先日、3月9日に放送されました、横浜流星さん主演の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」第10話のネタバレ&個人的感想を。



小芝風花さん演じる、瀬川の身請け話が決まった頃、田安家から,白河・松平家に養子に行く為、江戸城を出る事となった、寺田心さん演じる、田安賢丸は「種を蒔きましょう! 田安の種を蒔くのです、江戸城に!」と走り出していました。

江戸城西の丸では、共に8代将軍・徳川吉宗の血を引く、奥智哉さん演じる、西の丸の徳川家基(奥智哉と、田安賢丸が将棋を指していました。


その様子を見ながら、高梨臨さん演じる、10代将軍家治の側室の知保と、花總まりさん演じる、賢丸の養母の宝蓮院が、賢丸の白河行きについて話していました。


宝蓮院は「同じ吉宗公の血を引くものとして、西の丸様をお支えしたいと、賢丸は望んでおりましたもので、きっと、西ノ丸様が将軍におなりになった時、ああして盤を囲むのは、足軽上がりの、田沼意次の息子の意知なのでしょうね」と予想し、悔しがっていました。

知保から「どうにかならぬものか?」と聞かれた石坂浩二さん演じる、松平武元は「一つだけ、手がございますかと」と答えます。


それは、賢丸が思いついた妙案でした。


一方、駿河屋の2階の座敷でも、吉原の親父達が将棋を指しながら、瀬川の身請けに、かこつけた商売の話題で、もちきりでした。

瀬川の最後の花魁道中は、年の暮れ。

「正月だったら良かったのにね」


「正月発売の『吉原細見』が、よく売れる筈なのに」と、吉原の主人達は残念がりますが、地本問屋に合わせる必要がなくなった事に気がつき「それなら、年の暮れに売っちまえば良いじゃないか、誰が決めたんだよ、正月って!」という結論に達しました。


さらに「ついでに女郎絵も売っちまうってのは、どうだ?」という流れとなり「瀬川の次を、ズラッと並べてね」と。


「『雛形若菜』潰しちまえってね」と。


「重三!お前、瀬川の最後の道中に合わせて、錦絵出せ! 次に売り出す綺麗どころ、ずらっと並べてよ、錦絵作りの金には糸目をつけない」と言い「瀬川の最後の道中を盛り上げ、ついでに、地本問屋を潰してしまえ!」と、親父達は鼻息荒く、盛り上がります。


元気の無い蔦重が、仲の町に出ると、身請けの挨拶回りをしている瀬川の姿がありました。


「この馬鹿らしい話を、重三(蔦重)が勧めてくれた事、わっちは、きっと一生忘れないよ!」と、瀬川から、通行手形入りの本を返された事を思い出し、淋しいい気持ちになる蔦重でしたが、その直後、吉原出入り禁止になったはずの、西村まさ彦さん演じる、西村屋と、芹澤興人さん演じる、忠五郎が、本宮泰風さん演じる、女郎屋の若木屋に入るのを見かけます 。


どうやら、高橋克実さん演じる、駿河屋達とは違うグループの引手茶屋や、女郎屋達が集まっている様子でした。


その集まりでは、西村屋の誘導で「市中の本屋さんとは付き合わねえて言ったのは、駿河屋達の方だ、俺は、その方がどうかと思ったぜ! 吉原の中には、市中の本屋さんを馴染みに持つ店だって、たくさんあるのによ!」と若木屋が言い、続けて「出入り禁止は駿河屋達が勝手に決めた事、若木屋グループは、今まで通り、地本問屋と取引しよう!」と決まりました。


西村屋は「ニヤリ!」と、ほくそ笑みます。



蔦重が、市中の本屋に行ってみると、必死で作った『籬(まがき)の花』が、店に出されず屑屋に売られていました。


話を聞いてみると「吉原者が、この本が欲しけりゃ、吉原まで買いに来やがれ!」と言ったとか、「丁寧に話をしに行ったのに、問答無用で、地本問屋が殴られた」など、吉原の悪評が広まっているようでした。


蔦重が「どうしたものか?」と考えながら歩いていると、安田顕さん演じる、平賀源内が、蔦重に声を掛けて来ました。


源内は、里見浩太朗さん演じる、須原屋と芝居小屋に行く途中で、蔦重が、地本問屋から締め出された事を相談すると「半時程で終わるんで、遊んでいてくれ」と言われます。


蔦重は、芝居町(芝居小屋を中心に役者などが暮らした町)を見て回る内に、オフの役者が、プライベートな時間を思い思いに過ごす姿を目の当たりにし、興味を抱きます。


更に、絵草紙屋では、前野朋哉さん演じる、勝川春章を真似た偽絵も売っており、興味深く見て回りました。


「けど、なんで役者絵って、役者姿だけなんでしょう? 役者してねえ時の役者 描いたっていいと思うんですが」と絵草紙屋に問いかけます。


蔦重は、そこで、片岡愛之助さん演じる、鱗形屋を見かけた、丁度、その時、源内達が戻ってきました。


居酒屋に入り、2人に「この状況を、何とかしたい」と相談すると、須原屋は「吉原は、お前さんが慌てる程、事は悪くねえと思う」という意見でした。


「『吉原細見』を鱗形屋が刊行し、女郎達の「錦絵」を西村屋が刊行すれば、放っていても、吉原に人を呼んでくれる」というのです。


そして、以前のように、蔦重が「改(あらため=改訂作業)」に専念すれば、関係も修復されるだろうと、物事を引いてみる事を教えてくれました。


ただ、吉原から甘い蜜を吸うつもりの鱗形屋&西村屋の悪だくみを知っている蔦重は、受け入れがたく。


「もう『やりてえ事』やったら?」と、源内は助言し、蔦重に『やりたい事』を尋ねました。



蔦重は「笑われまさね、絵に描いた餅だって」

と前置きをしてから、話し始める蔦重。



「俺は、吉原を昔のように江戸っ子が憧れる所にしてえっす!、いかがわしい離れ小島って、見下されるんじゃなくて、吉原で遊べなきゃ、ー流じゃねえって見上げられる場所で、そこに花魁なんてなあ、男にとっちゃ、高嶺の花で、だから、すげえ、でえじ(大事)にされて、そこに居る女郎達にとっちゃ、いい出会いに恵まれて、辛い事よりも、楽しい事の方が多い、俺は、吉原を、そんな場所にしてえです、で、あいつを喜ばせてえ!」と、蔦重は、瀬川を喜ばせたいと願っているのでした。


良いじゃねえか! 吉原を皆が仰ぎ見る所に変えてやろうぜ! それこそ、千代田のお城みてえによ!」との源内の言葉に閃いた蔦重。


浮かんだ案は、何と、完成した錦絵本を上様に献上する事でした。


上様献上したという噂が広がるだけで、吉原の格は大いに上がるはずです。


源内の力を借りれば、田沼意次までは確実に届けられます。


心に火がついた蔦重、源内、須原屋の3人は、さっそく実現に向けて策を練り始めます。


まず、蔦重は吉原の親父達に計画を伝え「資金の100両を出して欲しい!」と頼みます。


「入銀じゃねえ貸付だ!」と、50両を出す駿河屋。


本が売れなければ、蔦重の借金となります。


親父達から、100両を借りる事に成功し、蔦重は大いに張り切ります。


次は絵師の選定です。


『一目千本』の絵を描いた、橋本淳さん演じる、北尾重政と、前野朋哉さん演じる、人気絵師の勝川春章が、錦絵本を描いてくれる事を承諾してくれました。


蔦重は開店前の松葉屋に二人を連れて行き、花魁達の普段暮らしている姿を見せます。


そして、遂に、豪華な吉原錦絵本『青楼美人姿合鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ)』が完成。


献上本を持ち、源内に連れられて、駿河屋、山路和弘さん演じる、扇屋と一緒に、意次の屋敷を訪れます。


意次は、蔦重から話を聞く内に「ありがた山、お前、ありがた山か?」と、蔦重の事を思い出します。


「覚えてくれていたのですか?」と蔦重。


「あのように地口(駄洒落)で礼を言った者は、他におらぬからな」と意次。


蔦重は「名跡・瀬川の落籍(身請け)を祝って出版した、天下御免の色里に相応しい「錦絵本」をお上に献上して、吉原の格を上げ、徳川家の威光を世に伝えたい」という趣旨を説明します。


すると意次は「以前、日光社参に係る費用に頭を悩ませていた意次に対して「花魁道中のように見世物にして金を稼げば良い!」とアイディアを出した源内に「恩を返さないわけには、いかぬな」

と答えたのでした。


ですが、江戸城に『青楼美人姿合鏡』を献上しに上がった意次は、驚くべき話を、眞島秀和さん演じる、10代将軍の徳川家治から聞かされます。


それは「小田愛結さん演じる、田安家の種姫を家治の養女とし、ゆくゆくは、息子の家基と結婚させる」という事でした。


田安家を取り潰す考えだった意次は、唖然とします。


これこそが、将来「松平定信」となる田安賢丸が、大奥や、松平武元らの協力で蒔いた「種まき」なのでした。


「虫は自ら 明るい方へと寄って行く、今の、この話を聞いて、田沼のこの先が明るいと思うものはおるまい、人が離れて行く、白眉毛め!」とイラつく意次。


こうして種姫は、富永愛さん演じる、大奥総取締役の高岳が仕切る、大奥に迎え入れられたのでした。



ガランとした部屋にいる瀬川に、蔦重は餞別として、錦絵本『青楼美人姿合鏡』を贈ります。


本には、瀬川が本を読む姿が描かれています。


瀬川は自分の意外な姿を見て「楽しかった事ばかり思い出す」と喜びます。


「俺は、ここを楽しいことばかりの所にしようと思ってんだよ、売られてきた女郎が良い思い出、いっぺぇ持って、大門を出て行ける所にしたくてよ、これは2人で見てた夢じゃねえの? この夢から覚めるつもりは毛筋ほどもねえよ、俺と花魁を繋ぐもんは、これしかねえから、俺は、その夢をず〜っと見続けるよ!」と言い「そりゃあ、まあ、べらぼうだねえ〜!」と瀬川の目からひと筋の涙が流れます。


 

やがて太鼓が鳴り、黒山の人だかりの中、花嫁衣装の瀬川の花魁道中が始まりました。


前だけを見て歩く瀬川の、きりりと媚びない、けれど優しい面持ちが、人々を惹きつけています。


瀬川は方向転換すると、蔦重の前で立ち止まります。


しばらく見つめ合う2人。


「おさらばえ」


瀬川は別れの言葉を口にして、大門を出ていきました。


大門の外には、市原隼人さん演じる、鳥山検校が待っていました。


蔦重は気持ちを切り替えます。


声を張り上げ、瀬川の最初で最後の絵姿を入れた錦絵本『青楼美人姿合鏡』 を売り始めました。


店や通りにいる、駿河屋達や、若い衆も、錦絵本を一斉に掲げます。


「瀬川の最初で最後の絵姿を入れた、錦絵本である事、全ての花魁が掲載されている事、そして、

お上に献上された本である事」などを宣伝する、蔦重。


人々は沸き上がります。


 後日、風間俊介さん演じる、鶴屋と鱗形屋は、年の暮れに吉原で『細見』が、ばらまかれたということを知り、年明けに発売する『細見』が売れなくなると舌打ちをしていました、


そこに、西村屋が駆け込んで来ました。


西村屋によると、書物問屋(漢籍や医学書など、固めの本を売る本屋)の須原屋でも売られていたとの事で、錦絵本は、地元問屋で売るジャンルの本なので、にわかには信じられませんが、確かに流通ルートを考えると可能なのでした。


ただ、ページを捲ってみた鶴屋は「ご案じ無く、これは売れません」と断言するのでした。


第10話は、ここまで。



今回の第10話のラストシーンで、瀬川の花魁道中を見学していた客の中に、尾美としのりさん演じる、平沢常富が、花魁に見つめられ、あからさまに嬉しそうな顔をするシーンが、ハッキリと映されました。


尾美さん演じる、平沢常富の姿が認識出来たのは、第2話に続いて、ようやく2度目。


「べらほう」は、ある意味「常富を探せ!」も、話題になってるように感じてます(笑)


しかし、今回の第10話は、まるで最終回のような神回だと思いました。


蔦重と瀬川の別れ間際での錦絵本『青楼美人姿合鏡』を、蔦重が瀬川に手渡したシーンの会話は、個人的に胸に込み上げるものがあり、切なさを感じました。


検校に身請けされて行く、最後の花魁道中での、瀬川の、妖艶とも言える美しさは、まさに圧巻でした。


この後、波瀾万丈(?)の人生を送る事になる、瀬川は、蔦重と再会する事は叶うのでしょうか?


次回も楽しみです。