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| 雨、闇、太鼓の音にドキドキする舞台だ。左から窪塚洋介、田島優成(写真:夕刊フジ) |
廃校を利用した実験的劇場である東京・にしすがも創造舎体育館特設劇場を、むうっとした熱気が漂う。時折、空調のひんやりした風が来るのだが、演者の熱情と、始終何万トンと降り注ぐ舞台上の雨のせいだろう。
蜷川幸雄演出、窪塚洋介主演による大規模修繕劇団の舞台「血の婚礼」。スペインのフェデリコ・ガルシア・ロルカの同名戯曲からインスピレーションを得た清水邦夫の作による1999年以来4度目の上演だ。
コインランドリーとレンタルビデオ店を舞台左右にしつらえ、その間を闇に通じる奥行きをもった路地が見える。
少年少女の鼓笛隊が渇いた太鼓を力強く叩いた後、土砂降りの中、物陰からトランシーバーをもった少年(田島優成)が現れ、何かを懸命に報告。そこへ、かつて花嫁を奪った“北の男”(窪塚)が走り寄り、水たまりに倒れ込む…。
元ネタのロルカ作品は、結婚前夜に花嫁を奪う男と、婚約者を裏切って駆け落ちする女の情熱的な物語。だが、窪塚の演技はどこかクールで厭世的な空気を漂わせているのが印象的だ。
もうひとり、やさぐれた会話が突き刺さるのが長すぎた春の腐れ縁で付き合っている“兄さん”(高橋和也)を相手に、気のない素振りで世を達観した“姉さん”役の伊藤蘭の存在。
今の世の中、「刺し違える」とか、「身を賭して」なんて言葉を吐く政治家をだれも信用しないが、この舞台は、白けているようでいて、後半に向かって、人間の血の濃さを見せつけられる。
「血を流して死ぬほうが、血を腐らせて生きるよりはましだ」という象徴的なセリフはロルカ版と同様のキーワードだ。
レンタルビデオ店の10台のモニターには、演技にシンクロしながら様々な画像が映し出される。蜷川実花も裏方に名を連ねていた。こういう形の父娘共演もおもしろい。
東京公演は30日まで。大阪公演(8月18~21日、森ノ宮ピロティホール)など各地で。
■中本裕己 夕刊フジ芸能デスク。昨年の“目劇”数はコンサート110本、映画33本、落語会12本、舞台11本。まだまだ修業が足りない。
「この記事の著作権は夕刊フジに帰属します。」
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