ご無沙汰してます。


テストが終わって今は結果待ちの状態なんだが、夏休みを満喫している。

12教科中全部が再試験は(多分)あり得ない。


…と思う。


一万二千円も再試験に消えていくのは嫌だ。

微生物とヒューマは大丈夫。他はわからない。


…大丈夫であってくれ。

さて、テストまであと8時間を切った訳だが。

生薬…どうしたらいいんだ?
ヒューマニズムはどうでもいい。
分析は…計算はいいとして、試薬とか指示薬が出て来ないかもしれない。


不安すぎる。
分析をやったんだが…過去問を片付けるのに一時間半掛かったよ。

ヒューマニズムはまだいいとして、生薬は何をしたらいいんだ?

モルヒネと葛根湯を覚えればいいのか?

お久しぶりです。



テスト二日前というかもう前日なんだけどな…。

なんでバイトしてんだろ…俺。



うーん…本試で通る気がしないな…再試に12,000円も払いたくねぇよ。

何個か通したい。

ヒューマニズムしか通んねぇよ多分。



更新するのを忘れてしまって申し訳ないです。

もっと更新出来るように気をかけるようにするよ。

最近更新が滞ってしまっているな

書くことはあるんだけど…他にやることがあるし。


他のこと>ブログを書くこと


なんだよな…。


小説、更新が滞っていた分を更新しました。

公約を守れないとはなんたる事か。

自分で言ったことなのにね!

俺はパワーリジェクターから排出されたプレートを手に取り、言った。


「創造」


プレートが分解され、形を変えていく。


俺のフォルムは刀のようだ。


フォルムを手に取り、俺は身構える。


フロウは俺のフォルムを見るなり、納得したような素振りを見せた。


「やっぱり、閃の息子だな。フォルムがそっくりだ」


ああ、そうかい。


俺とフロウは対峙する。


手に汗握る瞬間だ。


フロウはただでさえ闇の力を持っている。


リティアさんが言っていたように、かなりの力があるだろう。


俺は踏み込み、それと同時に刀を振るう。


しかしフロウは砂になり、俺の斬撃を躱す。


砂になったフロウは風に乗って舞い上がり、俺の上空で元の姿に戻った。


「俺に刃物は効かねーぞ。それくらい解るだろ?」


知るかよ!


刀が駄目なら魄術だ!


俺は刀を持っていない左手をフロウの方に向け、言霊を言う。


「太陽の力宿りし光の魄、破壊の力秘めし火の力よ 目前の敵に戒めの炎を」


経の意味で締める。


「『火炎』!」


俺の掌から炎の塊が放出された。


炎は一直線に進んでいく。


しかしその直線上にフロウの姿は無かった。


俺の後ろからフロウの声がする。


「言霊を唱えている暇があるのなら、魄術自体を強化したらどうだ?」


次の瞬間、俺は背中に強い衝撃を受け、前に吹っ飛んだ。


俺は激しく回転して、岩場に叩き付けられた。


痛ぇ…。


リアルに痛ぇ…。


フロウの方を見ると、フロウは呆れた様子だった。


「お前なぁ…あんな遅い火炎、敵が受けてくれると思うか?」


俺は無言だ。フロウは続ける。


「お前の話は聞いていたけど、こんなもんだったとはな…お前、本当に閃の息子か?」


俺は小声で呟いた。


「あ? 何か言ったか?」


「うるせぇよ…!」


フロウはまた呆れた様子だった。俺は気にせず続ける。


「まだ俺は何も知らない。ここの世界の存在も最近知ったくらいだしな。

 親父は強かったらしいな。だけど俺は違う。俺は俺、親父は親父だ。

 親父が強かろうが俺には関係ない」


「お前…何開き直ってんだ?弱い奴が何を語っても誰も同情してくれねーぞ?」


……わかってるさ。


そんな事わかってる。


俺は刀を杖にして、傷を負った身体を起こす。


「まだやるのか? そういうしつこい所は親父似だな」


俺は喉を震わせ、フロウに向かって叫んだ。


「うるせぇんだよ! いちいち親父と比べんな!」


「ああ、そうかい。お前がいくら無知でももう手加減しねぇぞ。」


フロウはフワリと浮かび上がる。


「次で終わりにするぞ。覚悟はいいか? 小僧」


俺は黙ってフロウをじっと見据える。


「じゃあ、さよならだ!」


闇の混じった風がフロウの手から放たれた。


俺に向かって真っ直ぐに吹いてくる。


俺は刀を強く握り、勢いよく振った。


闇の混じった風は俺の斬撃とぶつかるや否や、跡形も無く消えた。


フロウが軽く仰け反る。


「何!?」


俺は無我夢中でフロウに飛び掛った。


「うわああああ!」


勢いよく刀を振り下ろした。


俺の斬撃はフロウの肩を掠め、地面に突き刺さった。


さっきは効かなかった斬撃が、今度はフロウの肩にどす黒い血を滲ませている。


フロウはふらふらと後ろにずり下がる。


「いってぇ…」


俺もフロウもこの状態がよく理解しきれていない様だった。


「この俺に一撃を喰らわせるとはやるじゃねぇか、小僧」


俺は肩で大きく息をしている。


「お前を見くびっていた。流石は閃の息子」


……さっきと言ってる事が違うじゃねぇか。


「悪いな、前言撤回だ」


……。


「もうちょっとやりたい所だが、事情が変わった。今回は退かせてもらう」


なんだと……?


「また今度、何処かで会おう。 じゃあな、真崎漸」


「待て……!」


俺の言葉には力が無く、フロウを止める事は出来なかった。


駄目だ…もう…意識が…。


俺はその場に倒れこんだ。


薄れる視界の中、俺は闇に溶け行くフロウの姿を見た。


フロウの顔は、


…何故かとても嬉しそうだった。


フロウから受けた傷と、闘いを終えた安堵感から、俺は意識を失った。


…広大な砂漠のど真ん中で。

俺らは今、火の世界「フレアグランド」にいる。


恋を先頭に、砂漠のど真ん中を歩いている。


目的地はあの切り立った崖の上にある燃え盛る炎の麓。


そこにこの世界の断片の創造士がいるらしい。


ここには研究所とは違い、魄獣が出る。


先程魄獣が現れたが、俺が準備している間に恋と綾瀬が一蹴してしまった。


つまり俺は戦闘未経験。


まぁ得物を持っていたとしてもただ振り回す位しか出来ないと思うけどな…。


「あとどのくらい掛かるんだ?」


俺は綾瀬に尋ねた。


少し考える仕種をしてから、


「うーん…あと二十分程か」


と答えた。


うなだれる俺。


俺は時間を気にしない方だ。


恋のお陰で暑くはないしな。


だけど…徒歩で二十分といったらかなりの距離がある。


足場が砂漠だしな…。


俺は歩くのが面倒だった。


でも仕方ないか…。


俺は頭の後ろで手を組み、出来るだけ何も考えないように歩くことにした。


………………。


会話が無くなってしまった…。


なんか、暗い。


まぁ暗くはなるか。


それぞれの思いがあるだろうからな。


俺は超能力者じゃないから恋と綾瀬が何を考えているのかはわからない。


俺の想いは「テトラを倒して人類の滅亡を防ぐ」。 これだ。


そういえば…何で二人は俺を追って来たんだ?


俺が魄術士になった時、大層喜んでいたけど…。


仲間が欲しかったのか?


いや、そんな単純な事じゃないか。


今はまだわからなくていいかもな。


その内自ずと解ってくるだろう。


次の瞬間、突然強い風が吹いた。同時に砂塵が舞い上がる。


俺は咄嗟に目を腕で隠す。


風はまだ吹いている。


俺の服が風を受け、バサバサと靡いている。


……長い風だな……。


服が靡かなくなった。


ようやく風が収まったようだ。


俺は腕を下ろす。


「あれ?」


俺が目を開けた時、そこに在るはずの恋と綾瀬の姿が無かった。


何で? 何処に行ったんだ?


風に吹き飛ばされたか?


いや…それはありえないな。


じゃあ何処に行った?


俺は辺りを見回した。


周りに二人の姿は無い。


ただただ砂漠が広がり、太陽が照り付けている。


まだ恋が掛けてくれた術の効果が残っているため、暑くはないが、内心かなり焦っていた。


普通初心者を一人残して何処かに行くか?


…行かないよな。


二人とも俺が魄術士になった時あんなに嬉しそうだったからな。


俺を一人にする理由は無いだろう。


だとしたら…何で居なくなったんだ?


魄獣にやられる事はないだろうし…。


あああ…何か心配になってきた…。


!!


さっきの砂塵か…?


俺が目を伏せている間に二人は居なくなってしまった。


でも風は自然現象だろ?


誰かの意思で風を吹かせる事なんて…。


その時、恋が魄術を使った時の事を思い出した。


そうか、この世界なら出来るのか。


でも…何の為に?


「教えてやろうか?」



ああ、頼む。


…あん?


俺は自分で言ってから違和感を覚えた。


…誰だよ?


風と同時に砂塵が舞い上がり、砂塵が人間の姿を形作っていく。


「お前が真崎漸か?」


俺は身構えたまま答える。


「そうだけど…あんたは?」


そいつはククッと笑いながら答えた。


「俺か? 俺は闇の使徒『砂塵舞う風』フロウ=ルクス」


闇の使徒? 闇の住人の仲間か?


フロウは肩をすくめ、言った。


「おいおい、あんな雑魚共と一緒にしないでくれよ。俺らは闇の使徒は『闇の王』に仕える者だ」


闇の王?


思い当たる奴が一人いるな。


「闇の王って…テトラの事か?」


フロウは俺を指差し、険しい顔をした。


「お前みたいな奴がテトラ様の名を口にするとはな…テトラ様は王じゃない。神だ。

 無知なのか…それともよほどの馬鹿か」


カチンと来た。


「恋と綾瀬は何処だ?」


「今頃、仲良く寝ているだろうな。魄獣も放っておいたからやられるのは時間の問題だろう」


俺はパワーリジェクターに手を当てた。


「俺と戦う気か? やるだけ無駄だと思うけど?」


「やってみなきゃ分からないさ」


フロウは俺を見据えた。


「ふうん…やっぱり、馬鹿か」

俺はまた粒子になったと思っていた。


しかし、俺が目を開けると前にパソコンが置いてあった。


最初は転送に失敗したと思っていたが、辺りを見回すと研究所ではない事に気付いた。


薄暗い部屋で、埃が溜まっている。


あまり使用されていない部屋のようだ。


ディスプレイの光が唯一辺りを照らしている。

「転送完了 電源を遮断します」とパソコンから音声が流れ、部屋を照らしていた光が失われた。


隣を見ると、綾瀬と恋が立っている。


「取り敢えず外に出よう」と綾瀬。


俺は恋と顔を見合わせ、綾瀬の言う通りこの部屋から出る事にした。


俺は扉の前に立った。


しかし、扉は開かない。


この世界の断片に自動扉は無いらしいな。


俺は扉に手を掛け、勢いよく扉を開けた。


「おぉ…」


よくわからない感嘆の声を上げた俺。


目前には広大な砂漠が広がっている。


遠くを見ると切り出された崖の上に燃え盛る火柱が見える。


すると恋は俺の手を取り、


「行きましょう、漸君、綾瀬ちゃん」


と可愛い笑顔で言った。


俺は自然と足を進める。


綾瀬も何かを呟きながらも足を進める。


さっきから俺の手を引く恋だが、俺と恋はそういう関係ではないぞ。


ただのクラスメートだ。


恋は俺に好意を抱いているらしい。


俺もそれには気づいている。


しかーし!


俺にそんな気は無い。


俺と付き合っても何もしてやれないし、きっと楽しくない。


第一釣り合わないだろうさ。


寺に住む奴とお嬢様だぜ?


お嬢様かつしっかりしている恋だ。


クラスと言わず、学校中のアイドル…いや、マドンナか。


そんな恋と俺がカレカノになってみろ。


学校中の野郎共に命を狙われる事になる。


想像するだけで寒気がする…。


恋は何もしていなくても何かしていても普通に可愛い。


それは男子は勿論、女子も思っている事だ。


それに、もう一つ恋には万人を惹きつける特長がある。


あんまり言いたくねぇんだけどよ…。


…知りたいか?


…仕方ねぇ…か。


それは…胸だ。


あぁ…言ってしまった…。


恋は年齢、そして華奢な身体には似合わない豊満なそれをお持ちである。


そのサイズは、半端ない。


詳しい情報はクラスの女子も知らない。


恋曰く、「トップシークレット」だそうだ。


くそ、誰か目測が得意な奴はいないのか?


……何だって? いやらしい?


ち、違うぞ!


俺は疚しい気持ちで言ったんじゃないぞ!


あんたも一回見てみるがいいさ!


あれは絶対サイズ知りたくなるって!


そんな豊満なそれをお持ちの恋様に手を引かれて歩いている俺。


良くない妄想が頭を過ぎる。


…駄目だ駄目だ!


俺は頭を激しく振り、雑念を忘却させる。


頭を垂れる俺。


そんな俺を恋が下から見上げる。


「…どうしたんですか?」


「い、いや…別に…」


くそ…恋の顔を見るとあの妄想が蘇る。


心配そうな顔もまたよい…。


「やっぱり…暑いですか?」


…ん?


そういえば…。


気付かない内に身体中から汗が吹き出している。


そりゃそうだよな。


俺らが今居る場所は砂漠のど真ん中。


日陰なんて無い。


太陽の光が痛いほど照りつける。


なんで今まで気付かなかったんだ…?


…何?


いやらしい妄想してたから?


……。


もうそれでいいよ…。


「やっぱり暑いですか…?」


「まぁな…どうにかなるのかこの暑さは…?」


「なりますよ」


恋は間髪入れずに、そして簡潔に言った。


まさかぁ…そんな事出来る訳…


「太陽の力宿りし光の魄 清らかなる水の力よ 我らを纏え」


恋が言霊を唱えた。手にはプレート。


すると俺らの周りを水が纏い、暑さを和らげ、涼しさを齎してくれた。


「涼しいですか?」


ああ…。忘れてた。


ここは地球じゃないんだった。


イメージと魄があれば何でも出来る世界なんだった。


「ありがとう恋。涼しいよ」


俺がそう言うと、恋の顔が綻んだ。


「はい…ありがとうございます!」


何に対して礼を言っているんだか…。


俺は何だか綾瀬の事が気になった。


「綾瀬?」


「…何だ?」


うわ、機嫌悪そう…。


俺はなるべく刺激しないように話しかけた。


「今はどこに向かっているんだ?」


「……」


綾瀬は無言で燃え盛る炎の方を指差した。


「あそこに確か創造士がいたはず。前に来た時はそうだった」


…何と無く棒読みに聞こえる。


しかし言いたい事は分かる。綾瀬の目で。


「私の前でベタベタするな」


ってオーラが嫌でも伝わって来る。


これからはなるべく触れないようにしよう…。


そんな事を思っていた。


その時、綾瀬の表情が強張った。


変化に気付いた俺は、綾瀬が見据える方向を見た。


砂漠の地表に何かが蠢いている。


何だありゃ…?


……影?


その影のようなものは地面から生えるように飛び出してきた。


狼のような形状をしている。


姿形はあるが、実体は無さそうなそんな生き物だった。


「綾瀬、あれは何だ?」


「魄獣。魄を失った生命の成れの果てさ」


魄獣…。


「気を付けろ、漸。魄獣は魄を持った者に襲い掛かってくる」


…おう。


俺は身構えた。


何処かに手頃な得物はないか?


俺は忘れていた。


プレートがある事に。


恋と綾瀬はパワーリジェクターからプレートを取り出し、言い放った。


「創造」


するとプレートが分解され、フォルムへと姿を変えた。


恋は似つかない大振りの剣、綾瀬は手の甲に紋章が浮かんでいる。


よし、俺も!


俺はパワーリジェクターに手を添え、プレートを出そうとした。


しかし、反応なし。


……。


電源入ってねェェェ!


くそ、俺としたことが大失態だ!


俺は起動の言葉を言った。


「真崎漸」


その時、俺は気付いていなかったが、魄獣の動きが鈍ったらしい。


恋はその隙を突いて、遠心力を加えた斬撃、綾瀬は手の甲に浮かび上がった紋章から鎖を射出し、思い切り魄獣に叩き付けた。


どっちとも痛そうだな…。


そんなこんなで、俺がパワーリジェクターの電源を入れた矢先に戦闘が終了した。


俺、出番無し。


…こっちに来てからまだ何もしてねぇぞ…。


「大丈夫だ」


綾瀬が言う。


何が大丈夫なんだよ?


「次は戦わせてあげるから」


……。


……ありがとう。


こうして俺は危機(?)を救われた。


女に救われるとは…。


カッコ悪ィな、俺…。

そんなこんなで、俺は魄術士となった。


これでテトラを倒しに行く準備が整った訳だ。


「さて…行きますか」


俺は恋と綾瀬に向かって言った。


待っていましたと言わんばかりに二人とも満面の笑みを浮かべている。


二人がパソコンの前に立っていたので、俺もパソコンの前に立った。


…電源を入れるらしい。


俺はパソコンの電源を入れた。


画面には「プレートの提示」と表示されている。


リティアさんが後ろから、「マスタープレートを提示して下さい」と仰ったので、


俺はマスタープレートを手にした。


マウスパットの右隣にリーダーらしき物が置かれている。


俺はリーダーにプレートを翳した。


画面の文字が「認証中…」に変わった。


俺はしばし待つ事に。


「認証中」の文字が消え、「データが存在しません」と表示された。


…何?


おかしいな…。


俺はもう一度プレートをリーダーに翳した。


また「認証中…」に変わり、しばらくして「データが存在しません」と表示された。


どうしてだ…?


俺はリティアさんに尋ねてみた。


するとリティアさんはこう答えた。


「パワーリジェクターの設定していないからかもしれません…。」と。


俺は先程恋と綾瀬がパワーリジェクターに腕を添えている所を思い出した。


俺はパワーリジェクターの画面に触れてみた。


すると画面が光って、「Power Rejecter」と表示された。


字体が洒落てるな。


突然パワーリジェクターから音声が発した。


「データが存在しません。初期設定を行って下さい


初期設定か。何をしたらいいんだ?


パワーリジェクターは答える。


「指紋と声紋を設定し、名前や性別を入力して下さい」


了解。


…ってか、これ今俺の言葉に反応したよな?


やっぱりすげぇなアナザーオブアース。


「指紋の設定を致します。画面に触れて下さい」


俺は人差し指で画面に軽く触れた。


「設定しました。」とパワーリジェクターが言った。


切り替え早いな…とか思っていた。


「続いて声紋を設定します。」


何を言えばいいんだ?


「何でもどうぞ」


俺は暫く何を言うか考えて、結局自分の名前を言う事にした。


「真崎漸」


「声紋を設定しました。これから起動する時は画面に触れながら今の言葉を言ってください」


了解。


「続いて諸設定を行います。画面に従って下さい」


おう…。


パワーリジェクターの画面が切り替わり、文字を入力出来る画面になった。


…待てよ?


文字はどうやって入力するんだ?


すると後ろからリティアさんが俺のパワーリジェクターの画面に触れながら、


「創造」


と言った。


俺の目の前に半透明のディスプレイとキーボードが現れた。


ディスプレイには先程のパワーリジェクターと同じ画面が表示されている。


個人情報を入力している俺にリティアさんは言った。


「アナザーオブアースではイメージを持つ事はとても重要な事です。それを忘れないで、漸君」


「…わかりました」


イメージか…難しい事言うな…。


よし、完了っと…。


「諸設定を設定しました。プレートに情報を転送します。」


これで準備完了か?


俺は先程のパソコンの前に立ち、マウスに手を添えた。


画面に「プレートの提示」と表示されている。


俺は三度、プレートをリーダーに翳した。


「認証中…」と画面が切り替わる。


俺は息を呑んだ。


まさかまた「データが存在しません」なんて言うんじゃないだろうな…。


「認証完了 ユーザー画面に移ります」と表示された。


思わずガッツポーズ。


おっと、こんな事してる場合じゃなかった。


俺はディスプレイを見た。


どうやら、倉にあったパソコンと同じ物のようだ。


ん…?


アイコンが増えているな。


to Earth」と「to Frea GRAND」のアイコンだ。


他にも増えているみたいだが…今は関係ないかな。


「リティアさん、違う世界に行ったらどうしたらいいのですか?」


リティアさんは顎に手を添え、考える仕種を見せた。


「そうですね…とりあえずは、創造士に会って話を聞いて下さい」


創造士に会う…ですね?


「他の事は隣の二人に聞いて下さいね」


恋も綾瀬も無言で俺に向かってウィンクをして見せた。


俺はなんだか寒気がした。


こんな二人見たこと無い。


「いってらっしゃい、恋ちゃん、綾瀬ちゃん、漸君」


はい、行って来ます!


俺はパソコンの方を見た。


アイコンを見直す。


to Earth」は多分地球へ転送するはずだ。


とすると…。


俺はマウスを操作して、「to Frea GRAND」のアイコンの上にマウスポインタを合わせた。


ダブルクリック。


ディスプレイが光を放った。


また分解されるのか?


そんな事を思っている間に、俺ら三人は研究所から姿を消していた。

扉の前に立っていたのは、綾瀬と俺のクラスメートである橘恋だった。


恋は一言で言うと、「完全無欠なお嬢様」だ。


俺の家のすぐ近くの豪邸に住んでいる。


生まれてこの方不便はしていないと言う割には、抜け目の無い凄い奴だ。


冴よりしっかりしているかもな…。


「やっぱりここにいたのか…漸。」


「リティアさん、何処まで話しました?」


二人は入ってくるや否や、リティアさんと話をし始めた。


俺は一人萱の外だ。


また疎外感を感じる。


綾瀬が言う。


「漸、大体は聞いたのだな?」


ああ、大体はな。


恋が言う。


「それじゃあ、行きましょう」


…何処へ?


二人は俺の手を引き、声を揃えて言った。


「世界の断片に!」


これは後から聞いた話だが、綾瀬は俺が朝飯を食ってすぐに居なくなったのを不思議に思って、寺中を探し回ったらしい。


…というか炎狼牙と話すって言ったじゃねぇか…。


それで倉の扉が開いているのを見つけて、俺の後を追うべく転送されてきたそうだ。


恋は何か用があって家に来たらしい。


そこで綾瀬に会って、付いて来たそうだ。


……。


二人とも術士だったんだ…。


俺は手を引かれたまま、恋と綾瀬に引きずられている。


リティアさんは後ろから付いて来ている。


硝子張りの通路を通って。俺がまだ行っていない部屋に入った。


その部屋は倉の地下にあった部屋に似ている気がした。


同じように、パソコンが何台か設置されている。


パソコンの前に立った恋と綾瀬は俺の手を離して、腕に手を当てた。


腕に何か機械を付けている。


…何だそれ?


「さ、漸君も出して


いや、何だそれは?


リティアさんは口の前に手を当て、何かを思い出したような表情をした。


「そういえば、まだ渡していませんでしたね。今持って来ますから、ちょっと待っていて下さい」


そう言うとリティアさんは部屋から出て行った。


「何だ、まだだったのか」


ああ。


…って言うか何だそれは?


俺は恋と綾瀬の腕に付いている機械を指差した。


「ああ、これですか? これはパワーリジェクター。別名術士情報端末です」


情報端末? 何が出来るんだ?


それには恋が答えた。


「いろんな事ですよ。術士になればわかります」


恋は誰に対しても敬語で喋る。


今時珍しい奴だよな。


…つーか、説明になっていないし…。


そんな事をしている内に、リティアさんが戻って来た。


何かを抱えている…。


パワーなんとかと札と指輪だ。


って事は…。


それがプレートとリング?


「はい。まずはリングから試して下さい」


俺にリングを突き付けながらリティアさんは言った。


俺はリングを受け取り、とりあえず右手の中指に嵌めてみた。


…言霊だったか…。


「『創造』の言霊を言って下さい」


正直な所、言いたくない。


あんな言霊言っていたら、端から見れば軽くイッてる奴だと思われる。


俺は躊躇ったが、意を決した。


仕方ない、か…。


俺は軽く咳払いして、言霊を言い放った。


「形無き力よ 我を媒介に、今一度その姿を創造せしめん」


その時の俺は酷く赤面していただろうな。


生憎鏡が無かったからわからんが。


……何も起こらんな。


「やっぱり…魄術士ですね」


やっぱりって…。


じゃあ先にプレートにして下さいよ!


「念の為です。ごめんなさいね、漸君」


…俺の努力は何だったんだ…。


罰ゲームかよ…。


リティアさんはプレートを差し出した。


俺はリングを返してプレートを受け取った。


「あ、一つ言い忘れていました」


言霊を言おうとしたら急にリティアさんが俺の言葉を遮った。


「言霊は内容さえ頭で理解していれば、経を言わなくても作用するんです。その場合は言霊の意味を言わなくてはいけないのですが…」


……。


俺は口を開けて固まっていた。


…それを先に言えよ!


…と叫びそうになったが、リティアさんは年上なので自粛しておいた。


俺はプレートをしっかりと握り、言霊を言った。


今度はさっき程恥ずかしくは無い。


「創造」


俺が言うとプレートから光が発した。


眩しくて見ていられない…。


光が収まった。


俺はプレートを見た。


俺の姿が刻まれている。


……どういう仕組みだ?


やはり俺の常識は役に立たない。


こっちでは常識を捨てた方がいいな…。


よく見るとプレートが三枚になっている。


一枚目はさっきの俺の姿が刻まれたプレート。


二枚目は剣の絵が刻まれている。


三枚目は…。


「あれ?炎狼牙だ」


炎狼牙の悠然な姿が刻まれているプレートだった。


これは後で聞いた話だが…


俺の姿が刻まれたプレートは「マスターパーソンプレート」と言う名前だそうだ。


アナザーオブアースにいる時の身分証明書になるらしい。


二枚目の剣が刻まれたプレートは、「ホワイトフォルムプレート」。


「フォルム」は術士の武器の事で、ホワイトは一番最初…つまり初心者用って事か。


これは普段はプレートだが、「創造」の言霊で姿を変えるらしい。


そして三枚目。炎狼牙のプレートだな。


これは「ガーディアンプレート」。


なんでも、術士には必ず守護者(ガーディアン)がいるらしい。


つまり俺の守護者は炎狼牙って事だな。


プレートは他にもあるが、詳しくはパワーリジェクターで見てくれとの事。


最後に俺はリティアさんからパワーリジェクターを受け取り、恋と綾瀬に倣って、腕に装着した。


これで俺は見た目術士…もとい魄術士か。


さて、俺は願ってもなく魄術士になってしまった訳だ。


さっきから恋も綾瀬もニヤニヤして俺の方を見てくる。


気持ち悪いな…。


そんなに嬉しいのかよ。


俺はまだ少し悩んでいる。でも、一度決めた事だ。


途中で止めてしまったら俺の意に反する。


行くぞ、テトラを倒しに。


ついでに、地球も救ってやろう。


でも…地球にいる人間達は思いもしないだろう。


まさか知らない世界から来た謎の奴に殲滅されるとはな…。


でも、未然に防ぐ。


……………。


出来るかどうか、確信は無いけどな。