この本の嫌みったらさったらない。
なにが原因なのだろう。
おそらくファンしか読めない本だろう。この本と同じ感性で生きている人は、もっと世の中のことを知った方がいい。
本の構成としては、2011年から2020年までのショートエッセイが収められているものだ。
外国を駆け巡り、大学で講義し、帰ってきてはまたでかかける。
読んでいて一番最初に思ったことは、「古い」である。
さんざ、村上龍のエッセイを読んできたからだろうか。いまだに外国を駆け巡ることをひけらかす感じにはもう飽きた。本当に外国に定住していて、ひけらかし半分でその国の情報を伝える文章はネットにあふれている。好きで行くならそれはかまわないが、ひけらかすことに別に羨望も何もわかない。
それが許されるのは、外国にあまり行く人がいなくて、情報がない時代だろう。そういうときには外国の情報が大事になる。それに日本が経済の拡張期にあれば、ごく一般人でも外国の情報が大切になる。
はじめ、このエッセイの大半が「週刊金曜日」に掲載された物だ。
なんとなく、「週刊金曜日」はリベラル系の鼻持ちならない雑誌だというイメージがある。創刊されたときに、編集者に筑紫哲也が入っていたからそういうイメージがあるのかもしれない。
四方田犬彦氏の経歴を調べていて、さもあらんとおもった。
母方の祖父は弁護士協会のトップである。
ご本人も東大出で、学者様である。
視点が高所なのもしょうがないと思い至った。
あなたが庶民なら読むのをあまりおすすめしない。