今回の個人的アルバム・レビューは、もう1枚、FBフレンドさんからのリクエストにお応えして、1989年発表のプリンセスプリンセスの「LOVERS」を。

このアルバムが発売された1989年は、シングル「DIAMONDS」続く、リカットシングル「世界でいちばん熱い夏」が立て続けに大ヒットを飛ばして、プリンセスプリンセスが、大ブレイクを果たした年でもありました。

そんな上昇気流の中、11月にリリースされたこのアルバムは、なんとシングル曲を一切収録しない(「世界でいちばん熱い夏」は、デビューアルバムからのリカットでしたが)、全10曲完全新曲という驚きのラインナップ。

この後の活動でも、アルバムリリースの際は基本的にシングル曲は先行シングルとして切ったものしか収録しない姿勢を、解散まで貫いていた、プリンセスプリンセスではありましたが、シングル曲ゼロというオリジナルアルバムは、このアルバムのみ。

求心力のあるヒットシングルを入れないでどういったアルバム構成になるのか?と、ファンも関係者(?)も発売前は結構不安だったんじゃないかと思うのですが、フタを開けてみれば「友達のまま」・「DINGDONG」・「恋に落ちたら」といった、アルバムの核になる名曲が数多く収録されて、逆に、これらの曲をシングルで切れば良かったんじゃないの?!と思わせてしまうほど、ドラマチックかつ、親しみやすいメロディーのナンバーが楽しめる一枚になっています。


 今回のアルバムのテーマはズバリ「恋愛」
という事らしく、色々な形のラブソングが散りばめられているのも特徴です。

名曲「パパ」もある意味、全国へのお父さん方ラブソングだと思いますよ。

それに合わせてか、奥居香さんのヴォーカルも気合全開という感じではなく、適度に力が抜けていたり、時に切なかったりと様々な表情を見せています。

また、後にスピッツや、コブクロのプロデュースを手がけることになる笹路正徳氏のサウンドプロデュースも、ロックサウンドをベースにしながらも、どこか耳当たり良く仕上げているという具合に、アルバム全編を通して非常に聴きやすい空気が感じられます。

お気に入りの曲を挙げるとすると「GO AWAY BOY」を彷彿とさせる痛快ロックナンバー「シェイク・イット・オフ」・シャッフル系の「パレードしようよ」です。

彼女達の魅力の1つに、メンバー自身が全て作詞・作曲を手がける個性というのがあると思いますが、今作も含めて、ブレイク後も安定した良い詞や曲を世の中に送り出していけたという点が、寿命が短いと言われるガールズバンドの中で、実にデビューから10年間近くも一線で活躍し続けることができた秘訣だったのではないでしょうか?


「ムーンライト・ストーリー」から「パレードしようよ」まで、1つのストーリーを持った様々な「愛の場面」を切り取った歌が流れて行きます。


他に個人的に好きな曲は、ムーンライト ストーリー」・「友達のまま」・「恋に落ちたら」・「パパ」の4曲です。



「友達のまま」

切ない曲です。
きっと当時の女の子達には、グッと響いた曲なのではないでしょうか?


「恋に落ちたら」

本木雅弘さん主演の周防正行監督の映画「ファンシィダンス」の主題歌に起用された楽曲。

若き日の本木雅弘さん、鈴木保奈美さんの演技が初々しかったです。

彦摩呂さんも、この頃は、スリムでイケメンでした(笑)。

この曲の様に明るい恋愛ソングも良いです。
とても聴きやすくて、多くの方に支持される曲調だったと思います。

「パパ」

当時は、KDD「001」CMソングにもなったこの曲。

当時の結婚式ではよく歌われた曲ではないでしょうか?
娘から父へ送る名曲です。


「パレードしようよ」

ライブの1曲目にもってこいの曲です。
盛り上がるし元気の出る曲でした。
ソニーオーディオカセットテープのCMソングに起用されました。







収録曲


1. Moonlight Story (ムーンライト・ストーリー)
2. 友達のまま
3. DING DONG
4. Rain (レイン)
5. 恋に落ちたら
6. Spy in Love (スパイ・イン・ラブ)
7. Shake It Off (シェイク・イット・オフ)
8. パパ
9. 海賊と私
10. パレードしようよ