Day 3: アメリカで社会現象のNetflix「タイガーキング」の狂気 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

 ようやく、世界中で大ヒットを記録している

Netflixのドキュメンタリー・シリーズ「タイガーキング」を鑑賞。

 

 

本国アメリカでは「ストレンジャー・シングス」級の社会現象となり、

公開初日からの10日間の視聴者数は3400万人を超えたという。

あの大統領トランプもこの作品に言及する始末である。

 

オクラホマで私設動物園を営み、数多くの虎など動物を飼育する

ジョー・エギゾチック(ほちろん本名ではない)が、主人公。

 

この人が大変エキセントリックで強烈なキャラクターで、

虎を愛しつつ、虎のブリーダーもしつつ、銃を常に携帯し、

カントリーシンガーとして自分のミュージックビデオを集めた

DVDも販売し、ゲイで二人の夫がいて、

ブロンドの髪型は今時マレット(!)。

カリスマ性あふれるエンターテイナーでもあるが、

行動も言動も、過剰で過激でクレイジーな問題の多い人物。

そして、犯罪者として服役中である。

 

虎をメインにした巨大な動物園での日々をメインに、

ジョー・エギゾチックのこれまでの壮絶で

波乱万丈な人生を振り返りつつ、なぜ彼が逮捕されるに至ったか?

というダークなオチまでストーリーを巧みに引っ張っていく

監督の手腕も冴え渡るが、

次から次へと出てくる登場人物たちがこれまた、

ジョー・エキゾチックに負けず劣らず狂いも狂った面々で、強烈。

 

ジョーを敵対視する動物愛護活動家の超裕福なキャロル・バスキンは

相当に怪しい人物で、富豪の元夫は謎の失踪を遂げている。

ジョーは彼女がこの元夫を殺した犯人だと信じて疑わない。

 

ジョーのメンターで、フロリダで広大でスペシャルな

動物園を運営する、猛獣使いのドクは妻が3人も4人もいる、

カルト・リーダーのような存在。

 

他にも、ドラッグ王や詐欺師のような富豪、

ジョーの配偶者たち、ジョーのために動物園で働く従業員、

弁護士さえも、みんな見ていて胃もたれするほどに

規格外の強烈な個性を放ち、大変エンターテインメントである。

おかしくもおぞましく、滑稽で、異様で、ホラーである。

 

最後の二つのエピソードは失速気味で尻つぼみだったが、

それでも十分にエクストリームでハイクオリティな、

驚愕の必見ドキュメンタリーだ。

 

 

こちらは、フロリダのスーパーマーケットが作ったという

ジョーとキャロルのケーキ。超似てる。