パソコンのメンテナンス作業で待ち時間が長く、その時間を潰すために、Amebaの漫画サービス「Amebaマンガ」を覗いた。無料になっていたこの作品を読んだのである。今は期間限定で無料サービス中だ。
菅田将暉主演で映画になっていると言うこともあって、ちょっと興味もあった。
第一話は、完全に取調室から一歩も出ずに、主人公久能整(くのうととのう)の推理が展開される。安楽椅子探偵(チェアディテクティブ)である。整本人は、大学生であり、探偵でも何でもない。
整の通う大学で、同窓生が殺されてしまう。
整は、その同窓生にいい印象を抱いていない。金持ちの息子であり、鼻につく発言をしまくっていたからだ。その一点と致命的な証拠により、整に嫌疑がかかってしまう。整の指紋のべったり付いた、整の果物ナイフも発見されてしまった。この窮地をどのように脱するのか、というのが一話の内容だ。
おもしろいのは、出会う刑事たちをプロファイリングしていって、彼らの抱えている問題を一つずつ解決し、味方に付けていくところだ。
風呂光聖子という若手の女性刑事は、男社会で悩んでいるのだが、彼女が存在する意義を説き、力づける。夫婦仲の不和で悩む刑事には、その解決方法を伝授する。女性が筆者で、読者も女性が多いということで、理屈が女性寄りになっているのは愛嬌である。
こうして味方に付けた刑事たちを動かして、整は事件を解決する。
二話でも同じように、安楽椅子探偵的な要素が強い。
「金田一少年の事件簿」なみに、セリフが多く。他の追随を許さないくらい、登場人物に動きがない。
出てくる登場人物のことをプロファイリングして、問題を解決していくのだが、整のモチーフがひろゆきだと気付いて、ちょっと冷めて読むのをやめてしまった。二話で登場する、これからライバルとなっていく犬堂我路が出てきて、直感的に「これで一周したな」と思ったのも止めた理由だ。
虐待、いじめ、犯罪、殺人、堕胎、義母の横暴、姉との確執、妻の気持ちが分からない夫、介護など、二話分だけ読んでも、興味を引く内容が並んでいる。
しかし、整が菅田将暉、犬堂が永山瑛太というのは、ビジュアルではやはり原作を越えられないのかもしれないなあ、と思った次第である。