2023シーズン開幕に向けて、あとは間も無く発表のアルピーヌを残すのみと各チームの2023年マシンが出揃って来ました。
多くのチームは実戦用では無く発表会用のショーカーですが、昨年に比べてデザイン、特にサイドポッド周辺のデザインは収斂して来たように思います。
全体としては、レッドブルRB18のようにアンダーカットを大きく取ったデザインで、サイドポッド上部は車体に沿って抉り、外側に峰を作る形状がトレンドのようです。
サイドポッド上部後端はダウンウォッシュを作り出そうとするレッドブル派とバスタブのようにしてリアウイングに空気を導こうとするフェラーリ派に分かれているようです。
そんな中、メルセデス W14はゼロポッドを継続して来ました。
W13はインテーク部分のみ膨らんでいた印象ですが、今年は車体後部まで多少ボリュームが有り、ゼロポッドというよりウルトラスリムポッドといった感じです。
昨年のサイドポッドの造形は何か歪でプロの仕事とは思えないものでしたが、今年のマシンは綺麗な造形でかなり速そうに見えます。
トト・ウォルフは、ゼロポッドがハプォーマンスが低かった原因では無いと言っていますが、比較的早期にサイドポッドのアップデートの投入を示唆しているようです。
このアップデートをゼロポッドの放棄と考えるメディアもあるようですが、ゼロポッドが遅さの原因では無いから継続したのでは無く、この方が速いから継続したはずです。
ゼロポッドの継続は、一昨年の開発開始から昨シーズン、そしてこのオフと、ゼロポットより速くなるデザインを発見出来ていない事を意味していると思います。
約2年もの間、ゼロポッド以上のものを見つけられていないのに、突然見つかり、そして時間を掛けてそれを熟成させていく事を選ぶとは到底思えません。
変える予定があるならコストキャップも有り、最初から変えて来るでしょうし、いきなり競争力を発揮出来るなら、昨年変えていても不思議ではありません。
大きなサイドポッドを小さくするのは容易ではないですが、小さなサイドポッドを大きくするのは比較的容易いのですから。
と考えると、ルーバーの配置や微小なアップデートに留まるように思います。
あと、気になったのはフェラーリ SF-23のフロントです。
昨年、アストンマーティンやアルファタウリが試行して諦めたノーズの下から空気を入れるタイプに変えて来ました。
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この方式は、フロアに導ける空気は多くなる(全体的なダウンフォースは増える)のかも知れませんが、フロント部分のダウンフォースは減り、アンダーステア傾向が強まるのだと思います。
ですが、今年はピレリがアンダーステア解消の為にフロントタイヤを変更したと言われていますから、この方式でも昨年と同等のステア特性を維持しつつ、全体のダウンフォースを増やせるとの判断なのかも知れません。
この方式を捨てたアストンマーティン、アルファタウリに対して、採用したフェラーリ、果たしてどうなるのか楽しみです。
いずれにしても、各チームがレッドブルRB18やフェラーリF1-75に追随したデザインになっていますから競争力の差は昨年より減っているのは間違い無いでしょう。
レッドブルあたりが実戦用マシンで、あっ!と驚くような秘密兵器を投入してくれると面白いのですが。