アジア・アジアパラ競技大会のレガシー継承について質問
こんにちは。
ますだ裕二です。
12月議会本会議において、アジア・アジアパラ競技大会のレガシー継承について、質問させていただきました。



皆さん、おはようございます。
私は名古屋市中区選出のますだ裕二と申します。
通告に従い、順次質問をさせていただきます。
私からは、アジア・アジアパラ競技大会のレガシー継承について、その効果を引き出すために三つの視点から質問をしてまいります。
一九五一年に始まったアジア競技大会はアジア最大のスポーツイベントであり、参加選手数はオリンピックに次ぐ規模とされ、アジア各国の選手が一堂に会し、陸上や水泳といった一般的な競技に加え、スカッシュやカバディ、セパタクローなど地域特有の競技が行われるのも特徴であります。
観客はふだん見ることのできない競技を楽しむことができ、各国の文化やスポーツの多様性を体感することができます。
一方で、アジアパラ競技大会は、二〇一〇年に中国の広州で初めて開催され、四十一の国と地域から約三千八百人の選手が参加しました。
アジアパラ競技大会は単なるスポーツイベントにとどまらず、社会課題解決のプラットフォームとして機能すると言われています。大会を通じて、障害のある方の社会参加や理解促進が図られ、多様性を尊重する意識が広がることから、アジアパラ競技大会は地域社会や国際社会において重要な役割を果たすとも期待されています。
そんな国際的にも大きな役割を果たす、第二十回アジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会が、二〇二六年、この愛知・名古屋で開催されます。アジアトップ選手のハイパフォーマンスが見られるとあって、国内外問わず楽しみにしている方も多く、たくさんの方がこの愛知・名古屋に訪れることが予想されています。
今回、大きなテーマとして取り上げさせていただいたレガシーとは、長期にわたるポジティブな影響とされ、近年、国際オリンピック委員会(IOC)が最も力を入れているテーマの一つでもあり、IOCの憲法とも言えるオリンピック憲章にも、オリンピック競技大会のよい遺産、レガシーを開催都市並びに開催国に残すことを推進すると記載されています。
そして、アジア・アジアパラ競技大会が愛知県内にもたらす直接的な経済効果としては、大会運営にかかる支出や観客、選手、大会の関係者の消費支出などを含めますと、大会開催に伴う需要増加額は約千六百九十二億円と試算されています。
また、大会開催後のレガシー効果も重要であり、大会の契機に実施される施策によって生じる経済効果は約七千五百十九億円とも言われ、その効果は、スポーツの振興のみならず、文化、教育の振興、環境保護、都市整備と多岐にわたるとされています。
さらに、経済波及効果に目を向けてみますと、大会開催による生産誘発額は、愛知県内で約一兆九百億円と試算されており、さらに雇用者所得誘発額は、愛知県内で約三千三十二億円、雇用誘発数は十万八千五百九十七人に達すると言われています。
このような経済効果は短期的なものだけではなく、長期的にも地域のブランド力向上やインフラ整備による持続可能な発展につながる可能性があります。
大会後も新たな国際的イベントの誘致や地域振興策が進むことで、名古屋市及び愛知県全体の経済成長に寄与することが期待されています。
そのためにも、愛知・名古屋として、長期的なレガシー効果を生み出すために、都市部において魅力向上のためのインフラ整備や治安維持対策、いわゆるハード、ソフト両側面から対策を講じていくことが求められてくると思います。
初めに、ハード対策として、都市部のまちづくりについて質問していきます。
リニア中央新幹線の開通は中京大都市圏の形成において重要な役割を果たすと期待されています。この新幹線は、東京と名古屋を約四十分で結ぶことが可能になり、名古屋から大阪まで接続も進められています。
これにより、三大都市圏と言われる首都圏、中京圏、近畿圏が一体化し、人口約七千万人のスーパー・メガリージョンが形成される見込みであります。
そして、このスーパー・メガリージョンがアジア・アジアパラ競技大会の長期的なレガシー効果に大きな影響を与えると思われます。
これから多くの国内外観光客を受け入れるためには、都市部の魅力あるスポットをつないでいく必要があり、その中心的な存在となるのがIGアリーナであると思います。
このIGアリーナを中心とする地域のスポーツ振興施策の推進によって、アジア・アジアパラ競技大会開催のレガシー効果が引き継がれることを二つの調査結果からお示ししたいと思います。
初めに、建設中のIGアリーナを視察させていただき、IGアリーナを運営する株式会社愛知国際アリーナの方からお話を聞かせていただきました。
関係者のお話によると、中京大学、舟橋准教授の調べでは、アメリカのアリーナ運営において、世界大会等を誘致すると、アリーナの半径三キロ圏内の商業・飲食店舗の売上げに貢献し、半径五キロ圏内ではその地価が向上するとの研究結果が出ているとのことから、IGアリーナのオープニングに当たっては、近隣地域のエンターテインメント施設との連携や新たな観光資源の開発に取り組むとのことでありました。
具体的には、アリーナを楽しんだ後に滞在できる観光資源を、行政や事業者と共に開発していくとのことから、IGアリーナで開催されるスポーツイベント等の経済効果を生かすためのまちづくりを進めていくことが求められていると示されていました。
次に、先日伊藤貴治議員も触れられていましたが、愛知県議会北米調査団で訪問させていただきましたヒューストン、スポーツオーソリティーは、ミニッツメイド・パーク、トヨタセンター、シェルエナジー・スタジアムと三つの競技施設を所有し、ハリス郡のスポーツ施設の計画、整備、開発、運営を行っており、スポーツコミッションとしての役割を果たしていました。
三つの競技施設は、通常はプロチームの本拠地として活用されていますが、この隣接する保有施設の特性をフルに生かし、世界規模のスポーツイベントの招致活動に力を入れ、大会開催に伴う地域経済の発展や地域住人の生活の質向上に努められているとのことでありました。
実際にWBCの招致活動に使用した企画提案資料も見せていただきましたが、大会招致のための資料は本物の野球のホームベースを使った箱に入っており、その箱の中には、提案書類と野球ボール、アメリカで人気のベースボールカードに似せたスタッフ紹介カードを使うなど、審査員の心くすぐるようなオリジナリティーあふれる仕掛けがなされていました。
そんな招致活動もあり、二〇二二年には十七のスポーツイベントに携わり、五千七百九十万ドルの経済効果をもたらしたことで、ヒューストンという都市が全米に知れ渡るきっかけになったそうであります。
さらに、二〇二三年四月にNRGスタジアムで開催されたNCAA男子のファイナルフォーにおいては、三日間の開催で二億七千百万ドルという莫大な経済効果をたたき出したことで世界からも注目を浴びる取組となりました。
このように、世界規模のスポーツイベントの誘致は地域経済の発展につながるばかりか、周辺地域の治安も向上し、生活の質が向上したとのことであり、スポーツ振興施策の充実が周辺地域に及ぼす影響は大きなものであると感じました。
ここで、二つの調査をIGアリーナに置き換えてみると、経済効果が大きいと言われる半径三キロ圏内には、再整備が検討されている三の丸地区がすっぽりと入り、半径五キロ圏内には、栄や名駅などの繁華街や、愛知県美術館、徳川美術館などの文化施設が入ってまいります。このように、IGアリーナを中心とする地域には中京大都市圏づくりに必要不可欠な地域が点在しており、周辺にも経済波及効果がもたらされることが期待されます。
このIGアリーナを生かすためには、周辺地域のまちづくりを進めるとともに、県内のスポーツ団体や経済団体、市町村などが参画し、スポーツ大会による地域活性化に取り組んでいるあいちスポーツコミッションを活用し、IGアリーナへの大規模スポーツ大会など招致を戦略的に進めていく必要があると思います。 そこでお伺いいたします。
あいちスポーツコミッションの取組とも連携しながら、IGアリーナの開業による効果を地域活性化にどのようにつなげていくのかお聞かせください。
また、県における名古屋市及び周辺市町村を含めた広域的なまちづくりについて、どのように考えているのかお聞かせください。
次に、ソフト対策として、都市部の治安維持対策に関して、中警察署南久屋交番についてお伺いしていきます。
この質問をするきっかけとなったのは、二〇二三年五月十一日の業界新聞の記事を目にしたことにありました。
その新聞記事には、中区の繁華街を受け持つ南久屋交番が入居するスカイオアシス栄について、愛知県と民間企業との土地、建物に関する信託契約が二〇二七年に期限を迎えるとのことでありました。
南久屋交番は名古屋市中区の繁華街である栄エリアの中にあり、アジア・アジアパラ競技大会でも大きな役割を果たすと推察されます。
この交番は、一九九七年に完成し、愛知県警察のシンボルマスコット、コノハけいぶをモチーフにしたユニークなデザインが特徴であり、交番の外観は子供たちにも親しみやすい印象を与えるように設計されています。
特に交番の形状は胴体部分が左右に開く自動ドアを持ち、目が窓、口が電灯により表現され、二〇〇〇年には名古屋市都市景観賞でサイン賞を受賞し、地域のシンボル的な役割を果たしています。
そんなまちのシンボル的な側面を持っている南久屋交番は、広小路通沿いに位置し、名古屋市東区との境となる管内の東の端にありますが、一九九七年にスカイオアシス栄に入居する前は現在の中日ビル周辺にあり、管内の中心近くに位置していました。
南久屋交番は、かわいい外観とは裏腹に、地域の安全を守るために二十四時間三百六十五日機能しており、レイヤードヒサヤオオドオリパークと呼ばれるテレビ塔周辺、さらには栄地下街を受け持つ重要な交番であり、夜になると錦三丁目や女子大小路の一部の歓楽街からの要請にも応えている交番として多くの警察官が配置され、中区内では多忙な交番の一つとして重要な機能を果たしています。
昨今では久屋大通公園の再整備や高級ホテルの建設など、さらにまちの雰囲気も一変していく中で、IGアリーナの三キロ圏内に位置していることから、アジア・アジアパラ競技大会の開催やスポーツの国際大会誘致を契機に、より多くの観光客がこの地域に集中することが懸念されています。
こうした中、全国各地で交番や駐在所を統廃合する動きが進んでいることも報道等により承知しています。
しかしながら、日本中央回廊を目指し、世界中から人、物、金、情報を呼び込もうとしている中で、都心部においての安心・安全対策、いわゆるソフト対策は、アジア競技大会、アジアパラ競技大会のレガシーを生み出すための重要な課題の一つであると考えます。
そこで、二〇二七年に南久屋交番の契約が切れる前に、南久屋交番の今後の方針について聞いていきたいと思います。
名古屋市は南久屋交番の管轄内である久屋大通公園のさらなる開発を進め、帰宅困難者対策としてホールの建設や、店舗等が入居できる商業モールを建設する予定としています。
現在の都心部の交番は、中村警察署が大雨災害のときに行ったように、帰宅困難者の滞留対策や、訪日外国人観光客の道案内や困り事への対応など、地域の特性に応じたあらゆる事態に対応できる機能が求められてくると思います。
そこでお聞きいたします。 アジア・アジアパラ競技大会開催の翌年である二〇二七年に契約が切れる南久屋交番の今後の方針について、県警察の考え方をお聞きいたします。
そして、これは御提案ですが、南久屋交番の管内では、久屋大通周辺の開発が活発であり、また、南久屋交番管内の犯罪発生は久屋大通周辺に集中していると思います。
そこで、そういった地域の実情に合わせて、以前のように管内の中心に近い久屋大通周辺への移転を検討してはどうかと思いますが、警察本部長のお考えをお伺いいたします。
次に、アジア・アジアパラ競技大会のレガシーは、人の財産、いわゆる人財によっても引き継がれるものだと思います。
地元で活躍したアスリートがその知識と経験を生かし、県内企業の財産として活躍されることで、大会のレガシーを次の世代にまで引き継いでいけると思います。
そこで、アジア・アジアパラ競技大会でも活躍が期待されるアスリートのセカンドキャリア・デュアルキャリア支援について、具体的な提案を含めた質問としていきたいと思います。 まずは言葉の整理をしたいと思います。
アスリートのセカンドキャリアとデュアルキャリアの違いは、その定義とアプローチにあります。
セカンドキャリアは、アスリートが現役を引退した後に新たに始める職業や活動を指します。
これは、競技生活が終わった後の人生を見据えたキャリア形成であり、通常はスポーツとは異なる分野での仕事や活動に焦点が当てられます。
例えば、引退後にビジネスパーソンとして働くことや、コーチング、解説者などの職業に就くことも含まれています。
一方、デュアルキャリアは、現役選手としての競技活動と並行して、別の職業や学業に取り組むことを指しています。
これは、アスリートが競技とビジネスや学問を同時に追求する形であり、両方の役割を果たすことが求められます。デュアルキャリアは、アスリートが競技生活を続けながらも将来のキャリアを築くための重要な手段となります。
今回の質問に際し、日本女子バスケット選手の馬瓜エブリン選手に話を伺ってきました。
馬瓜エブリン選手は、デュアルキャリアを築くために二〇二二年から一シーズンバスケット選手を休養し、アメリカのシリコンバレー等を視察して起業家やベンチャーキャピタルと交流するなど準備を進め、二〇二二年八月に会社を設立いたしました。
そして、今年の十月からはSTATION Aiに入居しています。馬瓜エブリン選手からは、セカンドキャリアとデュアルキャリアの違いやそれぞれの支援の在り方について、アスリート目線でお話を聞かせていただきました。
まず、セカンドキャリアについては、選手として引退が近づいてきたときに、今までのキャリアを生かして仕事に就こうとするケースがほとんどで、猶予期間が短いことや、スポーツ以外の知識や経験が少ないなど課題が多く、思うように進んでいないとのことでありました。
具体的には、多くの選手がこの時期になってからセカンドキャリアについて動き出すことから、選択肢も少なく、スポンサー企業への就職や、コーチとしての就労がほとんどであるとのことでありました。
一方で、デュアルキャリアはアスリートとして最も価値が高いときに、その可能性を生かしたキャリア形成ができるため、職種も多岐にわたるばかりか、アスリートとしての経験や実績を生かしやすいとのことでありました。
したがって、早い段階でデュアルキャリアについて学び、スポーツ選手でありながらもう一つのキャリアを持つことの重要性を知ることができれば、アスリートとしてピークを迎えるときに、その可能性を生かしたキャリア形成ができるとおっしゃっていました。
馬瓜エブリン選手の話にもあったように、二〇二四年九月に発表された調査によると、引退したアスリートの八五・一%が二十代で競技を引退しており、その後のキャリアに対する不安が高まっています。
調査対象者の中で、就職活動の方法が分からないと回答した人は三〇・四%、また、自分に何が合うか分からないと感じている人は三二・六%にも上りました。このような不安は、アスリートが競技生活に専念していたため、一般的な就職活動に必要な知識等が不足していることが一因とされています。このように、アスリートの就職問題は、引退後のキャリア形成において多くの課題を抱えています。
競技団体や大学によるキャリア支援も十分とは言えず、特にアスリート学生に特化した就職支援を行っている大学は二七%、協議団体では四四・九%がキャリア支援を行っていると回答していますが、その内容は限られています。
また、デュアルキャリアに関する教育についても、実施されているのは競技団体で一二・九%、大学で四〇%と、大学のほうが高いものの、全体的には低い水準であると言えます。
この統計からも分かるように、アスリートが競技生活から一般社会への移行をスムーズに行うためには様々な支援が必要であると思います。
このような状況の中で、愛知県では、二〇一九年度から将来のオリンピック・パラリンピック選手を育成するトップアスリートアカデミー事業に取り組まれています。
昨年度までの五年間に延べ四百四十七名のアカデミー生を育成され、今年度はインターハイに二名、佐賀国民スポーツ大会に三名が出場されました。
佐賀国スポのライフル射撃に出場した高岡選手は、二種目で二位に入賞し、さらに、ライフル射撃のアンダー十八歳の日本代表として、今月中旬に開催される東アジアユース大会への出場を決めるなど、国際大会に出場するアカデミー生も誕生しているとのことであります。
しかし、馬瓜エブリン選手の話にもあるように、一度スポーツに打ち込んでしまうと自分の将来について考える機会は少なく、アスリートとしてピークアウトしてきた頃に気づく方のが多いとのことでありました。
愛知県でも、入り口であるアスリート発掘を行うのであれば、出口であるアスリートのセカンドキャリアも見据え、アスリートに寄り添ったデュアルキャリア支援にも力を入れていくべきであると思います。
アスリートのキャリア支援を行っていくことは、社会的な意義向上にもつながります。
例えば、成功した元アスリートがメディアに登場し、自分の経験を語ることで若者たちに夢を与え、スポーツへの参加意欲をかき立てる効果もあります。
このようなロールモデルは特に若年層に対してポジティブな影響を及ぼし、自信や自己肯定感を育む助けにもなります。
さらには、個人だけではなく社会全体に多大な影響を及ぼすことが明らかで、その可能性は未知数であり、アスリートのキャリア支援はスポーツ界とビジネス界とのかけ橋にもなり得ます。
アスリートが企業で働くことで、スポーツとビジネスの相互作用が生まれ、スポンサーシップやマーケティング活動が活性化します。このような関係は、スポーツイベントや大会開催など、スポーツ振興施策にも大きく寄与し、IGアリーナの運営の一助になることにも期待をされます。
これだけ社会にもたらす影響が大きいことから、愛知県としてもアスリートのデュアルキャリア支援に力を入れていくべきであると考えます。 そこで、デュアルキャリア支援に対するアプローチについて、私から具体的な提案をさせていただきながら、質問をしたいと思います。国においてはスポーツ庁が中心になり、二〇一七年二月にスポーツキャリアサポートコンソーシアムを創設し、様々な支援策を推進しています。
現在コンソーシアムが行っている、アスリートが無料でキャリア形成について相談できるキャリアセンターや、アスリートだけでなく、競技団体や民間企業がアスリートのキャリア開発について学ぶことができるアスリートキャリアチャレンジといったプログラムに積極的に参画し、県内のアスリートに対して情報提供や支援を行っていくべきであると思います。
また、愛知県が進めているあいちトップアスリートアカデミーのカリキュラムの中で、アスリートのデュアルキャリア等の座学も取り入れ、アスリートを目指しながら、アスリートの社会参画の意義について学ぶ機会を創出してはどうかと思います。 そこでお聞きいたします。
アスリートに対するデュアルキャリア支援について、現状と今後どのように取り組んでいかれるのか、県のお考えをお伺いいたします。
以上、理事者からの明快な答弁に期待し、質問を閉じさせていただきたいと思います。御清聴いただきありがとうございました。
「答弁」
スポーツ局長(松井直樹君)
あいちスポーツコミッションと連携した、IGアリーナ開業による効果を地域活性化につなげる取組についてお答えいたします。
二〇一五年に設立したあいちスポーツコミッションは、県内のスポーツ団体、経済団体、大学、市町村などから三百七団体に参画いただいており、会員間で情報を共有しながら、マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知、二〇一九年ラグビーワールドカップ、ラリージャパンをはじめとした全国的、国際的なスポーツ大会の盛り上げや、開催を生かした地域の魅力発信などを行っております。
来年七月に開業を控えるIGアリーナは、全国、世界から多くの集客を期待することができ、あいちスポーツコミッションのこれまでの活動の幅を飛躍的に広げることができる施設となります。
これまで愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で開催してきた大相撲名古屋場所やBリーグの名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームゲームについても、施設が充実し、収容可能人数が大幅に増加することを生かして、県外、海外からより多くの方にお越しいただき、観戦の前後に県内で飲食、宿泊、観光などを楽しんでいただくなど、IGアリーナの開業効果を生かすことが大変重要であると考えております。
引き続き、あいちスポーツコミッションの会員と連携、協力し、大規模なスポーツ大会の招致にも積極的に取り組みながら、IGアリーナの開業効果により、観光振興、交流人口の拡大などを図り、地域活性化につなげてまいりたいと考えております。
次に、アスリートのデュアルキャリア支援についてお答えします。
アスリートが安心して競技に打ち込み、引退後も充実した社会生活を送っていくためには、早い段階からのキャリア形成が重要となります。
本県では、二〇一九年に策定したアジア競技大会、アジアパラ競技大会を活用した地域活性化ビジョンや二〇二三年に策定した愛知県スポーツ推進計画二〇二三─二〇二七において、アスリートのキャリア形成に向けた支援を位置づけており、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)や中部経済同友会と連携して、現役トップアスリートと企業のマッチングを支援するアスナビ説明会を、二〇一九年から開催しております。
このアスナビ説明会では、これまでに今年の内定を含め九名のアスリートが県内企業に採用されております。
また、国際大会で活躍できるアスリートを発掘、育成するあいちトップアスリートアカデミーにおいても、スポーツ教養プログラムなどを通じて、デュアルキャリアを含め、アスリートのキャリア形成について学ぶ機会を設けておりますが、より一層充実してまいります。
さらに、国のスポーツキャリアコンソーシアムの相談窓口やキャリア形成に関するプログラムについても、本県の競技団体や強化指定選手、アカデミー生などに積極的に情報提供し、活用を促してまいりたいと考えております。 引き続き、トップアスリートを目指す選手たちが安心して競技に打ち込み、世界で活躍いただけるよう、アスリートに対するデュアルキャリア支援についてしっかり取り組んでまいります。
都市・交通局長(九鬼令和君)
県における広域的なまちづくりの考え方についてお答えいたします。
本県では、市町村域を越えた、密接に関連する地域を一体の都市圏として捉え、それぞれ、都市計画区域マスタープランを作成し、その将来像を示しております。
このプランに基づいて、市町村は、県と連携しつつ、まちづくりを進めているところです。
名古屋市及び周辺地域については、十七市町村を一つのエリアとして、名古屋都市計画区域に指定しております。このエリアでは、名古屋駅から栄を中心とする都市部に、オフィスや商業施設などの都市機能を集積させるとともに、名古屋城をはじめとする歴史、文化などを生かした広域的な地域づくりを進め、本エリアのみならず、広く愛知県全体の対流促進とにぎわいの創出を目指すこととされております。
今後は、議員御指摘のリニア中央新幹線の整備やIGアリーナの開業のみならず、中部国際空港の機能強化なども予定されており、このエリアは、さらなる交流の活性化や魅力の向上を目指していくことが必要です。引き続き、県としても、名古屋市を含めた市町村と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
警察本部長(鎌田徹郎君)
中警察署南久屋交番の今後の方針についてお答えいたします。 南久屋交番は、県内有数の歓楽街であります栄エリアを管轄しており、刑法犯認知件数、一一〇番等の受理件数が他の交番と比較して非常に多く、極めて多忙な交番であり、栄エリアの治安の維持に重要な役割を担っていることから、多くの勤務員を配置して活動に当たっているところでございます。
その南久屋交番が入居しておりますスカイオアシス栄の信託契約が二〇二七年八月に期限を迎えることは承知しております。 県警察では、交番の配置に当たりましては、管内の治安情勢、地域の実態、隣接交番や警察署との距離などを総合的に勘案して検討することとしているところ、南久屋交番につきましても、栄エリアの再開発や観光客の増加に加え、アジア・アジアパラ競技大会の開催による影響なども見据えつつ、地域のまちづくりと連動し、移転の可能性も視野に入れて関係機関と協議を行うなど、様々な角度から検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
知事(大村秀章君)
ますだ裕二議員の質問のうち、私からも、IGアリーナの開業による地域活性化についてお答えをいたします。
いよいよ来年七月に、IGアリーナが大相撲名古屋場所をこけら落としとしてグランドオープンをいたします。
NTTドコモが世界最先端のICT技術を採用した新しい観戦・鑑賞体験を提供し、世界最大のアリーナ運営事業者であるAEG(アンシュッツ・エンターテイメント・グループ)がそのネットワークを生かして国際的なスポーツイベントやコンサートの誘致を担当するなど、ハード、ソフトともに世界トップレベルのグローバルスタンダードを満たしたアリーナがここ愛知・名古屋に誕生をいたします。
既に来年十二月には、ISUグランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会、ちょうど今行われておりますね。そのフィギュアのグランプリファイナルの大会の開催も決定をいたしておりまして、二〇二六年のアジア・アジアパラ競技大会でも大会を象徴する会場となります。
オープンまで半年余りとなりました。このIGアリーナが持つ機能やポテンシャルを世界へ発信し、世界最高峰の魅力あるコンテンツを呼び込むことにより、国内外から多くの方に愛知にお越しをいただきまして、IGアリーナのインパクトを県内全域、また、日本国内全域に波及をさせていきたいというふうに考えております。
令和7年度予算に、アスリートキャリア支援事業が盛り込まれることになりました!
