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天井を抜けると真っ暗な夜の空に星がいっぱいに輝き広がっていた。肉眼ではこれほどの星を見ることはない。言葉にしがたい開放感が湧き上がり、天空の星を胸いっぱいに吸い込んだ。それと同時に私は暗黒の宇宙にいた。
(続く)
《創造主かく語りき…星の王子さま260101NO4》
私の前を黒い影が横切っていった。漆黒の宇宙より深い影だったが、それがアインシュタインであることがすぐにわかった。そしてここがカオス宇宙プレアデスと無限の宇宙オリオンの境界、《枢だ》ということもわかった。
彼は今も宇宙の枢軸にいるのだ。彼は衝突する銀河の近くにいた。二つの銀河が接触し怪しげな光輝を放っていた。音がしないのが不思議だった。そこでは星間物質がぶつかり爆発炎上し悲鳴を上げているはずだが、静粛に満ちていた。
私の視界がはっきりとするまでしばらく時間がかかった。アインシュタインは宇宙空間に浮かぶ黒い怪物ではなく、彼はどこかの小さな星にいるようだった。さらに視界は開け、彼は星というよりむしろ小さな岩塊の上に乗っているようだった。
小惑星的な天体であるように思えた。表面は歪で尖った凹凸で覆われていたが、オウムアムアのような細く長い長方形でも、四角形でもピラミッド型でもなく、それなりに球体形状に纏まっていた。彼はここからこの衝突する銀河を観察しているようだった。
その光景はどことなく星の王子さまとでもいった様子なのだ。この岩塊がもしかしたらアインシュタインが語っていた枢の研究所なのだろうか。しかしこのときは尋ねることを思いつかなかった。
私もいつのまにかそこにいるようだった。その時そこは岩塊ではなく研究所へと変貌していた。このときはなんとも思わなかったが、いま思い返せば不思議なことだ。そこには平で艷やかな白い床があり、その上をアインシュタインは歩いていた。
壁は宇宙の暗黒がそのまま反映されているかのように漆黒だった。彼はまっさらの白衣を着て色の濃いネクタイをしており、すごく堂々としていた。その姿は超一級のエリート科学者そのもので、私は気圧されてしまった。
アインシュタインは死後世界ではしょぼくれた老人だった。彼は枢で贖罪の日々を過ごしている。そんなふうに私には感じられていたのだ。しかし今回はぜんぜん違った。今まで私は勘違いをしていたのだろうか。
そんなことを思わせるほど彼には気力や迫力、それに冴え渡る知力がみなぎっていた。なにかとんでもなく場違いなところにきてしまったような気がし、私はここにいることが恥ずかしくなってきた。
(続く)
マサト