イタリアのクレモナといえば、クラシック音楽が好きな人は、
「あー、ストラディバリね」
という感じで、数億円もするバイオリンを作った名匠ストラディバリの活躍した街でお馴染みですね。

ここにあるバイオリン博物館(Museo del Violino)はこの町きっての観光名所。



ストラディバリ一家には、オモボノとフランチェスコの二人の息子がいましたが、彼らのラベルが残っているのは少なく、父アントニオは息子たちと多くのお抱え労働者と一緒に生涯で1000台ともいわれるバイオリン

を大量に生産した楽器屋さんでもあります。


よく見られる彼の肖像画の描かれている様子が本当だったかどうかはわかりませんが、

研究熱心であったことは確かなようで、いろいろ最適なバイオリンフォームを考え、

博物館には多くのスケッチや型、道具が残ってあります。


ただ、これらの道具は昔の市庁舎のなかにあったころはずらっと見れたのですが、
今はほんの少しだけ。
館内中ほどのショーケースの引き出しを開けるともう少しみれます。
興味あれば周りにいる係員に声をかければ開けてくれます。



さて、そんな博物館ですが、ほとんど知られていないのは、ミラノとパヴィアの大学が
共同研究として博物館に入っています。主に音響とニスの研究です。

わたしも今、ミラノ工科大の研究員としてバイオリン音響の研究を始めて、
日々、博物館の裏にあるデスクでパソコンと向き合っている毎日。




写真は自分のデスクですが、表の博物館のきらびやかさからすると、かなり殺風景!(笑)


ちまたでは、ストラディバリの秘密とかいって昔からいろんなドラマチックな話題が飛び交ってますが、
ここの博物館に入っている研究員は、ごく普通に淡々と音響学と化学の対象としてバイオリンに接しています。


科学者の立場としては、よくあるドラマ仕立てのストーリはむしろどうでもよく(個人的にはむしろ嫌いである)、
バイオリンがどうやって人々を魅了する音色になるのか、そのメカニズムが数値的に知りたいのです。
つまり、「明るい音がする」と人が言うバイオリンの音色とは、 周波数成分がどういう構造をしていて、人間の知覚として脳でどのように処理されるから、 「明るい音」になるのかを分析したいのです。

また、ストラディバリはミネラル(カルシウム、ナトリウムなど)を木材に含ませた、
というサッコーニの有名なその名も「ストラディバリの秘密」という本がありますが、
じゃあ、科学物質を木に塗ったら材料(楓やスプルース)の機械的性質がどれだけ変化する?
そこを明らかにしないと、いつまでたっても「秘密」というテレビドラマで終わってしまいます。

そうなると、また都市伝説的な妄想がちまたに広まるから困ったもの。

とはいえ、いろいろ実験してきましたが、なにせ相手は木。

楽器の形状は複雑ですし、パーツも沢山。

パラメータが多すぎるのです。


ということで。
今後、少しずつ研究レポートを載せていきたいと思います。

研究紹介&アクセス:https://yokoyama-music-research.jimdo.com/