瞑想の意味を知る「Search Inside Yourself」チャディー・メン・タン他 | ああ、無情!!masarinの読書ブログ

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マインドフルネスの瞑想をするようになって、二年くらい経つ。その間、その瞑想が一体何に役に立っているのか、まるで徒手空拳のまま目を閉じ、呼吸に集中していた。このこと自体に意味がないわけではない。しかし、その意味を知りたいよね。というわけで、この本を読んだ。

 

筆者の紹介・チャディー・メン・タン

 

この本を選んだ理由は、実際に社を挙げて瞑想に取り組んでいる企業である、Googleで実際に「SIY(Search Inside Yourself)」という取り組みをしているエンジニアのチャディーが、マインドフルネスについてまとめた本である。

 

筆者のチャディー・メン・タンを簡単に紹介する。メンは中国系のGoogleのエンジニアで、107番目という大企業のGoogleの中では初期のメンバーである。彼はGoogleの初期の検索アルゴリズムを作ったメンバーだった。ビリオネアになったある日、Googleのキャンパスを歩きながら、次の目標を探していた。すると、「世界平和の礎を作る」という目標が啓示になって降りてきたのだそうだ。それから、禅師であるティク・ナット・ハンを講師として招いて、講演を聴いたりしたらしい。個人的には、ダライ・ラマともつながりがあったりする。

メンはマインドフルネスのプログラムを通じて、本気で世界平和を築こうと思っているのである。

 

 

瞑想って呼吸法のトレーニングが基礎?

 

 

さて、我々凡人としてはやはり、「役に立たなければ」と思ってしまう。役に立つ部分について紹介しよう。

私が一番知りたかったのは、「結局瞑想がどんな役に立つのか」という部分であった。その点を闇雲にやっていても別にかまわないのだが、知りたくなってしまったのだから仕方がない。

ちなみに書いておくと、私が一番最初に瞑想をした理由は、藁をも掴む思いであった。そのころ、急激な大貧血を経験した。慢性的な貧血だとどうなるのかわからないが、急性の貧血になった場合、妙な現象が脳内で起こる。過去の嫌な思い出がフラッシュバックしまくるのである。こういう現象は、急激な危機状態を回避するために脳が行っていると聞いたことがあるが、とにかくこれが苦しい。そんなときに、昔から興味があった座禅・瞑想を試そうと思ったのだ。結果は、かなり楽になった。それから瞑想を続けている。ただ、その理由は「瞑想しながら何度も深呼吸すれば、そりゃ精神的におちつくだろうな」程度であった。

瞑想で、座禅でないのは、その先にある宗教性を嫌ったというのが一番大きな理由だ。やっぱりね、大きな事件につながったイメージが払拭できていないのです。

 

 

瞑想をやっていた著名人たち

 

瞑想・マインドフルネスについて調べてみると、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、イチローも瞑想を行い、Googleでは専門のプログラムも用意している。前述の「SIY」プログラムがそれだ。これを、多くの企業が導入している。「早く言ってよ~」のサンサンやカルビー、Webexのシスコなども導入している。daigoも動画で紹介していた。

 

ここからは個人的な解釈も入ってしまうが、マインドフルネスの瞑想の一番基底にあるトレーニングは、集中力の要請だと思う。一番コアなトレーニングは「呼吸に集中する」こと、そして「呼吸から注意がそれたら、呼吸に集中を戻す」こと。この二つが一番重要なことで、瞑想でまず目指すべきなのは、この呼吸への集中だ。これを一日2分間行うだけでも、ずいぶんと集中力が付く。また散漫な集中を立て直すことができる。これが瞑想の一番大きな意味で、そこから全てが始まっていく。

 

 

瞑想応用編:嫌な思い出との付き合い方

 

他人との関わり方も、本書には登場してくる。

 

誰しも、「嫌な思い出」というのは存在する。それとの付き合い方が一番刺激的な内容だった。

嫌な思い出は、捨てようとするのが世の常だろう。しかし、本書ではトレーニングの中でわざとこれを思い出すというものがある。もちろん、ステップというものがあって、呼吸法などを学んだあとにやったほうがよい。それには本書に従うか、セミナーがあるみたいなので行ってみて欲しい。

話を戻すと、嫌な思い出を思い出し、その経験から来る嫌な体感を引き出す。それを客観的に自分から引き離すのである。そうすると、嫌な思い出の解釈が段々と変わってくる。一番ダメなのは、「悲しみや怒り」そのものになってしまうことだ。怒りや悲しみは筋肉痛のようなものであると本書では考える。自分が筋肉痛そのものだと考える人はいないだろう。筋肉痛はやがて癒えていく。同じように、大きな怒りや悲しみも、やがて過ぎ去っていくものだという風に、思考トレーニングをしていくのである。これがとても面白かった。

 

 

 

瞑想応用編:他者との付き合い方はやさしさが基本

 

後半に入ってくると、ぐっと難しくなる。

結局はビジネスなどでも結果を出すにはどうしたらよいのかに主眼が移っていくのであるが、その基本的な考え方が「他人に優しく」である。他人に優しくすることで、他人の信頼を勝ち取ることができ、チームも機能的になるというものだ。この辺りは実戦可能である気もする。

ただ、他人の悪意との付き合い方がやってくる辺りから、雲行きが怪しくなる。

これができるようになると、自己肯定感がぐっと高まるらしいのだが。

この辺りはSIYのセミナーに行って経験しないとわからないのかもしれない。

 

 

 

個人的には前半だけでも、かなり有効な取り組みであることはわかった。

そして一番の収穫は、自分のやっていた瞑想にどのような意味があるのか、その意味づけを知れたことだろう。

マインドフルネスの講習はとても高額である、ということだけ付記しておく。

あと、徐々にジェダイっぽい内容になっていくのも面白かった。