6/22 おはクラ放送後の呟き | マーシー山本教授のゆるゆるクラシック日記

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マーシー山本のお仕事の報告やクラシック音楽の豆知識をお届けします。

今回はクラシック音楽で人気曲を沢山生み出した、国民楽派についてお話しいたします。


国民楽派は19世紀中ごろから20世紀にかけて、民謡や民族音楽に基づいた独自の音楽を作り上げた作曲家たちを指します。

彼らは自国の歴史や自然を題材にし、愛国心を育む音楽を生み出しました。

これまでクラシック音楽の中心だったイタリアやドイツ、オーストリアではなく、ロシアやチェコ、フランス、フィンランドなどの国々が主要な舞台となりました。


国民楽派の著名な作曲家としては、ロシアの「ロシア5人組」、チェコのドヴォルザークやスメタナ、フランスのサン=サーンス、フィンランドのシベリウスなどが挙げられます。

彼らはそれぞれの国の文化や歴史を音楽に取り入れ、国民楽派の音楽を頂点に導きました。


国民楽派が誕生した背景には、二つの大きな要因があります。

第一に、ロマン派音楽が行き詰まりを見せていたことです。

バロック時代からロマン派にかけて多くの楽曲が生まれ、ネタ切れの状況が進んでいました。

 

第二に、時代背景です。

1848年のフランス二月革命により、「国民が国の担い手」という意識が高まりました。

この影響で、小国の独立運動が活発化し、芸術分野でも自国の歴史や文化を大切にしようという動きが広がりました。


当時のクラシック音楽はドイツ・ロマン派が主流でしたが、ナショナリズムの高まりとともに、自国の音楽を重視する作曲家が増えていきました。

これにより、これまで注目されなかった国々で自国の伝統を取り入れた音楽が発展しました。


国民楽派の先駆けとなったのは「ロマの音楽」とされています。

ロマ音楽は移動生活を送っていたロマ民族の「ジプシー音楽」に由来し、独特のリズムとメロディーが特徴です。

 

フランツ・リストの「ハンガリー狂詩曲」やドヴォルザークの「スラブ舞曲集」などに取り入れられ、その独自性がロマン派音楽に新しい風を吹き込みました。

このロマ音楽の影響が、作曲家たちのインスピレーションを刺激し、自国の伝統に根ざした音楽を追求するきっかけとなったといわれています。

 

今回の動画

https://youtu.be/hB5_IEvOliM