2019.10.20
一日一季語 石蕗の花(つわのはな《つはのはな》) 【冬―植物―初冬】
人去れば石蕗のますます華やげり 山西みち子
*2019.10.17 神宮にて
人気の無い小径に咲いている石蕗の花。
樹木の下でも、葉の艶が輝くように目立つ。
菊に似た、黄色の花を一層華やかに引き立てているのでしょうね。
【傍題季語】
槖吾の花(つわのはな《つはのはな》) 石蕗の花(つわぶきのはな《つはぶきのはな》)
【季語の説明】
海岸や海辺の山に自生するキク科の常緑多年草である石蕗(つわぶき)の花。葉は蕗に似て厚く、深緑色で光沢がある。花期は十~十二月。六〇センチほど花軸を伸ばし、菊に似た頭状花を散房状に開く。
「石蕗」だけでは花のことにならないので、「石蕗明り」のような使い方は季語として適切ではない。
【例句】
母の目の裡にわが居り石蕗の花 石田波郷
石蕗咲いていよいよ海の紺たしか 鈴木真砂女
人住むを大地といへり石蕗の花 神尾久美子
卒塔婆の墨の匂ふや石蕗の花 皆川盤水
ひざを抱く少年二人つわの花 坪内稔典
【石蕗の花】
花の特徴
花茎を立てて10輪くらいの黄色の花(頭花)をつける。
花径は4センチから5センチあり、筒状花も舌状花も黄色い。
葉の特徴
根際から生える葉は円心形で、分厚くて艶がある。
実の特徴
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
この花について
属名の Farfugium はラテン語の「farius(列)+fugus(駆除)」からきている。
種小名の japonicum は「日本の」という意味である。
【名前の由来】
「蕗」という文字を用いるがフキの仲間ではない。
「蕗」の名がつくのは葉の形がフキに似ているところから来ている。
「艶蕗(つやふき)」ないし「艶葉蕗(つやばぶき)」が転訛して「つわぶき」になったと言われている。
葉は塩ゆでなどにして食することができる。
また、九州名産のキャラブキは本種を原料としている。
昔は薬草としても用いられていた。
葉を火にあぶって湿布薬にしたという。
なお、津和野という土地があるが、この地名は「つわぶきの野」という意味をもつ。
【今日は何の日】
えびす講
旧暦10月の「神無月」には全国の神が出雲に出かけるとされるが、えびす神はその留守を預かる「留守神」であるとされ、10月20日にえびす神を祀る祭が行われるようになった。今日では新暦10月20日または月遅れで新暦11月20日に行われる。
主な出来事
993年
903年に歿した菅原道眞に大政大臣を追贈(閏10月)。(新暦11月26日)
1180年
富士川の戦い。平維盛と源頼朝の軍が富士川で合戦。水鳥が一斉に飛び立った音を源氏の夜襲と勘違いし平氏が敗走。
1861年
将軍徳川家茂との結婚の為、皇女和宮の一行が京都を出発
1885年
日本が「メートル条約」に加盟。翌年4月に公布。
1907年
早稲田大学の創立25年式典で校歌『都の西北』を発表。
1929年
早稲田大学大講堂(大隈記念講堂)が開館式。
1944年
マッカーサー率いる米軍がフィリピン・レイテ島に上陸。レイテ島の戦いが始る。
1949年
戦歿学生の手記を集めた『きけ わだつみのこえ』が出版
1963年
東京・日比谷に日生劇場が開場
1967年
代々木公園が開園
1968年
ジャクリーン・ケネディがギリシャの海運王オナシスと再婚。
1973年
土曜日の夜の虐殺。ニクソン米大統領がウォーターゲート事件の特別検察官アーチボルド・コックスを解任
1973年
シドニー・オペラハウスが開場
誕生日
1906年
坂口安吾 (小説家『堕落論』『桜の森の満開の下』)
1934年
上皇后陛下(美智子上皇后) (上皇陛下の后)
1938年
武邦彦 (騎手[元],調教師,武豊の父)
1962年
茂木健一郎 (脳科学者)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)