マクラーレンの2010年以降の成績は以下になります。
2010年 コンストラクターズ2位(メルセデス5位)
2011年 コンストラクターズ2位(メルセデス4位)、
前年より1位との差が開く
2012年 コンストラクターズ3位(メルセデス5位)
PUスイッチの検討開始?
2013年 コンストラクターズ5位(メルセデス2位)、
2015年よりホンダPUにスイッチ決定
2014年 コンストラクターズ5位(メルセデス1位)、
新PU初年度
2015年 ホンダPU、サイズゼロ
メルセデスPUでは本家メルセデスに勝てない、勝つ為には自由な車体設計が必要、とホンダと契約し、サイズゼロと言われるコンパクトなPU設計を強いたと言われています。
PU側から見ると、サイズの制限、イコール、パフォーマンスの制限な訳ですが、当時の判断は少々パワーを犠牲にしても車体設計でリカバリー出来るというものだったのでしょう。
2015年のRA615Hの小さくまとめられたエキゾーストパイプを見れば、どれだけ制約が厳しかったかが分かります。
ですが、セナプロの時代も、マクラーレンはリアウイングを極端に立てないとダウンフォースを得られない空気抵抗の大きな車で、それを大パワーで引っ張る、という車作りで、現在もその方向は変わっていません。
例えば、レーキ角ですが昨年はマクラーレンが断トツの1位でした。
レーキ角を大きくすると前面投影面積が大きくなり、リアのグランドエフェクトが弱まるため、その分リアウイングを立てる必要があります。
最高速を捨て、コーナーでタイムを稼ぐ事を目指した設計コンセプトと言えます。
とは言え、よりパワーを必要とするのも事実でしょう。
なので、「勝つために、パワーを犠牲にしてでも車体設計の自由度を優先」して生れたデザインが、空気抵抗が少なくパワーが無くても速い、では無く、よりパワーを必要とするものなのですから、初めからバグだらけという感じがします。
流石に、2016年、2017年と、あまりのパワーの無さにPUに与えられるスペースは拡げられましたが、それでもホンダPUは他よりもコンパクトだと言われています。
パワーは無いものの、コンパクト(で恐らく軽量)なPUが可能にしたボディ後端のデザインなどで得られた車体側のメリットも少なくなかったはずと言われていました。
今のところ、PUが大きくなったデメリットは感じられません。
逆に言うと、ホンダにコンパクトなPUを作らせた意味はほとんど無かったという事になります。
元々の設計コンセプトが「パワー命」なのですから、当り前と言えば当り前です。
そういう意味では、ホンダが最初から自由に「パワー命」で設計していたらどうなったのか。
3年目のコンセプト変更が無い分、2,3年目には結果が出始めていたのではないかと思います。