裏金の“本命”官房機密費はなぜ追及されないのか 

- アリの一言  (goo.ne.jp)

 

2024年03月08日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義

ワーカーズの直のブログ (ameblo.jp)より転載

 

   

 

 自民党のパーティー券還流による裏金問題が国内政治の最重要課題であるかのように報道されていますが、裏金の“本命”は内閣官房機密費(報償費)です。ところが野党もメディアもその追及には及び腰です。なぜでしょうか。

 

 松野博一氏(安倍派、写真左)が官房長官を辞める前、2週間で巨額の官房機密費が使われたことが明らかになりました。林芳正官房長官は「私に引き継がれるまでの間に4660万円が使用されたのは事実だ」と認めましたが、「報償費は国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない性格の経費」だとして使途を明らかにしませんでした(2月13日の衆院予算委員会=同14日付朝日新聞デジタル)

 

 官房機密費が裏金の“本命”だという第1の理由は、それが政府(国家権力)の公然とした裏金であり、その使途を明らかにしないことが制度上認められているとされているからです。

 

 官房機密費は毎月1億円が官房長官に支出されているとされています。その額の大きさも派閥の裏金の比ではありません。

 

 さらに重大な第2の理由は、それが野党やメディア関係者にも還流していることです。

 

 かつて小渕恵三内閣で官房長官を務めた(1998~99年)故・野中広務氏(写真右)は、2010年4月ごろから複数のメディアで官房機密費の使途を明かしました。その証言を総合するとこうです。

 

歴代の内閣総理大臣経験者に「顧問料」のような形で盆暮れに100万円ずつ、その時々の内閣総理大臣に毎月1000万円、国会対策(国会工作)費として衆院国会対策委員長、参院幹事長に毎月500万円ずつ、政治評論家や外遊する国会議員にも渡していたということです」(上脇博之著『内閣官房長官の裏金』日本機関紙出版センター2018年)

 

 京都新聞1面常設コラムもこう書いています。

 

「「立派な評論をしている人にも分暮れの届けをした」。故野中広務氏が取材にこんな話をした▶評論家に転じた元政治家は自宅新築の祝儀を要求した。届け先には自民党の国対幹部や野党の大物も含まれていたという」(2月15日付京都新聞「凡語」)

 

 野中氏だけではありません。麻生太郎内閣で官房長官を務めた(2008~09年)河村建夫氏は朝日新聞の取材に、具体的な支出先や金額は明らかにしなかったものの、「野党対策とかの必要経費として(自民党の)国会対策委員会に渡した」とし、機密費の役割を「官邸の交際費」と表現、「国益にからむかどうかを最優先に判断した」と語っています(2023年12月5日付朝日新聞デジタル)。

 

 官房機密費は、時の政権が「国益」(政権維持)のために、野党やメディア常連の政治評論家らを懐柔する、あるいは政府提出法案を通す国会対策として使う裏金なのです。だから野党もメディアもその追及に及び腰、あるいは目をつむっている。

 

 翼賛国会・政治をつくる国家権力公認の裏金である官房機密費こそ、真っ先に廃止しなければなりません