私の理想は、禅寺のような空手武道の総本山を作り、朝から晩まで、修行三昧の生活を送ることだ。しかし、現実は、雑用ばかり、日に10時間以上をこなす身だ(身内は無駄なことばかりやっている私を嘆き、あいそを尽かしている)。そんな中、私にはいつも焦りの気持ちがある。また、毎日、練習をしなければ、門下生に技を教えることができないと考えている。ゆえに雑用の合間を縫って、トレーニングなどを行う。その間も、大抵、ノートを手許に置いている。そのノートとは、アイディアなどを書き留めるノートだ。トレーニングのインターバル中は、仕事のことを考えている。選手時代は、そんなことはなかったが、最近の10数年は、そんな感じである。私はいつも気を抜かない。そして、糞真面目だ。しかし、糞真面目過ぎると、余計、失敗をする。私は、昔からドジだ。
仕事の合間を縫って、近くのゴールドジムに向かった。しかし、仕事のことを思い出し、数件の電話のやり取りをした。結局、練習時間は、余り取れなかった。私の通うゴールドジムには、10月のフリースタイル空手・東京オープンに出場する、青木亮選手がいる。彼は、ゴールドジムの社員である。
今日、彼とフリースタイル空手のことで情報交換をした。これも仕事のうちだ。
ここで、青木亮(あきら)選手を紹介する。彼は、キックボクシングのフェザー級のチャンピオンで、日本で行われているムエタイともいえるM-1のチャンピオンである。現在は、32歳ぐらいで、プロとしては、現役は引退したそうだ。
彼とは、ゴールドジムで知り合った。私は、彼がキックのチャンピオンでリングネームが私の名前と同じ、「AKIRA」だというので、親しみを持った。また、雰囲気や物腰が柔らかく、とても好印象だった。マスクも良い。ナイスガイである(死語に近いかな・・・笑い)。
初めて彼に出会った時、「青木さんは、女性ファンが多いでしょ」等と彼に声を掛けた記憶がある。ちなみに、「そうでもないです」というのが彼の返事だった。本当のところは分からないが、ジムでも好感度が高いと思う。
私は、ジムでは余り人とは話をしない方なので、青木さんとは、いつも挨拶程度だった。その青木さんが、「僕は、フリースタイル空手の試合にでてみたいんですけど、いいですか?」と1ヶ月程前に、突然言うのである。
私は、驚いた。キックボクサーの青木さんがフリースタイル空手のことに興味を持ってくれていたことが、正直、驚きだった。
聞いてみると、彼は、少年時代フルコン空手の選手だったそうだ。また、総合格闘技の試合などにも挑戦したことがあるという。
彼は「格闘技に恩返しをしたいと言う」。また、「いろんなことにチャレンジしてみたい」と言う。彼の理想とするところ、真意は分からない。しかし、彼が「冒険者」であることは分かる。冒険者であること、それが私と彼とをつないでいる。
私は彼に練習をしているか尋ねた。「練習をしていると言うと警戒されるので、していません、と言っておきます」というような意味のことを答えてきた。
ということは、練習をしているということだ。私はうれしくなって、彼と色々と話をした。彼は、倒し技を5手、考えたと言う。どんな技かと聞いたら、「左の突きから、相手を崩して倒す技です」という。その技は、左の突きからの5種類のバリエーションがあるのだと言う。どうも、首相撲の応用らしい。更に、掴みを使って連絡を考えているらしい。彼は「フリースタイルは将棋のような感じがする」と言ってくれた。それは、私の理想とするところである。
私は、「青木さん、そのようにいろんな技を考えるということが、フリースタイル空手の楽しさなんです」。「これまでのフルコン空手では、どうしても、体力や根性論の次元で止まってしまうんです」「そう思いませんか」と私は、持論をまくしたてた(まずい、私の悪い癖だ。理屈を人の5倍話す・・・嫌な奴だ)。
青木選手は、中段の膝蹴り、三日月蹴り、また、中段を攻めてからの上段(ハイキック)が得意だそうだ。また、ムエタイの練習もしているので首相撲も得意そうだ。今大会、彼は中量級で出場する。
私は、ブログに青木さんの情報を載せてもいいかと尋ねた。すると、「どうぞ」と答えたので、夜中、ブログを書いている(いけない。これまで、睡眠不足で何度か車をぶつけたことがある)。明日は、大事な会合がある。
私は、これまで、そして今でも、みんなにフリースタイル空手の構想を理解してもらってないと考えている(私は悲観論者だ)。それでも、みんな集まってくれた。後もう少し、最善を尽くしたい。後悔しないようにやりたい。いつ、やれなくなるとも分からないから(人生、何があるか分からない)。ただ、これをやっていれば大丈夫なんてことも分からないの本当だろう。
私は青木さんについて、「彼は冒険者だ」とこのブログの冒頭に書いた。私も冒険者である。実は、このプロジェクトを冒険だと考えている。挑戦と言っても良いが、冒険と言った方が本質に近い気がするのだ。
私が言う冒険とは、新たな発見をし、道を切り拓いていく。そして、後人に希望を与えていく。私に希望を与えてくれた仲間への恩返しのためにも・・・。

