2月3日にレッドブルRB19のローンチイベントがニューヨークで開催され、そこで予てより噂の有ったレッドブルとフォードの提携が発表されました。
期間は2026年からまずは5年との事です。
事の発端は2020年にホンダがカーボンニュートラル実現に全集中(死語)するという理由で2021年限りでF1から撤退すると発表した事でした。
2022年からPUを失う事になるレッドブルですが、メルセデスやフェラーリは敵に塩は贈らないと明言し、するとルノー一択となる訳ですが、喧嘩別れしたルノーに頭を下げてまでパフォーマンスの低いPUを使いたくないと大金を投じてRBPTを設立し、自社開発を目指す事になります。
この時点では、カーボンニュートラルはほぼ電動化を意味していて、ホンダもICEの知見は不要になると判断したのか、知的所有権(以下、IP、Intellectual Property)をレッドブルに譲渡するという話まで出ていました。
※こんな話になるのは、N BOXの開発者であった浅木さんがいい
例ですが、F1の開発をホンダでは一般の社員が行っている事に
あります。
メルセデスAMG HPPはイルモアを買収して出来た会社ですか
ら、技術者達は市販車のエンジンを開発していた訳ではありま
せん。ホンダのように配置転換を言い出せば、すぐに辞めるよ
うに技術者ばかりです。フェラーリやルノーも似たようなもの
でしょう。
そして迎えた2021年、フェルスタッペンがドライバーズタイトルを獲得しました。
2022年に向けて、状況が変化して来て、
・ホンダはIPをレッドブルに譲渡しない
・代わりに?2022年はホンダがHRC名でPUを供給する
という事になりました。
恐らく、カーボンニュートラル燃料を使用したICEなどカーボンニュートラルが電動化だけでは無い事、IPを手放すと他の内燃機関のビジネスにも影響する事に技術者上がりの社長になって気が付いたのだと思います。
という訳で、2022年は事実上ホンダPUで戦い、ダブルタイトルを獲得しました。
PUは2022年で開発が凍結されていますから、今更RBPTが新PUを開発する意味は無く、25年まではホンダがPUを供給する事になりました。
で、2026年以降の話になる訳ですが、
レッドブルとしては
・大金を投じてRBPTを設立した以上、ハイヤリングした人材を
有効活用したい
・電動化部分の人材は手薄な為、そこを担ってくれるところと
組みたい
・出来ればコストはリカバリーしたい
・口は出されたくない
ポルシェは、金は出す、口はもっと出す、技術は殆ど出さない、という事で切られました。
ホンダは、
・カーボンニュートラル燃料を使用したICEなどの将来性に気付
いたので、ICEも継続して携わりたい
・口は出さない、金もあまり出さない
要するにホンダの希望は殆ど2022年(有償)と同じ、良くてもしくは無償供給といった程度な訳です。
レッドブルがホンダと手を組む事を選択すると、何のためにRBPTを作ったのか分からなくなりますし、レッドブル専用PUとは言え、ひょっとすると有償供給な訳で、レッドブルとしては「ふざけるな!」という感じになるのは想像に難くありません。
対して、フォードは、
・金は出すが、口は出さない
・電動化部分の技術も出す(出せるなら)
・電動化周りの知見を得たい
・空力周りの知見も得たい
なのですから、レッドブルがどちらを選ぶか考えるまでも無いでしょう。
と考えると、フォードに美味しいところを全部持っていかれたと書いている記事もありましたが、その未来はRBPTを作らせた時点で既に決まっていた訳で、何を今更という感じがします。
続く