選抜の意義⑤ | kantoku's ブログ

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バスケと子供たちを愛する人たちへ

Yクラブとの試合が始まった。

スタートからディフェンスを頑張るが今までの相手のようにプレッシャーはまったく効かない。
逆にプレッシャーを掛けられ点が取れない。
それでも粘って11-8、3点のビハインドで1Qを終る。

2Q、開始からまた逆にディフェンスでプレッシャーを掛けられターンオーバーを連発、差を広げられ25-13、12点差で前半を終了。

「わかったか!?これが県のトップのレベルだ。これ以上離されるわけにはいかないぞ。3Qメンバー気迫をみせろ!」

 

3Q開始、Yクラブはベストメンバー、流石に強い。1対1をなかなか止められない。喰らいつくがさらに離され38-23、15点差で最終Qへ。

4Q、ベストメンバー同士の戦いは一進一退、なかなか点差は縮まらない、焦りからかシュートもなかなか決まらない。
終わってみると47-32、15点差の敗退だった。

 

能力、スキル、メンタル、どれを取っても相手が一枚上手、うちの完敗だった。
初黒星に意気消沈する選手たちに僕はこう話した。

「完全な走り負けだな。積み上げてきたものが全然違う。これが全国レベルとの差だ。現実がわかっただろう!?」

「でも落ち込んでいる暇はない。走れないチームは走れるようになるしかない!今すぐ体育館周り30周走って来い。」

 

次の一試合の間、ずっと選手たちは走った。
走り終えて昼食を取ったが、全員の顔に笑顔はない。
昨日のハイテンションは全部吹っ飛んだ。

 

僕は逆にこの瞬間を待っていた。

なぜならこの悔しい思いこそが最高の経験だからだ。

 

「何だ?お前たち、昨日の元気はどうした?自信が吹っ飛んだか?たった3週間でトップレベルに並べるほどバスケは甘くはない。お前たちに必要なのは自信じゃない。選抜メンバーとしての覚悟だ!」

「最後の相手は練習試合で勝っているチームだからな。つまらん試合で負けたら全員坊主にするぞ!いいな。気持ち切り替えて最後ビシッと行け!」

子供たちは「ぼ、坊主!?マジか!?」という表情。
もちろん、マジ顔で言ってる冗談ですが、シューティングスターズの2人は坊主経験があるので、「監督が言ったらマジで坊主やけんね」と言ってたかも。笑

 

そして最終試合開始。案の定苦戦する。
自信喪失の上に、体育館周り30周の疲労、監督からのプレッシャー、思うようにプレイできません。
ガタガタになりながらも、負けたら坊主!必死で逃げ切り、辛くも1点差で勝利。

「良かったな!坊主にならずに済んで。笑」
 

そして選抜大会が終わった。

結果は練習試合を含めて8勝1敗。でも一番価値があったのはその1敗だったと思う。

自分の甘さを知ってこそ、次の成長があるというもの。

天狗にならずに終わって本当に良かった。

こいつらはツイてる!Yクラブに感謝。

 

夜は全員で「解散式」、本当に楽しいひとときだった。

短い期間だったがひとつのチームになれた実感は、保護者の皆さんからの言葉と子供たちひとりひとりの挨拶で感じた。

ここで縁した子供たちは僕にとってはもう教え子、どこで会っても監督だ。(残念ながら笑)

 

短かった選抜の全日程が終った。

 

つづく