2019.8.16

一日一季語 門火(かどび)  【秋―行事―初秋】

 

 

いとせめて送火明く焚きにけり   長谷川零余子

 

 

送り火は、死者を送る火です。霊が帰るときに、焚くことになるので、家族は寂しさがつのります。だから、せめて、明るく送り出す、霊が帰って行く、黄泉の世界も明るくしてあげたい。

こんな気持ちもあるのかもしれません。

 

 

 

【傍題季語】

門火焚く(かどびたく) 迎火(むかえび《むかへび》) 送火(おくりび) 魂迎(たまむかえ《たまむかへ》) 魂送(たまおくり) 苧殻焚く(おがらたく《をがらたく》) 苧殻火(おがらび《をがらび》)

 

 



 

【季語の説明】

盂蘭盆会の最初の日の夕方、祖先の霊を迎えるために苧殻などを焚くのが迎火、盂蘭盆会の最後の日の夜、精霊を送るために焚くのが送火である。両者を総称して門火という。家の門口ばかりでなく、墓・浜辺などで焚く土地、また提灯を捧げて墓場まで迎えに行く地域もある。

 

 

 

【例句】

石積みて送り火焚くや雨の隙   角川源義

竹林に日はありながら魂送り   鷹羽狩行

老い父が送り火焚きし迹精し   伊藤白潮

送り火に猫は離れてゐたりけり  加藤秋邨

送り火に遺らずの雨の降りいでし 岡本眸

 

 

 

 

【送り火】

季語の中には時間が含まれているものがある。盆の行事のひとつである「送り火」は、初秋の夕方から夜の季語として歳時記に収録されている。

 

 

 

「送り火」は盆の行事のひとつ。盆の終る夜に、門口で苧殻(おがら/麻の皮を剝いだ茎を干したもの)などを焚(た)くのです。「身体」であじわう季語としては、まずは手と目とを使っています。門口に苧殻を据え、ライターやマッチ、燃やした線香などで点火します。鼻は煙の匂いを嗅(か)ぎますね。盆の間、この世に戻ってきていた先祖の精霊を彼岸へと送る火です。送り火によって、精霊の帰り道を明るくして、帰りやすくするのです。ですから、手と目と鼻だけではなく、身近な死者を深く思うこころが重要になってくる季語と言ってもいいでしょう。

 

 

 

【大文字焼き】

大文字焼き(だいもんじやき)とは、「大」の字を象った文字を松明の炎で描く行事に対し一部で使用される俗称である。

 

いわゆるお盆(旧暦の715日頃)の時期に彼岸へ祖先の霊を送る送り火として行われることが多く、代表格である京都の五山送り火(ござんのおくりび)をはじめとして、実際には「〜焼き」という呼称は使われていない場合が多い。

 

現在、催しの名称として「大文字焼き」を採用しているのは、関東周辺の一部地域に限られる。

 


【台風の影響】

 奈良大文字送り火、初めて中止 春日大社の中元万灯籠も


#台風10号 接近でイベントの中止が相次いでいます。毎年15日に奈良市の高円山で開かれる「奈良大文字送り火」も中止に。1960年の開始以来、初めての中止だそうです。(写真は2014年撮影) #奈良

 


今日は何の日

月遅れ盆送り火

本来は旧暦716日であるが、明治の改暦後は、多くの地域で月遅れの816日に行われる。

お盆に帰ってきた先祖の霊を送り出す行事で、京都の五山送り火や長崎の精霊流しなどが有名である。

 

 

 

主な出来事

1913

    東北帝国大学(現在の東北大学)が女子受験生3人の合格を発表。日本初の女子大生。

1920

    米大リーグでレイ・チャップマンが頭に投球を受け死亡。大リーグ初の死亡事故

1943

    東京都が上野動物園に猛獣の処分を指令。翌日から薬殺を開始

1972

    森永乳業が1955年のヒ素ミルク中毒事件の責任を認め恒久救済を受諾。

1979

    高校野球3回戦・箕島高対星稜高の延長18回、3時間50分の試合。「高校野球史上最高の試合」と評される

2007

    埼玉県熊谷市・岐阜県多治見市で最高気温40.9℃を観測し。74年ぶりに日本最高記録を更新

 

 

 

誕生日

1863

    ガブリエル・ピエルネ (:作曲家『シダリーズと牧羊神』,指揮者)

1884

    ヒューゴー・ガーンズバック (:SF作家,編集者「現代SFの父」)

1888

    トーマス・エドワード・ロレンス (:軍人「アラビアのロレンス」)

1888

    永尾宋斤 (俳人)

1920

    上田臥牛 (日本画家)

1954

    ジェームズ・キャメロン (カナダ,:映画監督『ターミネーター』『タイタニック』)

1958

    マドンナ (:歌手,女優)

1972

    西田ひかる (歌手,女優)

 

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)