「何かあったの?俺たちでよかったら
相談に乗るよ?」
ついお節介が出ちゃったら和が
「恋ちゃんが何も言わないのにあんたが
余計な事言わなくていいから。」
ね、って石川さんに言うと
「私、そんな顔してますか?」
ちょっと泣きそうな顔になった。
沈黙が続き少しすると石川さんが
「せっかく結婚したのに毎日仕事で帰りも
遅いし出張でいない事も多くて。
何のために結婚したんだろって…」
小さな声で吐き出すように話し始めた。
彼女はずっと寂しかったんだろう。
だから土曜日もここに来てるのか。
「それでも恋ちゃんが決めた事だから。
この先も恋ちゃんが決めるしかないよね。」
和が少し突き放したような言葉をかけたけど
でもそれは俺たちが決められない事だし
石川さんがこれからも笑っていられる道は
自分で決めるしかないから…
ぐいっと涙を拭うと石川さんは
「ありがとうございます。聞いてもらって
少し楽になりました。」
ぺこりと頭を下げて食べ終わった食器を持ち
奥に行ってしまった。
つづく…