「GLOW」シーズン3 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

Netflixで唯一、これは傑作と断言できるのが、

「GLOW」と「オザークへようこそ」なのですが、

ようやく「GLOW」シーズン3を観終わりました。

 

 

ラスヴェガスを舞台にした今シリーズ。

ロサンゼルスを離れ、享楽都市ラスヴェガスで

どんな華々しいエンターテインメントとドラマが

繰り広げられるのだろうか?

 

と思いきや、今回はキモであるはずの

女子レスリングのシーンが皆無。

一部チャリティイベントのような形で出てきますが、

試合ではありません。

 

人間ドラマばかりでなかなか乗れないけど、どうなってるのこれ?

と思っていたら、結局最後までドラマで押し通すという。

 

あえて主題の女子プロレス以外の側面で勝負、という大バクチは

大胆でチャレンジングともいえますが、

それが成功したのかと言えば、甚だ疑問。

 

そもそも、アリソン・ブリー演じる主人公ルースの影が薄く、

代わりに誰が目立っているかというと、誰も目立っていないという。

 

強いて挙げればもう一人の主人公デビーだが、幼い子供に会えない

悲しみや葛藤、ビジネスウーマンとしての苦悩を見せるだけで、

彼女に魅了されたり共感するかというと、そんなことはなく。

 

脇役たちが前面に出る場面は確かに多くなっているが、

なぜか唐突に重要な役に昇格している狼少女以外、

どれも印象には残らない。

 

女子プロレスラーであり、はみ出しものである誰もが

トラブルや問題を抱えていて、そんな中いかに友情や恋愛、

夫婦愛を維持するか、いかに自分と正面から正直に向き合うか、

というのがこのシリーズを通して描きたかった

大きなテーマではあると思うが、どれもエピソードが細くて

問題を提起するだけして大した解決になっていないという。

 

約30分という短い尺の中で、あれこれドラマを交錯しても、

軸となるキャラクター不在の群像劇のような構成は無理があった。

 

笑って泣ける心打つエンターテインメイトであるはずの

「GLOW」が、ゴージャスな人口都市ラスヴェガスという街の

特徴を大して生かすこともなく、次なる大きなステップや成功に

向かうわけではなく。

これは、どっちかというと負け試合に等しい消化試合。

迷走してますね。

かなり不完全燃焼でした。

 

LAに戻るシーズン4で、このシリーズはフィナーレということだが、

大した布石にもなっていない、このシーズン3をどう乗り越えていくのか?

 

良いクオリティを保ち続けるのは、やはりなかなか難しい。

むむむ。