今こそ真剣に「日米安保体制を問う」!

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ワーカーズの直のブログ (ameblo.jp)より転載

 

青年法律家協会創立70周年記念集会、「日米安保体制を問う」私の発言②敵基地攻撃は敵の反撃を考慮したら危険、核の傘はない、米国は軍事的な防衛義務は負っていない。NATO条約と異なる。戦争反対だけではなく各々の外交的対立に外交的解決策を提示する必要あり。多くの場合基礎が存在。孫崎享 <blomaga.ch1332@nicovideo.jp>

2024/4/6:07 https://ch.nicovideo.jp/article/ar2193244

 

"4""月5日青年法律家協会創立70周年記念集会、"「日米安保体制を問う」②:「安保三文書と日米安保体制は、対中国、対北朝鮮、あるいは対ロシアといった関係で、有用たりうるのか。「核の傘」論でわが国は本当に安全か (発言メモ)

 

"1:安保三文書の動き

 

"政府「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の文書決定。前2文書で、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」保有を明記。「反撃能力」はこれまで「敵基地攻撃能力」と呼称。

 

 多くの人はこれで持って日本の安全が高まったと思っていられると思うが、全く逆。

 

 戦争史で、「敵基地攻撃」が戦術的に最も成功したものに、真珠湾攻撃。戦艦、爆撃機等多大な損傷を与え、米側戦死者は2,334人。「敵基地攻撃」は成功→。当時の国力の差は1対10位の格差→結局日本は軍人212万人、民間人は50万人から100万人の死者を出し降伏。

 

「敵基地攻撃」や「反撃」が成功しても終わりではない。そこから新たな戦いが起こる。

 

 中国は今や2000以上のミサイルで日本攻撃できる。北朝鮮も300以上のミサイルで日本を攻撃できる。各々は核兵器を保有している。

 

 日本が中国や北朝鮮に「敵基地攻撃」や「反撃」したら中国や北朝鮮の軍備を一掃できるとでも思っているのであろうか。彼らは怯えて「ごめんなさい」とでもいうと思っているのか。

 

 「殴り返したい」、そんな感情で日本の国は守れない。

 

 敵基地攻撃論を支持する人がいたら次を聞いたらいい。

 

①中国、北朝鮮は日本医届くことの出来るミサイルを何発実戦配備していますか

②この内「敵基地攻撃」で何発を破壊できると想定していますか

③攻撃を受けた中国・北朝鮮はどう反応すると思いますか。」

 

中国は今や2000以上のミサイル、北朝鮮も300以上のミサイルで日本を攻撃できる。

 

アメリカには利益:自分の国が攻撃されずに中国・北朝鮮を攻撃

 

"2:「核の傘」はない

 

"・物理的に傘はない。理念の問題

 

段階①中国が自分達の主張を聞かないなら「核兵器を撃つ」と日本に言う

②日本はアメリカに助けを求める

③米国は中国に、「若し日本を核で攻撃したら中国の例えば杭州や西安を核兵器で撃つ」という。

  ④中国は参りましたと脅しを撤回する。 

 

 これが核の傘である。だがこうはならない。中国は「杭州や西安を核兵器で撃つなら、例えばシアトルやユタ州を撃つ」という。この時どうぞと言える米国の政治家はいない。

 

"3:米国の防衛義務

 

"第五条 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動する」

 

 米国憲法では交戦権は議会にある。「議会がOKと言ったら」である。

 

 NATO条約を見てみよう。「一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。したがつて、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合憲章第五十一条の規定によつて認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。

 

"4:外交的努力

 

" 武力衝突の前に外交的対立がある。多くの場合回避する手段がある。そして枠組みが瀬尾父している場合が多い。

台湾問題;(1)、第一次米中共同声明(上海コミュニケ)。

 

「米国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は、この立場に異論をとなえない。」。

 

(2)『周恩来・キッシンジャー機密会談録』周恩来:台湾は中国の一省。中国の内政問題であると考えます。キッシンジャー:我々は「二つの中国」や一つの中国、一つの台湾といった解決を擁護しない。

 

(3)共同コミュニケ:1978年12月15日、米は、中国が唯一の合法政府と承認。この範囲内で、合衆国の人民は、台湾の人民と文化、商業その他の非公式な関係を維持する。日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(1972年9月29日)

 

「中国は、台湾が国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」

 

2022年台湾の国立政治大学選挙研究中心が実施した

 

世論調査は次の通りである。

 「即時独立 4.6&

即時統一 1.2%

現状維持、後決定 28.7%

現状維持、永遠に 28.5%

現状維持、後統一へ 6.0%

現状維持、後独立へ 4.9%

無回答 5.6%」

70%弱が「現状維持」

 

 尖閣問題

田中―周恩来会談で暗黙の棚上げ合意(各々は自国領と主張、管轄権は日本)

日中漁業協定」尖閣周辺では中国船が入ったら操業を止めさせ、域外に出す(拘束しない)

 

 北朝鮮キッシンジャーは『核兵器と外交政策』

・ 核保有国間の戦争は中小国家であっても、核兵器の使用につながる

・ 核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろう、 一方でその生存が直接脅かされていると信ずるとき以外は、戦争の危険を冒す国も   ないとみられる

・ 無条件降伏を求めないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である。

ロシア・北方領土

 

 ポツダム宣言、降伏文書、サンフランシスコ講和条約、国連憲章を基礎にすれば、国後、択捉に対する日本の法的根拠はなく、ロシアは占拠を行う外交的、法的根拠を持つ。

 

"5:総括 我々は何をなすべきか

 

" 今、米国の戦略で日本を戦わせる流れの特徴は、偽りの情報により動かされていることである。これには政治家、官僚、学者、メディアが勘如氏、頃干支の戦いは容易ではない。

 

 如何に各人が自ら考え選択するか、それが問われている。

 

 今一つはリベラル勢力への課題である。

 

 「憲法十条を守れ」「武力を使うな」だけでは国民の支持を得られない。武力紛争の前に外交的対立がある。これらは多くの場合すでに武力回避の合意がある。先ずその尊重を行う。必要ならこれを基礎とし、新たな合意を行えばよい。その提示がなければ国民は武力行使擁護の方に回る。合意には相手の不調の理解、それとの妥協点の模索が不可欠である。敵対勢力との対話が不可欠である。