な上昇による失業率の増加に加えて、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受けて、

飲食店はかなり減少して、観光客もかつてよりかなり少ない印象でした。

時代の変化を感じざる得ないなー、と海岸線を散歩しながら思いにふけってしまいました泣

 

さて今回のアメリカ眼形成再建外科学会では、甲状腺眼症に対する眼窩脂肪減圧術後には左右の眼球の距離が縮まる、

という発表をしてきましたグッ

 

(モニター患者さんの了承を得て掲載しています)

 

甲状腺眼症はお顔の印象をがらっと変えてしまいます。

 

その原因として、眼球突出(目が飛び出る)や眼瞼後退(目を見開く)が一般的に有名ですが、

左右の眼球の距離が広がってしまうのも大きな要因となりますドクロ

 

これは、左右の眼窩の中心軸は平行ではなく、約90度の角度がついているため、眼球が突出すると左右の目の距離が離れてしまうのです。

 

 

当院で治療した98眼の甲状腺眼症の眼窩脂肪減圧術前術後を解析した結果、

術前に比べて術後に平均で1.53mm左右の目の距離が縮まっていました。

これは脂肪を1cc切除あたりに換算すると、0.29mm短縮となります右差し

さらには、鼻側の脂肪の減量が耳側よりも効果的だという解析結果がでましたOK

 

 

甲状腺眼症治療の最終目標は、発症前の目に戻すことです。

眼窩脂肪減圧術は定量的に脂肪を減量できることがアドバンテージの一つと言えますが、

このように左右の目幅を精密にコントロールできることができるので、より高度な治療目標を設定できるのではないかと思いますチョキ

 

 

続いて行われたアメリカ眼科学会では、甲状腺眼症による眼窩周囲の軟部組織の変化についてレクチャーをしてきました足

 

 

内容は留学時代に研究して論文にしたもので、

甲状腺眼症は眼窩内の筋肉と脂肪が炎症で脹れるために眼球突出が起こるとされていますが、

同時に眼窩周囲のまぶたの深層にある脂肪も炎症で脹れる結果、腫れぼったいまぶたになってしまうという内容です。

 

 
よく甲状腺眼症の患者さんが訴えられるのは、上下まぶたの腫れ(膨らみ)であり、この脂肪が症状の一因となっています。
したがって当院では、眼窩減圧術で目の位置をもとに戻したあと、
必要に応じて眼瞼手術を追加で行って、眼窩の周りにある脂肪を減量し、さらに腫れぼったいまぶたを改善していますグッ
 
 
 
このように、甲状腺眼症は目の後ろだけでなく、目の周り、ひいてはお顔全体に影響を与えているのですドクロ
 
眼形成再建外科医としては、甲状腺眼症で悩まれる患者さんたちの目元をできるだけ元に戻す努力を続けたいと思います!完了