低い音って、どこから低いの? | 音楽 楽器 作曲の研究してます

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大学で先生しています。
作曲・編曲しています。
チェロを弾きます。

音の高低はピッチ(周波数、Hz)で知覚されます。

私達は、そのピッチの違いを「高い・低い」という言葉をつかって表現します。

小職はチェロを少々弾く身なのですが、チェロという楽器は世間では

大体低音楽器として扱われます。

(ほんとは時にはバイオリンパートよりも高い音を出してたりしますが)


さて、ピッチの高低表現ですが、

いったいどこからが低い音なのでしょうか。


良く言われるのは1000Hz以上は高い音、

100Hz以下は低い音ということになっているそうです。


ふーむ。なんとなく言われればそんな気がしますね。

でも、やっぱり気になるので、実験してみました!


つい前日、とあるイベント(○殊な音楽のお祭り(^^;)分かる人には分かってしまう)

でご来場いただいた会場のお客さん約80人一斉に、

いろんなピッチの単音(ビープ音)を聞いてもらい、

「低い!」と思ったら手を挙げてもらう、という実験をしました。


聴いてもらうピッチは16音でランダム。

400, 120, 1500, 500, 100, ,,, と、20Hzから1500Hzまで。

みなさんには都度低いと思ったら手をあげてもらいました。


結果は、こんな感じになりました。

低いと感じて手が上がった数

1500~300Hz 0人

200Hz 5人

150Hz 15人

120Hz 40人

100Hz 80人全員

80~20Hz 80人全員


大体、200Hzはバイオリンの低い音の出る線G線あたりくらいから

低いと思う人が現れ、さらに1オクターブしたにあたる

100Hzあたり(チェロのG線)の音高ではみんなが低いと感じる結果になりました。

通説はだいたい合ってるみたいでした。


ちなみに、チェロの弦は高い順に、A線220Hz、D線147Hz、G線98Hz、C線65Hzです。

やはりチェロの音は低いと言われるのには一理あるかな。

もちろん低音が豊かに響くという印象も大きいですが。


以下、ちょっと余談。

ポピュラーなチェロの小品は大体A線の1オクターブ上あたり440Hzぐらいから下なのですが、

コンチェルトになるとさらに1オクターブ上の音域も良く使われます。

かなり大雑把な表現ですが、チェロの曲をみてみると、

輝かしい音色がするA線で旋律が書かれることがよくみられるのですが、

この範囲はというと、220Hzから440Hzくらい。

弾いていても楽器が良くなるし、奏者からしても弾きやすく歌いやすい(テクニック的にも難しくないし(^^♪)。

一方、太く渋いゴウゴウとした音色を聴かせるためにはC線がよい。

この時のピッチは65Hzから98Hzくらい。

有名どころでいえば、ブラームスの第1番ソナタ、ベートーヴェンの第3番ソナタetc

と数々の名曲をみれば、チェロの音色の魅力のバリエーションを考えて

作曲家は書いていますね。