6/15 おはクラ放送後の呟き | マーシー山本教授のゆるゆるクラシック日記

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スメタナ作曲の連作交響詩「わが祖国」は、チェコの作曲家スメタナが1874年から1879年にかけて作曲しました。

6つの交響詩からなる大作です。

この作品は、スメタナの愛国心とチェコの風景や歴史、伝説を音楽で描写したもので、チェコ音楽の象徴的な存在として知られています。


作曲の背景と意図についてお話しします。
この曲が作曲された時期はスメタナは病気により聴力を失っていました。

それにもかかわらず、彼はこの作品に全身全霊を注ぎ込み、チェコの美しさと誇りを表現しようとしました。

 

この連作交響詩は、スメタナの音楽的な成熟とともに、彼の愛国的な感情が強く反映されています。
各交響詩は下記の6曲になります。

1. 「ヴィシェフ(Vyšehrad)
   最初の交響詩「ヴィシェフラド」は、プラハにある同名の古城を題材としています。最初の2台のハープの美しい旋律が印象的で、城の壮大さと歴史的な重みを音楽で描写しています。

2. モルダウ(ブルダバVltava)
   この連作の中で最も有名なのは2番目の交響詩「モルダウ」で、チェコを流れるヴルタヴァ川(ドイツ語でモルダウ川)をテーマにしています。川の源流からプラハを経てエルベ川に合流するまでの様子が音楽で表現され、流れる水の音を模した美しい旋律が特徴です。

3. シャールカ(Šárka)
  「シャールカ」は、チェコの伝説に登場する女性戦士シャールカの物語を描いています。裏切られたシャールカが復讐を誓い、男性たちを罠にかける激しい音楽が展開されます。

4. ボヘミアの森と草原から(Z českých luhů a hájů)
   チェコの自然の美しさを賛美しています。森や草原の風景が音楽で生き生きと描写され、明るく平和な雰囲気が漂います。

5. ターボル(Tábor)
   ターボルは、中世のフス戦争で重要な役割を果たした都市ターボルをテーマにしています。フス派の戦闘歌「我らの神は堅き砦」をモチーフにした力強い旋律が特徴です。

6. ブラニーク(Blaník)最後の交響詩「ブラニーク」は、チェコの伝説に登場する山ブラニークに眠る騎士たちの物語を描いています。ターボルのテーマを引用し、チェコの未来への希望と栄光を象徴しています。


そして、音楽的な特徴と影響をお話しします。
「わが祖国」は、スメタナの高度な作曲技法とチェコ民族音楽の要素が融合した作品です。

 

旋律の美しさ、リズムの多様性、そしてオーケストレーションの巧妙さが際立っています。

この作品は、後のチェコの作曲家たちに大きな影響を与え、特にアントニン・ドヴォルザークなどがスメタナの伝統を継承しました。


また「わが祖国」はチェコ国内外で広く演奏され、チェコの文化遺産として重要な位置を占めています。

特にプラハの春音楽祭の開幕演奏として定番となっており、スメタナの故郷への愛情と誇りが多くの人々に感動を与え続けています。


スメタナの連作交響詩「わが祖国」は、チェコの風景、歴史、伝説を音楽で描いた傑作です。

全6曲を通じて、チェコの自然美や歴史的な事件、伝説的な人物が鮮やかに描かれており、スメタナの愛国心と作曲技術の高さを示しています。

この作品は、チェコ音楽の象徴として今なお多くの人々に親しまれ、演奏され続けています。

 

セントラル愛知交響楽団は、2024年7月12日(金)の18:45から愛知県芸術劇場 コンサートホールで、指揮レオシュ・スワロフスキー(名誉音楽監督)でスメタナ:連作交響詩「わが祖国」(全曲)を行います。
是非お越しください。

 

今回の動画

https://youtu.be/QveaShtHCms