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ねえねえ、あなたは育ちが良くてお上品な紳士の医者や淑女の医者は好き? 僕みたいな下品な医者イヤ?
ねえあなた、もしあなたが医者にかかるとしたら、苦学生やってた医者にかかりたい? それとも苦労知らない坊ちゃん医者・嬢ちゃん医者にかかりたい?
僕がこれまで医者やってきた経験では、坊ちゃん医者・嬢ちゃん医者は「うわーこいつダメだわー」という医者の確率が非常に高いです。
しかし、それは単なる僕の直感に過ぎないので、実際坊ちゃん医者・嬢ちゃん医者がダメなのかどうか、エビデンス調べてみました。
まず、これ↓(医師専用サイト)。
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若めの世代(40歳代以下)に限ると、習い事をしていなかった医師の割合は7%台です。
次にこれ↓。
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習い事をしている子供の割合は、世帯年収が上がるほど劇的に高くなる。
40歳代以下の医者の習い事しなかった割合が7%台というエビデンスと組み合わせると、「医者の大部分は高年収の世帯から医学部に進学した」というエビデンスになる。まあ、これはあなたも知ってることよね。
次にこれ↓。卒業医学部別の医者になってからの世帯年収ランキング。
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医学部は全部で80校あります。↑この80校ランキングを4分位(20校ずつ)に分けます。
↑このランキングから得られるクロス集計表がこちら↓。
私立大学卒業 国公立大学卒業(産業医大含む)
医師世帯収入上位20校 14 6
医師世帯収入下位20校 5 15
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このクロス集計表のフィッシャーの正確確率検定により、「私立大学卒業医師は国公立大学卒業医師よりも7倍、医師になってからの世帯収入が最上位層になりやすい」ことが証明されました(p=0.01)。
↑この結果を解釈すると、「お金持ち家庭出身の医者は、医者になってからお金優先の働き方を選ぶ確率が非常に高い」というエビデンスになります。
次にこれ↓。
Neuron . 2012 May 10;74(3):582-94.
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この論文は、「報酬が増えると仕事のパフォーマンスが低下する。具体的には、簡単な仕事しかできなくなり、難しい仕事ができなくなる。」というエビデンスです。
つまり、結果の品質ではなく自分の報酬を優先する仕事の仕方を選択する医者は、結果の品質が悪化するというエビデンスになります。
以上まとめると、坊ちゃん医者・嬢ちゃん医者は医者になってからお金優先の仕事を選択する傾向が著しく強く、それと同時にお金優先の仕事をする医者は仕事結果の品質が悪いというエビデンスとなります。
医者の仕事ってさ、簡単な問題ばっかりじゃないのよ。
簡単そうに見える問題でも引っ掛け問題のワナがあちこちに潜んでます。
その引っ掛け問題のワナに気づかずに表面的な問題にだけ対処した方がそりゃ儲かりますよ。楽だもん。
しかし、表面的な問題に隠れた真の問題を解決してくれないと患者は不幸ですよね。
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この過去ブログ記事で紹介した30代女性患者さん、風邪っぽい症状の主訴とは全然関係ない急速進行性糸球体腎炎を即座に診断しました。
表面的な問題だけしか解決しない医者にかかってたら、彼女はあと1、2週間もすれば透析になってしまっていたでしょう。
さて、あなたが今後医者にかかろうとするときに、あなたが訴えている症状と全然関係ない緊急性の病気が隠れていないとは言い切れないでしょう?
ということは、坊ちゃん医者・嬢ちゃん医者にかかった方がいいか、それとも苦学生やってた医者にかかった方がいいか、という選択問題を考える上での参考エビデンスをあなたに今回提示しました。
医者目指してる高校生の皆さん、医学生の皆さん、研修医の皆さん、あなたたちが今どれだけ知的技術を研鑽するかで将来出会う患者が助かるかどうかが決まります。気合い入れてね。