土屋雅彦 | 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
土屋雅彦、10月28日のフリースタイル空手・東京オープンの無差別級に出場する。体重は80キログラム。本来は、中量級であろう。

半年前ぐらいから、フリースタイル空手プロジェクトに賛同し、一緒に稽古をしてきた仲間である。

寡黙で芯のありそうなタイプだ。北海道で極真空手の黒帯を取得したらしい。その他、職業柄、柔道、合気道、日本拳法などの経験があるそうだ(間違っていたらごめんなさい)。

彼の職業は航空自衛隊の徒手格闘の教官である。
寡黙で芯のありそうなタイプと先述したが、それは失礼だった(御免)。国民の生命を守る、我が国の自衛隊員の教官としては、当然の構えである。
私のような、べらべらと喋る変人空手家とは訳が違う。

土屋雅彦氏は、これまで、フリースタイルの練習試合を何試合かこなしている。結果は、空手しか経験のない者は、土屋氏に手も足もでなかった。彼は、打撃技と倒し技の両方をバランス良く使える。

彼は、新しいオリンピックスポーツを創出するというような、雲を掴むような話に乗って来たのではのではない(正直言えば、全員がそうであろう。信じているのは私一人だ。そんなのは承知の上だ・・・。だからこそ良い。私は、口の上手い詐欺師タイプは好きにはなれない。そういう、私はおしゃべりだが・・・)。
 
聞くところによれば、徒手格闘の訓練法として、フリースタイルの枠組み(ルール)、コンセプトが非常に良いと感じ、プロジェクトに参加してきたらしい。

今回は、土屋氏が忙しい中、まとめてくれた、彼の徒手格闘技観並びにフリースタイル空手の利点を紹介したい。

大まかに言えば、私の考えとほぼ同じだと言って良いだろう。
ただ、なぜ新しい武道スポーツか、ということについては、まだ完全に理解していないようだ(誰も理解していないが・・・)。
それを述べれば、あまりに大仰になる可能性がある。もう少し我慢する。
しかし、これだけは言おう。自衛隊員や警察官がそうであるように、平和と人の生命を守るために役立ちたいと、真剣に考えている。


兎に角、自衛隊の徒手格闘の教官である土屋氏の賛同は、私の意を強くしている。また、微力ながら、彼のような誠実な自衛隊員の力になれたら、望外の幸せだと思っている。

参考までに、私は、数年前に「フリースタイル空手」という拙著を上梓させていただいた。その内容は、徒手格闘の基本を、なるべく網羅するように、大雑把ながら掲載した。あれ以上、専門的にすると、ターゲットである空手家が理解できないからと、止められた。残念ながら、結果は、一部の空手家しか理解できないのが現状だが・・・。

詳しくは今回書き記す時間はない(これが精一杯)。
今回は、土屋氏のまとめた要点を読んでいただきたい。さすがに教官である。
分かり易く、要点をまとめてある。土屋先生、ありがとう。

【土屋雅彦~私の理想と考える『格技』『護身』について】

私が、理想と考える『格技』『護身』には以下のような条件を満たしていることが必要と考えています。

あくまでも自分のような職業を選択した者にとっての複数あるスキルの一つとして理解してください。
プロとして成り立っている競技やオリンピックの種目とは分離して考えています。勿論、僕は全ての武道と格闘技、スポーツが好きで興味があり、否定するものはありません。

1)多対一を想定している。
実践の格闘の場は、対象となる相手が1人とは限らない。従って稽古や練習の方法が特定の技術に偏っていては状況に応じた対応が出来なくなる。
また、体力の消耗も必要最小限にする必要がある。


2)対象となる相手は武器(刃物など)を持っている可能性があると想定する。武器を持った相手に対し、常に接近戦ではリスクが高いので、打撃技を有効に使い、間合いの見極めと一瞬の崩し技が重要となる。
しかし、必ずしも相手との間合いが保たれているとは限らないので接近戦での攻防も稽古(投げ技・立ち関節)は必要ではある。

3)稽古や試合では勿論、実践の格闘の場においても社会生活に支障をきたすような怪我をしてはならない。
年齢にあった基礎体力の向上、受身の習得は絶対条件であると考えます。当然、対象となる相手にも怪我をさせてはなりません。
特に試合と稽古の場においては、一緒に稽古をする相手がいるから強くなれるのです。感謝の念を忘れてはいけません。

  
上記を考慮した場合、試合において安全が確保されつつも総合的技術(着衣と素手の状態において)を自由に選択し使用できる競技でなければなりません。

自分の考える安全とは『頭部、頚椎、背骨、眼球にダメージを負わず、ダメージの蓄積がない』『骨折や靭帯の損傷』のリスクを少なくする事を言います。

顔面への攻防や寝技、立ち関節技は稽古だけで行いライトスパーリング(必要に応じて防具は着用)や約束組手などのなかで行えば、実践性と安全性のバランスが保てるものと考えています。

アプローチの方法や目的、経験、立場に違いはあると思いますが、偶然にも『フリースタイルカラテ』のルールは、自分の理想に限りなく、近いものでしたので参加を決意しました。

以上がスリースタイルカラテが良いと感じた理由です。




$増田章の『身体で考える』