柳生、すまんのう。
おまんのことは愛しとうよ、たぶん。
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もう1週間。
仁王くんと会っていない。
電話も、メールも…ダブルスも
仁王くんは学校には来ているみたいだった。
「…ハア」
朝礼前の賑やかな教室で一人でため息をつく。
すると、切原くんが朝から悪魔化したのを聞いて叱りつけに行った真田くんが戻ってきた。
「全く、たるんどる!」
まだ怒っているようだ。
私は優しく声をかける。
「まぁ、切原くんのことはその辺にしてあげてください」
「柳生…しかし」
納得いかなそうにぶつぶつ言っている。
「真田くんらしくないですね。そんなに酷かったのですか?」
少し気になったので聞いてみる。
「実は、同じクラスのやつが仁王をバカにしたらしくてな…
それで怒った赤也が悪魔化したのだが………
俺や蓮二が叱りつけても椅子を投げたりしてきて、大変だったのだ」
「成る程、柳くんでも…大変でしたね」
「赤也も困ったものだ。そこで蓮二が原因となった仁王を呼んできたら、鎮まったのだ」
「仁王…くん」
意外だった。仁王くんがそんなことに関わるなんて。しかも、後輩のために。
確かに仁王くんは元来切原くんを可愛がっている節はあった。しかし、彼は面倒事には何があっても関わらなかった。
そして、自分の愛している恋人の話を他人の口から聞いたということに、酷く苛立ちを覚えていた。
「どうした?柳生?」
わからないという風に真田くんが聞いてきた。その姿が、小さな子供のようで笑った。
「人の顔を見て笑うな!たるんどる!」
真田くんに珍しく怒られてしまった。
「そうですね。紳士失格です。すみませんでした!」
素直に謝る。
しかし仁王くんの話を聞いて、ますます会いたくなってしまった。
「柳生、大丈夫か?」
「はい、どうしたのですか?」
「いや、仁王が練習に出ていないし、悩んでいるのではないかと思ってな…」
本日二度目の驚きだ。真田くんが分かるほどに自分は悩んでいたのか…
いや、わかってはいなかったかもしれないが…
「ありがとうございます。安心してください」
いつもの調子で答える。
「そうか」
鈍い真田くんは納得して、黙り込んだ。しかし、そこに幸村くんがやってきた。
「柳生…ちょっといいかい?」
「幸村くん?ええ、もちろん」
幸村くんの様子がただ事ではなさそうだったので、了承する。
教室の外まで出ると幸村くんが静かに言う。
「仁王が今朝、退部届けを持ってきた」
頭の中にその言葉が響く。
すると予鈴が鳴り、幸村くんは「じゃあ」と言って自分のクラスへ戻っていく。
仁王くんは何を考えているのだろうか。
仁王くんは自分のことなど忘れてしまったのではないか。
仁王くんは…
この先は考えたくない。考えれば本当になる気がして…。
仁王くんがわからない。
柳生はそこに呆然と立ち尽くすしかなかった。
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読んで頂きありがとうございます。
まだ続きます。