分娩室に入り30分から1時間くらいで死産がわかり、
その後拓都を出産するのに4時間ほどかかった。
ぼくはずっと、妻のそばにいたが、
この時間は人生の中でも一番の地獄の時間だと思っていた。
妻はよく頑張ってくれた。
本当にすごいと思うし、ありがとうでは足りないくらいの感情だ。
希望がない中、ゴールがない中
人生最大の痛みに耐えてくれた。
みんな赤ちゃんの産声を聞けるというゴールがあるから頑張れるのだと思う。
ぼくの妻はそうではないのに頑張った。
すごい妻なんです。
数日が経ちこれ以上の地獄はもうないかなって考えていた。
結婚して7年。流産も経験し子供はなかなか出来なかった。別に焦っていたわけではないけど。
ようやく再度の妊娠がわかり、嬉しかった。
臨月に入りもう大丈夫だと思っていた。
いっぱい拓都の準備をしていた。たくさんのモノを買った。家も買った。
全部使えなくなってしまった。
ただの地獄を味わったのではなく
天国からの地獄を経験したんだった。
たぶんこの気持ちは経験した人にしか分からない。
まだ今は家族にしか会いたくない。
でも少しずつ前を向いている自分と妻がいる。
人間ってすごいと思う。