フェラーリの2020年マシンの開発が期待通りに行っていないようです。
2019年マシンではダウンフォースよりもドラッグ(を少なくする事を)重視のコンセプトでしたが、2020年マシンはダウンフォース重視にコンセプトを変更したのだそうです。
2020年はレギュレーションが変わらないので、2019年マシンが余程の失敗作で無い限り、キープコンセプトで開発を進めるのが一般的だと思います。
では、フェラーリの2019年型SF90は失敗作だったのでしょうか?
そんな事は無いと思うのですが。
前半戦もバーレーンGPでルクレールの初優勝を阻んだのはスピードの無さでは無く、信頼性の問題でしたし、夏季休暇後、パワーサーキットであるモンツァのみならず、ダウンフォースが重要なシンガポールでもポールと優勝を飾っています。
3勝のレッドブルが2019年マシンの発展型、基本的にはダウンフォース重視のマシンとなると思いますが、同じく3勝、トラブルや同士討ちさえ無ければレッドブルより遥かに勝つチャンスが多かったと思われるフェラーリがコンセプトを変える理由が分かりにくいですね。
2020年はタイヤも2019年と同じコンパウンドですから、ドラッグ重視では熱が入りにくく、これ以上の成績は望めない(メルセデスに勝てない)という判断なのでしょうか?
それとも夏季休暇明け数レースの圧倒的な成績はやはりPUのパワーによるところが大きく、それが何らかの理由(笑)で期待できなくなったため、コンセプトを変えざるを得ないという判断なのでしょうか?
いずれにしても、そのギャンブルは今のところ完全に裏目に出そうな気配です。
「エンジニア達は途方に暮れ頭を抱えている」
こんな話が漏れ伝わって来るというのは、かなり深刻な状況のように思います。
そう言えば、コンストラクターズランキングで4位と躍進したマクラーレンもコンセプトを変える模様です。
マクラーレン、来季用マシンのコンセプト変更は”ギャンブル”にあらず
F1 | マクラーレン、2020年マシン『MCL35』はコーナーリング性能に注力
コーナーリング性能に注力という事は、フェラーリと同じくダウンフォース重視に舵を切ったという事ですね。
2020年のMCL35は元トトロッソのジェームス・キーによるマシンになります。
少ない予算で期待以上のマシンを作る事で定評のあるジェームス・キーですが、勝てるマシンを作れるか?はまた別の問題です。
例えば、誰とは言いませんが、サッカーで万年降格争いをしていたようなチームを毎年降格の心配の無い上位に食い込むチームに仕立てあげるけど、何年経っても優勝争いに加わるところまでは行かせられない監督とか。
果たしてジェームス・キーはある程度予算があれば勝てるマシンを作れる才能なのか、真価が問われる年になりそうです。