つぶやく女 | やせ我慢という美学

やせ我慢という美学

夢はきっと叶う ひとつだけきっと叶う
そのために何もかも失ってかまわない
それほどまでの夢なら叶う
一生にひとつだけ
夢はきっと叶う 命も力も愛も
明日でさえも引き換えにして きっと叶う

その点、(どこの点だ?)家人はぼくとはまったくレベルが違う。

いろんな価値観が違うが何と言っても「お金とモノへの執着のなさ」はぼくのレベルから言えば完全に常軌を逸している。病気ってこういう事かと思う。捨てるし、金離れの良さはきっとその辺の人に理解してもらうレベルを超えている。「ない方がいい」ではなくて「あると困る」レベルだ。

息子の就職が何とか決まって大阪へ行った。その後すぐ彼の部屋を片付けだした。もう止まらない。本人の許可なくゴミ袋にスタンドライト、服、カバン、本などをかなりの量入れていた。もう水原一平並みの中毒患者だ。止まらない。

「これで当分何とかしいな、言うてお金渡しといたで」と言って息子に渡した金額を聞いて、引いた。「エッ」しかなかった。どこにそんな金があるのか知らないが、ぼくの関わる範疇ではないことは以前から明らかだ。

一平さんと同じように「捨て磨」更生プログラム施設へ入所してくれないだろうか、と言うのがぼくのささやかな希望だ。

昨年あたりから「この家もいらない」とつぶやき始めた。能登の地震を見て、「すっきりして仮設住宅でええなあ」と大きめにつぶやいた時には血が凍るかと思った。

今度、予想されるつぶやきは「この家に二人は多いなあ」・・・現実味を帯びてきた。