高校野球の球数制限 | masashik0305のブログ

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とは言え、自作PC関係の話やF1関係の話、ドラマの話なんかがメインになると思いますが。

夏の甲子園が終わり、金農ロスの穴埋めなのか、投球数制限が話題になっています。

 

金足農 吉田投手が甲子園で投じた881球が多過ぎる、という事が発端のようです。

 

現場は反対意見の方が多いようです。

 

金足農の秋本コーチは「球数制限には反対です。秋田は野球人口だけではなく、子供そのものの数も減ってきていて、小学校でも連合チームが増えています。限られた戦力の中で勝負しなければならない状況で、公立校で3人も4人も継投できる投手を確保するのは現実的に難しい。導入されれば、今大会のウチのような躍進は極めて難しい。お客さんのためにやっているわけではないが、ドラマも何も生まれなくなってしまうのではないでしょうか」

 

済美の田坂部長は「ルールとして何球以内と制限するのは反対です。なにより生徒たちは甲子園に行きたい、投げたい、プレーしたいと思って入部してくる。我々は甲子園に行かせてあげるためにベストを尽くしている。そこをまず考えて、投手の起用や采配を振るっている。指導者が投手の状態、試合展開、いろんなバランスを測りながら判断していくのがいいと思います」

 

日大三の三木部長も「制限を設けるのは反対です。高校野球は教育の一環。今大会で言えば、吉田君の気迫や、一人でマウンドを守り抜くエースを仲間が助けようとする姿に、多くの人が心を揺さぶられ感じるものがあったのではないでしょうか。投球制限が設けられれば、埋没してしまう才能もあるのでは。私は一指導者として、そういうタフな選手を育てていきたい」

 

高校野球は教育の一環のはずですが、金足農のコーチと済美の部長の発言は、生徒の健康や将来よりも、甲子園に行き、躍進する事の方が重要と言っているに等しいように思います。

 

そもそも子供の数が減っているのは秋田県特有の問題ではなく、日本全体の問題です。そんな中、大事な子供を子供の健康より甲子園を優先する指導者に預けたいと思う親が居るでしょうか

 

本当に教育の一環と考えていれば、甲子園出場や躍進は結果であって、そのプロセスの方が重要という発言になるように思います。

 

個人的には、総投球数が多い事が問題なのでは無く、短期間に多くの球数を投げることが問題なのだと思っていますので、1試合200球とかは論外ですが、球数制限よりも日程を再検討する方が良いと思っています。

 

一般的に、NPBでは中6日、MLBでは中4日でローテーションが組まれます。

仮に130球で完投したとすると、NPBでは7日間で130球投げることになります。MLBは100球くらいで交代させるので、5日間で100球です。

1日当たりの投球数はNPBで18.6球、MLBは20球になります。

球数を制限している印象が強いMLBですが、それは間隔が短いためで、実際にはNPBより投げているのです。


では、金足農 吉田君はどうだったのでしょうか?

 

秋田県大会 5試合、43イニング、636球

7月15日初登板、決勝7月24日の10日間

 

10日間で5試合投げていますが、その後試合は無い(大会前は練習試合で投げている可能性大)ので、後ろにNPB同様、休養日6日を追加し、16日間で考えてみます。

すると、636球÷16日=39.75球/日で、プロの約2倍投げている事が分かります。

 

甲子園 6試合、50イニング、881球

8月8日初登板、決勝8月21日の14日間

 

甲子園も同様に6日をプラスすると20日間で881球、44球/日と更に増えてプロの約2.2倍になります。

 

948球と過去最も多く球数を投げた当時早稲田実だった斎藤佑樹投手は初日の8月6日に登場し、決勝再試合の8月21日まで投げています。

先のように計算すると、948球÷22日間(大会期間16日+6日)=43.09球/日で、吉田君より若干マシという結果になります。

 

プロ並みに抑えるには、大会期間を2倍にしなくてはならないので、流石にそれは不可能だと思いますが、せめて1.5倍程度にはしたいところです。

 

とは言っても、大会期間中は阪神タイガースがホームゲームを出来なくなる訳で、簡単に了承するとは思えませんし、また滞在期間が延びることで宿泊費etcの問題も発生します。

更に今回金足農が始業式を延期しましたが、北の高校は夏休み期間を超えてしまうという問題もあります。

 

2番目と3番目の問題はクリアのしようが無い気がしますが、1番目は思い切って準々決勝からドーム球場などで行うなどを考えれば、何とか出来るかも知れません。(宿泊費に移動費が追加されてしまいますが)

 

尤も、甲子園で今年16勝25敗1分と大きく負け越している阪神ですから、大会期間が延びてホームゲームが減るのはウェルカム、とあっさりOKしてくれるかも知れません。

 

いずれにせよ、後先考えずに投げたがる生徒たちを止めるのが大人の役目です。

 

決勝では逆に、限界を超えて交代を申し出た投手を「投げさせたかった」ととんでもない発言をした監督が居ました。

 

吉田君がセカンドの菅原天空君に「もう、投げられない」と言ったとされていますが、前日、帽子のツバに「マウンドは俺の縄張り」と書き、何があっても投げ抜くと覚悟を決めた人間がそれを諦める発言をするというのは、余程の事態で、既に致命的な故障を抱えてしまった可能性すらあると思っています。

交代についても、監督に自分が言うのでは無く、チームメイト2人に言って貰ったというところがポイントだと思います。

コーチがあのような発言をするのは、当然監督も承知の上で、監督も同意見だから、あのような発言が許されたと考えるべきでしょう。

だとすると、吉田君が自ら交代を申し出ても監督が認めないであろうから、主将と菅原君から言って貰ったのでは無いでしょうか?

 

球数制限や日程調整の前に、生徒の健康や将来よりも、甲子園に行き、躍進する事の方が重要と考える指導者の意識改革が先決のようです。