F1 マイアミGPが終了しました。
結果はフェルスタッペンが9番グリッドから優勝。
勝因の1つとして、前夜の雨でラバーグリップが洗い流され、コースが”グリーン”な状態になった事でミディアムよりハードにあった路面になった事が挙げられています。
路面のグリップが低いのであれば、より柔らかいコンパウンドの方が合いそうなものですが、今のF1のタイヤはそんな単純なものでは無さそうです。
今のF1のタイヤは以下のような特徴があります。
・最大のグリップを発揮する温度領域が狭い
(恐らくコンパウンドが柔らかいほど領域が狭くなる)
・それ以下の温度だとグリップしない
・それ以上の温度だとオーバーヒートにより、グリップせず、更にデグラデーションが急激に進行する
・あるところで性能の崖が来る
一部についてはタイヤの入札仕様で明確に数値目標が定められているようで、ミシュランなどは「タイヤメーカーとして目指すべき方向の真逆の方針の為、F1に興味は無い」と言っています。
という訳で、
・予選ではタイムアタック前のウォームアップランで作動領域に入れなくてはいけない為、熱の入り易いセッティングが望ましい。
・決勝ではオーバーヒート(デグラデーション)を防ぐため、急激には熱が入らないセッティングが望ましい。
今のF1では、予選は速いけど決勝はダメ、予選はそれほどでも無いけどレースペースはいい、それかどちらも中途半端といった感じになっています。
例えばフェラーリは予選重視のセッティングだったと言われていて、予選は速いものの決勝で沈む傾向にありました。
唯一の例外はレッドブルのマシンでどちらかというと決勝重視のセッティングですが予選でもフェラーリと互角以上に戦えるマシンに仕上がっています。
しかし、昔のF1は予選が速かったマシンは決勝も速かったように思いますし、タイヤ交換義務が無かった時期もありますから、デグラデーションも緩やかだったように思います。
(そもそもデグラデーションなどと言う言葉自体使われていませんでしたし)
ですので、タイヤ戦略で勝負の明暗が別れる事は有っても、タイヤへの適応度合いが勝敗を左右する事は少なかったように思います。
ブリジストンとミシュランのタイヤ戦争時代は装着しているタイヤの特性に合わせたマシン開発が行われていましたし、ブリジストン独占供給になってからは旧ブリジストンユーザーが有利という側面はありましたが。
今、オーバーヒートに強くデグラデーションも緩やかなタイヤになったとしたら、決勝で沈みがちなフェラーリが復権し、勢力図も一変するように思います。
そして最近、今季のマシンが各チームからのデータを元に推測したピレリの想定を超える速さの為、シルバーストーンから新構造のタイヤが導入される事が発表されました。
この新構造のタイヤへの適応度によっては勢力図が一変するかも知れませんね。