2024年始・西日本旅でのブチハイエナ訪問記。
第一弾は高知県。
四国はブチハイエナの頭数が日本列島のうち本州に次いで多い。
ハイエナに会う必要性からそもそも四国への訪問が始まった。
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1月5日、昼過ぎ。
「高知県のいち動物公園」を訪問した。
国内のブチハイエナ環境では最も理想的だと思うのが同園。
なぜかというと、ここの個体達は「サファリ」以外の環境ではほぼ唯一のストレスフリーな環境だから。
つまり、「右に左に行ったり来たり」の常同行動がない。
(但し、室内は例外。狭いため、頻繁に同じような行動をとる。)
ただ、累積訪問回数たった3回だから、決めつけることはできないのだが。
あくまで自分の独断での評価。
ちなみに反復・常同行動が「悪い」とは決していうつもりはない。
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さて、同園ではこれまで
母:エナさん
父:ブッチーくん
息子:トーフくん
という体制がしばらく続いていた。
2023年秋、千葉市動物公園と個体一体ずつの交換トレードが実現した。
ブチハイエナの繁殖のために。
千葉からは「カロアちゃん」が、のいちからは「トーフくん」が互いに新天地へ移動した。
導入当初、カロアちゃんは性別を誤判定されて「カロアくん」だったのだが。
昨年10月「のいち」ではカロアちゃんが馴染み始めたとローカルニュースで話題の頃。
自分としてはトーフくんに会えるものと千葉へ出かけたことがあった。
ところが、トーフくんはその当時未公開のまま、フライングして赴いて悔いた次第だった。
(この記事執筆時2024年2月10日現在も、まだトーフくんは未公開のはず)
この日のスタメンは、以下の通りだった。
午前屋外:エナさん&ブッチーくん、室内:カロアちゃん
午後室内:エナさん&ブッチーくん、屋外:カロアちゃん
この日は快晴ではなかったが、ほどほどに晴れ間があった。
普通に暖かいと思ったが、これでもこの時期の高知では寒い方だという。
エナさんとブッチーくんは日当たり優良僻地で程よい距離を保って寝ていた。
安定の夫婦の姿があった。
ところが、である。
「熟年夫婦のもとに若い女がやってきた」のだ。
人間の都合で。
カロア
夫(ブッチー )と若い女(カロア)に子供を産ませようという。
妻(エナ)の気持ちを思えばさながら「キー!何よ!この泥棒ネコ(ネコに本当に失礼)!」だろう。
ハイエナたち、ちゃんと「自我」「意識」「意思」といったものがある。
頭が良い、仲良くなれば挨拶もしてくれる。
合理的な考えができる。
自身優秀なハンターなのに「横取り」「腐肉漁り」するのはそうするのが「楽」だという合理的な判断による。
当然好き嫌いもある、この辺の事情は人間側が配慮してあげなければいけないと思う。
だが、自分は飼い主ではないからこれ以上の批判はしないことにする。
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これまで千葉でカロアちゃんに会ってきた。
なかなか面白い子だ、人への感受性が高い。
女の子にしては結構珍しいのかも知れない。
千葉には他にもイトゥバちゃん、エサンドワちゃんがいる。
イトゥバちゃんも同様に好奇心旺盛な女の子だという印象がある。
この日、カロアちゃんとブッチーくんを一緒にすることがなかった。
意外だったが、そういう日もあるという。
この日は週末土日だったため、旧来のペアということだった。
平日は「ブッチー&カロア」ペアで同居もさせているらしい。
さて、ここからは各個体について。
【エナさん】
エナさんはとても愛嬌のある個体だ。
来客があるとわざわざ出迎えてくれることも多い。
エナさんは体つきに個性がある。
どちらかというと、女の子らしさが少なめな外観をしている。
独特の「ヌルッ」とした体型をしている。
常連になれば、きっと相手もしてくれることだろう。
高知は埼玉から遠すぎて足繁く通いたくてもできない、残念だ。
【ブッチー】
エナさんとブッチーくんとの関係は典型的な「かかあ天下」と言う感じ。
これはいつ来てみても変わらない、安心できる。
ブッチーくんはエナさんにちょっかいを出されて歯を剥き出しにすることも。
服従しているサイン。
エナ&ブッチー
ところがカロアちゃんとの関係は違う。
13時過ぎに変化が出てきた。
この園にはブチハイエナには専任の?飼育員女史がいる。
それがどれだけ贅沢なことか、と他園をみて思う。
彼女が出てきて状況は変わり始めた。
まず屋上からご飯を2頭へ投げ込む。
エナ&ブッチーの上下関係を見越して、適切にご飯を投げ与えている。
その後でエナさんが屋内へ戻った。
ブッチーくんが広い展示場にポツン。
この頃、室内のメス2頭になるのだが、一緒になることはない。
複雑であるが、当然だと思う。
(ハイエナの社会ではボスはメス一頭)
さて、室内への扉が1つ開いたままとなっている。
展示場にいるブッチーくんはその扉を見つめている。
そして、気づけば真冬なのに水場に浸かっている。
なんだろうか?この光景は?
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ここからは飼育員さんから提供してもらった情報。
ブッチーくんはカロアちゃんでトラウマがある様子だ。
デカくて若い女カロア、圧倒されるのも理解できる。
カロアちゃんを警戒している。
ブッチーくんが浸水して待ち構えている理由は、カロアちゃんが場内で最も来そうにない場所だから。
千葉では水深の浅い水辺にしか入ったことがないカロアちゃん、深水まで入ることがまだ出来ない。
このようになったきっかけはカロアちゃんとブッチーくんの性行為中に問題がある様子。
カロアちゃんの変わった性癖によるらしいが。
それについてはここでは書かない。
ブチハイエナ達の中でも人間同様「外人」関係はあるみたいに感じた。
飼育員さんの話によると、これまでのエナさんブッチーくんファミリーとは違う個性だという。
この話は面白かった。
カロア
同じ人間でも黄・白・黒・その他人種がある。
人種だけでなく、民族の違いもある。
それと同じことがハイエナ社会でもありそうだ、という話。
つまり、カロアちゃんとブッチーくんは外人同士でコミュニケーションにも違いがある。
それを乗り越えることができるまで、時間が必要なのかも知れない。
暖かく見守りたいと思う。
ちなみに、ペアリングが上手くいかない例を思い出した。
大阪・天王寺動物園の「ハナ・レイ」はペアになって久しい。
なのにまだ「子どもを授かった」話題にならない。
人間が思っている以上に相性問題は簡単ではなさそうなブチハイエナたちの世界。
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そのうち、ブッチーくんが遅れて室内へ戻った。
飼育員さんも、ブッチーくんが室内へ戻るのを待っていたのだろうと思う。
それから程なくして、カロアちゃんが単独で外へ出てきた。
昼の入れ替えがこれで終わった。
室内では戻った二頭がわちゃわちゃしている。
これは毎度のこと、これはこれで面白い。
2頭の臀部だけ見えていることもある。
今回は、前回ほど面白い光景は見られなかった。
手前のガラス張りの一室に出てきてまだ奥へ引っ込む。
そして、また出てくる。
そんな繰り返しがひたすら続く。
違和感だったのは確信に変わった。
それは「真冬にここを訪れたことが過去にない」という確信。
撮影しづらくて違和感があった。
午後は逆光が強くなり撮影意欲を失って、参った。
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カロアちゃん、千葉時代よりも、個性を発揮しているように思えた。
彼女にとって千葉よりも良い環境にやってきたのかもしれない。良かったと思う。
人間に対する感度が高い、大宮のホシくんもそうであるがこれから高知の客に好かれるだろう。
何とも言えない三頭関係になってしまったが、三者共にうまくやってほしい。
カロア
園を出たのは16時半の閉園時刻となった。
土産屋近くに「写真機」があった。
驚いたことにブチハイエナのテンプレートもあった!
ただ、テンプレートのハイエナ個体は「のいち」のではない。
ならば、とついつい撮影を楽しんだ。
遅くなってしまった。
ブチハイエナのテンプレート撮影ができるのは日本中でここだけかもしれない。
良い記念になった。
彼らにまた会いたい。
次はいつ戻って来れるだろうか?