タイトルに「誕生(予定)!」と書きました。
それは実戦投入までまだ3年有り、3年のうちに破談になる可能性もゼロでは無いと思うからです。
3年と言えば、マクラーレン・ホンダが提携解消に至った期間です。
繰り返しになりますが、レッドブルが今回の提携に期待するところは、
1.大金を投じてRBPTを設立した以上、ハイヤリングした人材を
有効活用したい
2.電動化部分の人材は手薄な為、そこを担ってくれるところと
組みたい
3.出来ればコストはリカバリーしたい
4.口は出されたくない
だと思っています。
最低でも、ICE単体は平均的な性能は発揮出来るのではないでしょうか。
ですが、コスワース然り、イルモア然り、ジャッド然り、欧州の有名なエンジンコンストラクターの立ち上げ期にはカリスマ的なエンジニアが居ました。
欧州に比べて遥かに組織で仕事をしているであろうホンダでも浅木さん登場の以前以後ではかなり違うように思いますので、トップクラスになれるかどうかは、優秀なエンジニア達を導く強力なリーダーが居るかどうかに掛かっているように思います。
クリスチャン・ホーナーもICEについてはある程度自信があるようですが、電動化部分についての不安は隠そうとしていませんから、レッドブル・フォード成功のカギは2.にあると言って良いでしょう。
ではフォードはそれを提供出来るのでしょうか?
フォードのスタンスはこんな感じのようです。
a.金は出すが、口は出さない
b.電動化部分の技術は出す(出せるなら)
c.電動化周りの知見を得たい
d.空力周りの知見も得たい
2026年のPUは言ってみればシリーズパラレルのストロング・ハイブリッドです。
欧米の自動車メーカーは日本メーカー(特にトヨタ)のハイブリッドと戦う事を回避する為、政治的にもハイブリッドをスキップしてBEVに向かいましたから、バッテリー周りは別として、ICEとモーターの協調制御などの知見は乏しいような気がしています。
BMWはF1に復帰しない理由について、2026年からのPUが、自分達が3年前に通過している技術に過ぎないから、と言い放っています。
対して、フォードは2026年のレギュレーションがあったから復帰したと言っています。
この事は、BMWにとって3年前の技術でもフォードにとっては未知の領域という事を意味しているのでは無いでしょうか。
色んなメディアの記事を見ていても、電動化周辺の知見の提供より、F1に関与する事で得られる知見(c.)に期待が高いように感じます。
これは、フォードもカーボンニュートラル実現には、BEVだけでなく、ICEも重要と考えている証拠だとも思いますが。
ICEは不要になると考えているならフォーミュラEで良い訳ですから。
となると、レッドブルが望む2.をc.が満たせそうもなく、PUの競争力について悲観的にならざるを得なかった場合、2026年以前に破談になる可能性もあると思う訳です。
特に今年の成績を受けてフランツ・トストの更迭を言い出すようなショートテンパーのヘルムート・マルコならすぐ婚約破棄を言い出しそうです。
では、破談になったらどうするのか。
メルセデスもフェラーリもレッドブルには供給してくれず、ルノーとは組みたくない。
でも、幸いな事に供給先が決まっていないPUマニュファクチュラーがもう1社あります。
その時は頭を下げてHRCに頼むんでしょうね。
これは妄想ですが、HRCはレッドブルが泣きついて来る可能性も考えてPUマニュファクチュラーとして登録したのか、レッドブルが保険として残ってくれるよう頼んだのか・・・
それとも渡辺社長が言うように純粋に研究目的なのか、どちらなのでしょう?
とは言え、仮に泣きつくとしても、そのタイムリミットは遅くとも2024年中だと思いますが。
そんな事にならない事を祈りたいですけどね。