日本GPを前にして、突如沸き上がったコストキャップ違反の噂。
特に騒いでいたのはトト・ウォルフなので、このタイミングで出て来たのは、フェルスタッペンのタイトル決定とメルセデスの遅さから興味を逸らす事にあったと勝手に思っています。
あまりに騒ぐのでレッドブルのホーナーは法的措置もちらつかせています。
当初はレッドブルが大幅超過、アストンマーティンが軽微な超過というもので、その後レッドブルも軽微な超過に噂も修正され、10月10日明らかになったのは、レッドブルが軽微な超過と手続き上のミス、アストンマーティンは手続き上のミスというものでした。
対して、レッドブルは「提出した書類は上限内のもの」と違反を否定しています。
その後、
1. 元F1ドライバー 5%は金額として軽微ではない
メルセデスとフェラーリ それだけあれば、〇〇秒速く出来る
2. トト・ウォルフ 罰則が罰金"だけ"で済むならメルセデスも
違反する
3. ザク・ブラウン 罰金分予算を減額すべき、5%を2.5%に
と書面でFIA会長に訴え
などと騒ぎになっています。
1.は、閾値が5%と明らかになったのは遥か前で、5%が金額として幾らで、それで何が出来るかも以前から分かっていた筈です。
その時何も言わず、今言い出すのは、今まで何も考えてなかった事を自白しているようなもので、今頃何言ってんの?という感じがします。
2.それなりの組織の代表がルール破りを予告するというコンプライアンス的にリーダーの資質を疑うような発言は置いておいて、「罰則が罰金"だけ"」は本当なのでしょうか。
罰則は再犯防止の意味もありますから、違反は割に合わないと思わせないといけません。
罰金は予算から支出させ、次年度罰金分予算が減るようにするのが普通のような気がしますが、そうなっていないのか、どうするか決まっていないかどちらかのようです。
3.「罰則が罰金"だけ"」の可能性があるのはどうやら本当のようです。どうしてこんな緩々なルールになっているのでしょう。
さて、この予算上限のルールは、上限額が決定するまで、小規模チームは多過ぎる、大規模チームは少な過ぎると言うなど検討過程で公式か非公式かはさて置き、チームに情報が流れていたのは明らかです。
結果、妥協案として金額が決まった訳ですが、軽微と大幅超過の境である5%や罰金を予算に算入するかしないかといった事は検討時に各チームに知らされなかったのでしょうか?
個人的には各チームが知らなかった事は有り得ないと思っています。
同意の要不要は別として、この手の事を、FIAが各チームに諮らず一方的に独断で決める事はまず無いですから、当然、素案は各チームに諮られ、各チームも意見を言い、妥協の産物として閾値etcが決まったのだと思っています。
もっと言えば、取締る側FIAは再犯防止の他に厳しくしたいのに対し、取締られるチーム側は緩くしたい訳ですから、各チームの意向により罰金を予算に算入しない事になったのでは無いでしょうか。
当然5%という数字にも、各チームがOKを出していると思います。
ですから、この騒動は、誰かが違反した途端、自分達がOKしたルールに難癖を付けている自作自演の茶番劇だと思って眺めています。
で、実際はどうなんでしょうね?
・違反が明らかになる前に法的措置をチラつかせていた事
・軽微な超過の他に手続き上のミスがある事
・書類は予算上限内という発言
ホーナーは予算を守ったと信じているが、手続き上のミスで予算に算入すべき科目がされていないとか免除に必要なエビデンスが無い等で予算を超過したという事なのかも知れません。
どれだけ使えるのかはCFOマターでしょうから、ミスで上限を超えて使わせてしまったCFOが隠蔽工作を行った、とか妄想し始めれば切りがありませんね。
ですが、ザク・ブラウンは、昨年リハーサルをしているのだから、解釈の齟齬も起き得ない、と言っており真相は分かりません。
勿論、ペナルティが緩々なのを知っていて、超過した可能性もあります。
もし、面目丸潰れ覚悟で法的措置と言い出した確信犯だとすれば、クリスチャン・ホーナーには脱帽するしかありません。
最終的な落としどころとしては、
・超過額の5倍なり10倍なりの罰金。
・罰金は次年度の予算から支出されるものとする。
→使える予算が超過額の5倍とか10倍減る
・2021年のコンストラクターズポイント減算
→分配金が減る事になりますが、レッドブルは予算上限を大幅
に上回る収入がありそうですから、影響は小さい気もします。
といったところでしょうか。
今回はドライバータイトルには触れないような気がします。
軽微な超過でそこまで重くすると、大幅超過の場合、極刑(追放)とかが必要になりますしね。
果してこの茶番劇、どういう決着を見るのでしょうか。