「晏子」(二)宮城谷昌光 | ああ、無情!!masarinの読書ブログ

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前巻では、晏嬰の父親の晏弱の活躍が描かれていた。

本巻でも、晏弱は活躍を続ける。

 

ときは春秋戦国時代。

斉の東部に萊(らい)という国があった。

斉は太公望が建てた国であるが、その太公望ですら攻めあぐねた国だった。

晏弱は斉の兵を率いて萊を攻める。

数年がかりで落とす覚悟だ。

まずは国境付近に城を建てる。

建てている最中に、商人の姿になり、腹心をつれて、萊の村々を周る。

自分たちに合力せよ、というのではなく、敵に力を貸すな、黙ってみていろという約束をさせる。

 

実際に読んで欲しいから、どうやって萊を落とすのか、落とした萊をどう扱うかは書かないが、わずか五千の兵で、太公望の落とせなかった国を落とすことに成功する。

 

やがて、力を蓄えた斉は苦杯をなめさせられた晋との決戦を決意する。

その直前に、その秘策を胸にしたまま、晏弱はその一生を終える。

 

晏弱は紛れもなく英雄だった。

晏子を読んでいると人の一生を象徴している気がする。

失敗も成功もその素はその者の性格にある。

しかもそのものの性格を知る事が確実な成功につながる。

様々な人間の主に失敗から、それらを学ぶことができる。

 

晏弱は人が備えたい素養を皆持っている。

頭はよく、見た目も大柄で頼りがいのあるように見える。声にも実があり、説得力がある。

だからか、成功譚はそのような資質がなければ、なしえない気もする。

 

失敗から学ぶことが大きいのが本書の特徴なのかもしれない。