今回は昨日の続きとなります。良かったらチェックしてみて下さい。

https://ameblo.jp/masatolevel3/entry-12840531692.html

https://ameblo.jp/masatolevel3/entry-12840531838.html

 

ワンマン経営 報告書では、この公私混同を可能にしたのがゴーンに権力が集中したのが要因としてました。日産における自身の報酬を含めた経営陣の報酬を決定する権限がゴーンに一任され、ゴーンに反論や質問ができる環境ではなかったようです。自分の指示に従う有能な部下は重用しますが、従わない人間は外されます。イエスマンしか残らず、反論したら怒鳴られるだけならいいですが、簡単にクビや左遷にします。前述のクレジットカードで私的に使ってることを秘書室長が咎めましたが、関連企業左遷されました。最初にあったクロスファンクショナルチームもゴーンの親衛隊に成り代わりました。

 

 その後、ゴーンから難しいコミットメントを要求されると

 

「できないと言えば飛ばされて、できるといえばその2年間はポジションに残れる」

 

取締役会は約20分で終了、身近文句を言う取締役や監査役は会議後自室に呼んで、うるさい監査役は再任せず。こういう形で会社をコントロールして、イエスマンを重用、その一人がグレッグ・ケリー、元弁護士で人事組織を担当していた彼はどんどんと出世して、2009年に常務執行役員に昇格。ケリーがゴーンの報酬を調整した張本人で、支払いを先延ばしにして記載額を少なくしようとしました。なぜ少なくしようとしたか、ゴーンは昔から自身の報酬を開示するのを嫌がっており、恐らく高額な報酬に対して世間から非難されるのを嫌がった。特に、フランスでは10億円の報酬でも非難されてました。

 

 一方、業績に関してですが、売上は順調でしたが、経常利益やキャッシュフローはパッとせず。有利子負債が7.7兆円に膨れ上がってます。日産リーフも電池コストを下げられず、走行距離などの課題もあって思ったより販売が伸びませんでした。当時はハイブリッドが優秀で厳しい戦いでした。デザインやエンジンも突出してなく、以前と比べてサプライヤーとの関係も悪化して厳しい環境です。ちなみに経常利益ベースで見ると、ゴーンがルノーのCEOと兼任したあたりで日産は成長しなくなりました。

 

 一方、ルノーの技術研究所で2006年10月から4か月間で3人の自殺者が出ました。要因は中期経営計画達成のため開発期間が短縮され、労働環境が悪化したことと指摘されてます。2009年にゴーンをヘッドハントしたシュバイツァーが会長からも退きルノーを離れ、唯一ゴーンの上司も去り、完全にストッパーがいなくなりました。

 

 2010年ぐらいから当時の奥さんと険悪になり、さらに2011年にルノーで産業スパイ事件が発生、幹部3名を解雇しました。本当の問題はここからで、その産業スパイはでっち上げでした。嘘の情報に踊らされ幹部を解雇、その幹部は戻しましたが大株主でもあるフランス政府のトップ、サルコジ大統領から

 

「トップか2番手が責任を取れ」

 

それで当時のCEOが辞任。この辺からゴーンはアライアンスを大きくし始めます。その完成形がルノー、日産、三菱。

 

 2018年マクロン大統領はゴーンのルノーCEO再任に賛成する代わりに条件を出しました。

 

「後継者を育てることと中期経営計画を達成すること」

 

もう一つが

 

「ルノーと日産の関係を後戻りできない不可逆的なものにしろ」

 

自身がトップに君臨するためこの提案を呑まざるを得ませんでした。しかし、西川氏などの日産経営陣が反対、ここから大きく事態が進展します。

 

逮捕から逃亡へ 2018年11月19日、羽田空港で東京地検特捜部は金融商品取引法違反の容疑でゴーンとケリーを逮捕。当日、午後10時から西川氏が緊急記者会見で経緯を説明します。この後ゴーンは日産・三菱の会長職を解任され、12月10日に再逮捕されました。容疑は金融商品取引法違反で、最初の逮捕が10年~14年分、今回が15年~17年分で期間が異なります。

 

 同月21日にサウジアラビアルートの特別背任容疑で3度目の逮捕となりました。その後、拘留が続くものの保釈金10億円を払い保釈されます。この保釈の際に報道陣に囲まれないためか、ゴーンは作業服を着用して、はしごを載せた軽ワゴンに乗車して出て行きました。ちなみに、建物から出てくる時に、職員が何人も取り囲んでて、軽トラで出ていくときも護衛っぽいバイクがついていきました。

 

 保釈されて1ヶ月後、ゴーンがTwitterを開設して、

 

「何が起きているのか真実をお話しする準備をしています、4月11日木曜日に記者会見をします」

 

その翌日に4度目の逮捕。容疑はオマーンルートの特別背任容疑。4月9日にゴーンの弁護団が、記者会見を開けなかった時のために用意した映像を公開。ここでゴーンは、

 

「私は無実で、今起きていることは陰謀で、謀略によるものだ」

 

その後、ゴーンは5億円の保釈金を納めて保釈されました。今度は普通の姿で出てきました。この保釈の際、奥さんと会うことを禁じられました。

 

 次に日産で問題が起きました。6月上旬に発売された文芸春秋でケリーの独占インタビューを掲載。ここで日産社長の西川氏もSARを利用して報酬を不当に4700万円多く受け取っていたと発言。これがゴーンの不正を調査して出された報告書の中にも記載されてました。元々ゴーンに近かったのもあり、彼がトップということに疑問視してた人は多かったようです。

 

 一方、ゴーンは裁判を待ちますが、とんでもないことをしました。ゴーンは大晦日にこう声明を発します。

 

「私は今レバノンにいる」

 

流れとして、ゴーンが12月29日に住宅から一人で外出して、六本木で2人のアメリカ人国籍の男性と合流。その後、品川から新幹線を使って大阪に行き、タクシーでホテルに向かいます。ホテルで音響機器に使う大型の黒いケースに身を隠して関西空港に向かいます。それで、アメリカ人男性2人が出国検査を受けて、プライベートジェットで日本を脱出しました。関空を利用した理由は、関空だけ大きな箱をXスキャン検査できる機械がなかったからです。

 

 年が明けた2020年1月8日、ゴーンはベイルートで記者会見を実施。

 

 

「西川にCEOを譲ったが業績は悪化している」

 

「フランスの法律が改正されて、フランス政府のルノーの影響が拡大して、私を信用しなくなった」

 

「ここから私を追い出そうという日産、日本政府の人間が策略した」

 

「私は逮捕されて、検察からひどい尋問を受けて、Twitterで真実を公開しようとしたが再逮捕された」

 

「妻にも会えなくなった」

 

「逮捕された容疑もまだ確定・決定もしてない報酬だ」

 

「投資の損失の負担も取締役会が全員投票していて、全員が署名をしていて、日産は何の損失も発生していない」

 

「ジェファリとの取引も契約書に日産幹部のサインがある」

 

「CEOリザーブも多くの幹部がチェックするものだ」

 

「オマーンのお金は私のところに流れていない」

 

「ブルームバーグで読んだが日産がこの調査に2億ドルもかけたのは合理性がない」

 

「私が逮捕された後は日産の市場価値は大きく下がった、アライアンスも見せかけだけのものになった」

 

「私は日本が好きだ、日本の人たちが好きだ」

 

という感じで、自身の正当性を訴え、日本の人質司法への批判を行いました。ゴーンは裁判は5年かかって、有罪率の高さから公平に扱われないと感じたそうです。現在ゴーンの公判は停止中。逃亡の手助けをしたアメリカ人男性2名は実刑判決を受け刑が確定。この2人親子で父親が元グリーンベレーの民間セキュリティー専門家らしいですが、130万ドル、約1.4億円の報酬を受け取りました。

 


 ゴーンがいない状態でグレッグ・ケリーの裁判が行われましたが、2022年3月にほぼ無罪判決で2017年分だけ有罪とされ、執行猶予付きの有罪判決になりましたが、控訴してます。

 

最後に 実際に映画みたいな展開で、ドキュメンタリー映画にもなってて、現在NetflixやU‐NEXTで見られるので興味があれば観てみては。現在の日産はコロナなどの影響やゴーン後の改革もあり、一時的に大赤字を出しました。最近ようやく回復基調になってきたようです。日産は危機に陥った時に英雄が現れますが、官僚・秀才タイプが多い日産だと独裁者になってダメになっていくみたいです。もはや伝統芸みたいなもので、人間トップに立ち続けると腐っていきます。何事も定期的な世代交代が必要ということです。

 

 

 

 

 

にほんブログ村 株ブログへ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ