我がチームのエピソードをまたひとつ。
うちのチームには今、1年~6年までで28人の部員がいます。
その部員がAチームとBチームに分かれていて、そのBチームのキャプテンを任せているある5年生がいます。
とても聡明で明るく、気のきく子なのでBチームのまとめ役を任せました。
Bチームは下級生も多いので、ダラケてはみんなを集合させ「声を出さなきゃダメだ」、「真剣やらないと意味がない」と、孤軍奮闘しています。(><;)
その子は昨年末に体験に来て、年が明けた1月から正式に入部したのですが、不運にも5年生の春にある質の悪いウィルスに感染して入院し、退院後もドクターストップで約3ヶ月以上バスケができなかったのです。
本人はきっと、春になって5年生になったらレギュラーメンバーを目指して頑張りたい!そう思っていたに違いありません。
ところがスタートに躓き、戻ってみると新チームになって成長したみんなの姿があったのです。
足は動かないし、新しいメニューがたくさん加わっていて全然わからない・・・
いつしか「僕はダメだ。全然ついて行けない」そう思うようになったようです。
あとでお母さんに聞いたのですが、帰ってはいつも泣いていたそうです。
それでもお母さんは「一度やり始めたことを簡単に諦めちゃダメよ」と励ましては送り出してくれていました。
でもその励ましもとうとう限界となり、お母さんは迷いに迷った挙句、僕(監督)に電話をして来たのです。
僕:「なぜもっと早く電話して来なかったの?」
母:「みんな同じように頑張っているのに、うちの子だけが弱音を吐くのは・・・」
僕:「そうだったんだ。大丈夫、俺に任せて!」
次の日、練習に来た彼を呼び、体育館隅のマットに腰掛けてこう話しました。
「練習が楽しくなさそうだな。ついて行くのがちょっと辛いか?」
彼は僕の眼をじっと見て黙っていました。
「お前が病気で出遅れて、辛い思いをしながら頑張っていることを、俺は知ってるぞ」
そう言った瞬間、彼の眼からドバッと涙が。
「大丈夫だ。今練習について行けないことなんて何の問題もない」
「もっと言うなら、お前が6年になってレギュラーとして試合で活躍出来なかったとしても、それも問題じゃない」
「問題なのは、どんな状況に置かれても決して諦めずに頑張るという大事な生き方をやめることだ」
そう言って、過去に試合に出れなくても最後までやめずに頑張って、今はこんな大学でこんなことで頑張っているやつがいるだとか、そんな話をいろいろしてやったのです。
「諦めないで、これからも頑張れるな!」
「ハイ!」
涙の残りなのか、その子の眼がキラキラ光って見えました。
すると、その日の夜遅くにお母さんから電話があったのです。
「監督、どんな魔法をかけたのですか?(*_*)」
元気いっぱいに帰って来て、「僕、やっぱりバスケ頑張るけん!」と言ったそうです。
指導者にとって(親や上司も同じです)一番大事なことは、まず教え子の気持ちを理解すること。
そして、「わかってるよ」と声をかけることなんじゃないでしょうか。
そして、お前ならきっと大丈夫だ!と信じて(認めて)やってから、一緒に目標(夢)を語り合う。
その語り合った夢をなまけたときは、叱咤されても彼らは素直に頑張れます。
「お母さん、僕は魔法使いじゃありませんよ!」
「でも魔法の言葉は知っています」(^_^)v