レッドブルの地元オーストリアでのGPの週にも、発表されると言われていたレッドブルとポルシェの提携ですが、最新の情報では限りなく破談に近い模様です。
理由として挙げられているのは、ポルシェがレッドブルの株式を50%取得し、レッドブルの独立性が損なわれるというレッドブルの懸念のようです。
以前からホーナーは「レッドブルがイニシアチブを握り続ける事が重要」と牽制していましたが、50%の株を取得する計画であることがリークされた事で完全に潮目が変わったように感じます。
50%の株を持つという事は決算上も子会社という事ですが、公になっていなければ、数年はレッドブル主導でもいいか、だったのが、公になった以上は主導権はポルシェが持つと言い始めたのかも知れません。
元々、ポルシェは競争力のあるPUを開発する自信が無いのか、PUを開発するつもりは無く、レッドブルパワートレインズ（以下、RBPT）が開発したPUにポルシェのバッジを付けるという事を考えているようですから、レッドブルとしては破談になっても技術的なインパクトはありません。
ポルシェとしても、開発に着手している訳ではありませんから、コスト的なデメリットはありません。
そもそも、このスキーム、株式の半分を取得して、他人が作ったPUに自社ブランドを付ける事にどれだけの意味があるのか個人的にはかなり疑問です。
PUを開発するつもりが無い以上、プランBは無いはずなのですが、かつてポルシェのWECチームを率いていたアンドレアス・ザイドルとの関係からマクラーレン・ポルシェという話も出ています。
これを可能する方法として考えられるのは、アウディ開発のPUを「ポルシェ」として載せるくらいでしょうか？
アウディの買収オファーを蹴ったマクラーレンに、アウディが幾ら別ブランドだとしてもPUをすんなり渡すか、またF1のPUサプライヤーとして未知数なアウディPUをマクラーレンが受け入れるか微妙な気はします。
既に、ワークスPUじゃなきゃ嫌！という人もマクラーレン内にいないでしょうし。
そのアウディもPUサプライヤーとしての参戦を発表しました。
ザウバーを買収する計画のようですが、アウディもこれが破談になった時、どうするのかよく分かりません。
WECでの実績が豊富といっても、F1で一度も勝てなかったトヨタ（エンジン）がWECでは1,2年で勝ったように、F1とWECは全くの別物です。
そして、PUになり、その複雑さはICE単体だった頃の比では無いでしょう。
そんな海の物とも山の物とも分からないPUを使うくらいなら、ある程度性能が分かっている既存マニュファクチュラーのPUを使い続けるように思います。
ですから、アウディPU搭載マシンを走らせるにはチームを買収し、そのチームのマシンに載せるしか無い訳です。
という訳で、アウディにも買収できなかった時のプランBは事実上ありません。
ひょっとすると、マクラーレンにアウディがPUを供給し、ポルシェとして載せる、がポルシェとアウディにとって唯一のプランBなのかも知れません。
うまく行っても、片や開発、片や出資と投資2に対してリターンは1、失敗した時のダメージは2倍、そんな話をVWの取締役会がOKするとは思えませんが。
話は少し変わりますが、トト・ウォルフはメルセデスF1チームの30%の株を持っています。
メルセデスF1とレッドブルの株価や発行株式にもよりますが、ポルシェが会社として50%なのに個人で30%です。
トトの本業は金儲けでチーム代表はその手段という感じですからで、同じようにはいかないでしょうが、マルコとホーナーとニュウウェイさんでレッドブル・レーシングをMBOしてしまえば良いのにという気がします。